軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

テロ指定解除をめぐる日米協議

 昨日の産経3面の「北のテロ指定解除」「発表の舞台裏」という記事は、昭和16年の日米協議を思い出させる。
 当時野村大使は、日米開戦を回避せんと懸命に努力中だったが、周知の様に悪意ある「ハルノート」で一蹴され、日本は真珠湾攻撃に踏み切った。
 今回のテロ指定解除では、「米国務省は当初、11日午前9時半(日本時間同日午後10時半)に、北朝鮮問題について会見すると記者団に連絡したが、11時(12日午前0時)に変更した。ブッシュ大統領麻生太郎首相と電話会談し解除決定を伝え、理解を求めるのを優先させたため」だった。
 シーファー駐日米国大使があわてた様子で、「大統領が首相と話したい」と、日本側に連絡してきたのが日本時間11日午後8時ごろ。ライス米国務長官が指定解除の署名をしたのとほぼ同時刻だった」と産経は書いた。

 野村大使の場合は“大使館の不手際”で、交換文書が攻撃後に伝達される結果になったから、「スニーク・アタック(卑怯なだまし討ち)」だとルーズベルトは米国民を煽った。
 今回解除に当たり、シーファー大使から日本側の懸念を伝えられていたブッシュ大統領が、ライス長官らに指示したことは「日本側の理解を得ることだった」というが、「10日が北朝鮮労働党創建記念日」だからこの日に解除するという「密約説」があったともいう。しかし、ワシントンポストによると、北朝鮮が2度目の核実験を行うのでは――という懸念が広まっていたことが「主要な要因だ」という。
 当時の野村大使の気持ちをシーファー大使が理解したかどうかは知らないが、それが国益を重視するそれぞれの国の外交のやり方である。

ブッシュ大統領の一連の動きからは、日本との関係を重視する姿勢がうかがえる」が、結局「外交上の成果としたいライス長官やヒル次官補の路線を受け入れた」のだという。
 日本が北の核を脅威と捉えて国内に「自前の核武装論」が盛んになったとき、ライス長官はあわてて来日して「日米安保核の傘」の信頼性を強調したが、今回はそんな事情にはお構いなく、北朝鮮には“やすやすと”核保有を認めてしまった。
 国益を追求する「外交」とはこれが普通のものであり、わが国だけがどこか「正常さに欠けている」ことを改めて想起すべきだろう。
 自国が抱える「人命」がかかった大問題を、自らの手で解決する努力を怠り、「同盟国に依存」しているようでは、北との会議の立役者であるヒル次官補から「日本は(指定解除に)反対というが、自分でテロ支援国家リストを作成すればいいじゃないか。その場合(日本が石油を輸入している)イランを真っ先に指定できるのか」と食って掛かられるのがオチである!
 また彼は「5月に拉致被害者家族会をはじめとする合同訪米団と面会したとき、『東京の米国大使館のそばにイラン航空代理店がある。イランでは米外交官が捕らえられ、その中に私の古くからの友人もいた。彼には当時の苦痛が今も残る。あなた達はどう思っているか」と感情をあらわにしたこともあった」ともいう。肌の色は違っても、所詮感情を持つ「人間」の所業である。
 それに引き換え、民主主義国・米国には言いたい放題の「わがままぶり」を発揮するくせに、近隣アジア諸国の「やりたい放題」の侵略行為には黙して語らないのはどうしたことか?
 ヒル次官補ならずとも「いい加減にせー」といいたくなろう。甘えるにもほどがある。

 昨日、友人から対馬問題に関するメールが届いたが、その中に現場で抗議してきた団体の「動画」が付けられていた。その一部を静止画像で紹介するが、海上自衛隊の基地周辺に、韓国人の「邸宅?」が建ち、異様な風体の韓国人たちが住んでいる様子が写っている。
基地に隣接する「豪邸」

玄関脇の壁には、畏れ多くも何故か「天皇家の御紋章」が書いてある
同じく基地周辺の空き地は、北朝鮮と深い関係があるといわれる「統一教会」が買い占めているという。

 一方でこんな自国の領土に対する“侵略行為”を見てみぬ振りするような「体たらく」が許されていて、何が「テロ指定解除反対」か!
 昨日も書いたように、米国は米国、日本は日本の立場がある。直ちに北朝鮮と、未だに国内でうごめいているその支援団体に対して「宣戦布告」するくらいの勇気がなくてどうして一億余の国民を守ることができようか!
 小泉訪朝以降、順次「帰国」した5家族のその後の消息もいまや話題にもならない。彼らは拉致期間中の細部を正直に「告白」したのであろうか?一部には、帰国家族たちは依然として“北の工作員による監視下”にあるといわれているが、事実だとは考えたくない。しかし、彼らの情報が生かされているようにはとても思えない。
 一衣帯水、しかも36年も“統治した”実績を持つ間柄にある韓半島の2国との交渉を、わざわざ広大な太平洋のかなたの「米国経由」で交渉せざるを得ない大国・日本外交の虚しさを痛感する。ご先祖様は、だらしない日本の現状をきっと嘆いて居られるに違いない、と思う今日この頃である。

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