軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

引越し作業で思うこと

引越し作業も大詰めに近づいた。連日、往復3時間以上もかけて、ねずみのように手当たり次第荷物を運んでいる。まるで“夜逃げ!”だが、作業を通じて感じた事がある。
まず、『老いては子に従え』という事である。
二人の息子が、土日に手伝ってくれるが、実に力強い。いつまでも「子供は子供」の感覚でいたし、自分が率先して突き進む「戦闘機隊長!」が身に染み付いていて、何でも自分でやる癖があったのだが、子供達に強制的?に休まされて見ていると、考えていたよりも遥かに効率よく作業する。しかも力が強いから時間もかからない。実に頼もしく思ったのだが、それは当然、息子達は働き盛り、私は67才である。いつまでも『子供だ』と思っていた私の判断ミスだったのである。
要は『老いては子に従え』という事だと悟った。世の中、世代交代が必要である!

大物家具を、引越し専門店を使って運んだ。搬出入する双方共に自宅までの路地が狭いので、大型車両が入れないから、せいぜい2トン車位しか使えない。そこでどうしても小出しになるから、「ねずみの引越し」になるのである。
しかし、流石に専門店は手際が良いし、丁寧である。会社が乱立しているから、競争が激しいらしく、その分実にサービスが徹底している。階段を使えない大型ベッドなどを、いとも簡単に窓からロープ一本で吊るして下ろすのには驚いた。しかも作業員はたった二人である。つい“自衛隊員時代”を思い出して「手伝おう」とすると、『お客さんは結構です』という。
新調した家具類の搬入もも実に手際が良い。ただ、二階への大型家具類の搬入は、階段の設計が「狭い」ので、みんな苦労しているが、それもロープでうまく引き上げたり、クレーン車が用意される。勿論別料金だが、これらの車両は大概「レンタカー」である事に気がついた。無駄な時間を極力省き、手際良く進める裏には、レンタルの制約、つまり時間制限があったのである。
これらの作業で一番困るのは、搬入予定時間の幅が大きく待ち時間が多いという事である。それは、我が家のように路地が狭く、搬出中に「他の車」が来ると、一旦作業を中止して通過させなければならないことが原因らしい。もっとも、運搬中の道路事情にも大きく左右されるから、業者にとっては神経を使うだろう。
効率化、という点では、作業員が最小限だということもある。とにかく重い荷物でも量があっても最低二人で、すべてをやるのだが、人件費を相当絞っているからだろう。資本主義の冷徹さを痛感したが、現役時代の公務員的「居心地良さ」とは全く異なる社会の一端を垣間見た気がした。人海戦術は適用されない!のである。これじゃ雇用も促進されないだろうし、事故も起きるだろう。とにかくトラックを運転し、家財を搬出・入し、お客様には「笑顔」を振り撒かなければならないのだから、家に帰ったらその反作用?が起きるに違いない。
茶髪の若者が目だったが、話して見るとなかなかしっかりしていて良く働く。中には「脱サラ」したものもいて、人間関係に疲れて、気を使わないで済む『肉体労働』に転職しました、という青年もいた。
まだまだ日本人も捨てたものじゃない、と思ったが、若い青年達に、もっと職場が増えないものか、とも考えさせられた。しかし、資本主義社会の良い点は、「競争」だから、サービスは実に向上している。ただ、人件費を始め、経費削減が徹底し過ぎると、どこかに歪みが生じて、事故が起きるものである。防衛予算を削減しつづけると、ある時一気に戦力が低下するのと同じことである。
組み立て家具を搬入した青年は、トラックを運転し、新入り青年?を指揮しつつ、家具や建物を傷つけないように配慮し、荷物を解体して家具を組み立て、指定場所に設置し、廃材やゴミを徹底的にかたずけて退去する。午後の約束が、一時間以上遅れて夕方に来たが、その誠実さには感心した。これじゃ時間が掛かるだろう、と理解も出来た。
しかも作業優先だから、お茶いっぱい飲まず、夕食も抜きである。『お客さん、申し分けないですが、あと4軒荷物をお届けしなければなりません。お客さんも待っているでしょうから、兎に角届けるだけですから、一時間ほど時間をくれませんか?』という。こっちにも都合があるが、組立作業を見ているとつい同情して、許可した。
午後7時過ぎであったから、われわれも食事に出かける事にし、一時間後、彼等は4軒すべてに配送し終わって戻ってきた。午後8時過ぎである。食事はしていないが大丈夫です、という。腹が減っては戦は出来まい。家内が気を利かせて買ってきた「サンドウィッチとコーヒー缶」を差し出して、『小腹に入れてからにして頂戴』というと、にっこり笑って『戴きます』といい、これ使って良いですか?と、搬入したばかりの椅子に座って『小腹』に入れたが、実にかわいらしかった。午後9時過ぎ、複雑な組み立てを終わり帰って行ったが、事故を起こさないようにと祈った。
こんな真面目な社員?を使っている会社の幹部達は、今ごろ真面目に事務を取っているのだろうか?まさか「カラオケ」じゃなかろう、と思ったのだが…
良い勉強になったが、30日でパソコンを1時クローズして、再セットすることになった。今日もこれから家財の運搬、どんな体験をするか楽しみである。