軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

上海会議・その1

 1030、上海へ向かうため空港へ出発する。視程は悪く3kmも無いと思われるいわゆるIMC(計器飛行状態)である。高速道は意外に渋滞は少なく1115に空港に到着した。
 しかし、ロビーは大混雑、カウンター前には長い行列が出来ていて、1人の白人客が荷物を台の上で全部開けられ、財布の中のカードまで、一枚づつ調べられている。おとなしそうな若い白人だったが、楽器を持っていたから音楽家?だったのではなかろうか。
調べられている理由は不明だが、観察しているとどうも適当な間隔で、抽出して乗客の持ち物を調べているらしい。テロ対策を理由に、係官の“趣味か嫌がらせ”でやっているとしか思えず、その昔、韓国に行った時に、入管で日本人とわかると徹底的に荷物を調べられたが、隣のレーンで新婚らしい日本人夫婦の、特に夫人のスーツケースを全部台にぶちまけて、下着を一枚ずつ持ち上げて曝していたことがあったが、周りの係官が薄笑いを浮かべて見ていたから、これは明らかに日本人に対する「嫌がらせ」であった。そんなことを思い出す風景だった。
 出発時間まで間があったので昼食をとることにし、空港内のレストラン街に行ったが、オリンピック前哨戦か客引き?が多い。外食系のレストランで、サンドウィッチを取ったのだが、コーヒー30元(450円)、英式サンド45元(675円)は良いとして、日本ではサービスとして出される「濡れティッシュ」が2元(30円)とある。メニューを見ていた仲間が目ざとく見つけたのだが、サービスだと思ってさっさと手を拭いた仲間は2元取られることになった。私はポケットにティッシュと「消毒用の濡れティッシュ」を持参していたから、ウエイトレスに丁寧にお返ししたから「被害?」はなかったが・・・。
 1330発の国内便なので、1310にゲートに向ったが、何と出発ゲートが変更になっていた。移動中になんとなく?気がついた吉崎氏が係りの女性に尋ねたのだが、「あっち」と手で指すだけ。たまたま航空券に指定されている当初のゲート「30」がその方向だったので、長い廊下を通ってたどりついたところ、便名が表示されていないのに川村団長が気がついた。そこで空港の女性係員に聞くと、怒ったように「こっち!」と指示され、急ぎ足で先導してくれて戻ったのだが、なんとも早サービスの悪いこと。少なくともゲート変更のアナウンスは聞かなかった。表示されている「出発便一覧表」で確認する以外には手がないのである。変更されたゲートナンバーは「24」だったから、結果的には吉崎氏が、一覧表で見て気がついたのが正しかったわけである。
 女性にせかされて急ぎ「24」番ゲートに着き待っていたバスに乗り込んだのだが、その後も迷っていた客がぞろぞろとバスに乗り込んできたので、何と無く責任逃れが出来た気がした。
 2年前の国内便では、右隣に商売人らしい落ち着かない中国人が座り、私の新聞を勝手に取って読んで読み終わると「ポイ」テーブルに投げ返したことがあり、睨みつけて始末させた気分の悪い出来事があったが、今回は左隣に3人の青年が座り、隣の青年は右ひじでぐいぐい私の左腹部を突いてくる。ベルトを締めるときはもちろん、座席の右肘掛についている音楽のチャンネル操作をするときも、左手で操作すればいいものを、わざわざ右手でやろうとするから私に肘デッポウを食らわせる形になるのである。しかも飛行中は肘掛を独占するから彼の右腕は常時私の左わき腹を押し続ける。「中国式マッサージ」だったら嬉しいのだが、むやみやたらと腕を動かすからたまらない。こんなところが「中華思想?」の表れで、とにかく「隣人に対する気配り」が感じられない。
癪に障ったから、私も左肘で「対等な日中関係」を示してやったところ、左の仲間と座席を交代したから、やはり自分がそうされると気分が悪かったのだろう。中国には「わが身をつねって人の痛さを知れ」という格言はないらしい・・・
 彼と交代した青年は、私に対してかなり気配りしていたから、彼は私のことを「気配りのない日本人だから気をつけろ」とか何とか言われたのだろうと思う。約一時間半のフライトだったが、いつもこんな面白い体験が出来て感謝している!
 1520に上海に着陸、北京は4℃だったが上海は17℃、上海国際問題研究所の若い女性研修生二人が出迎えてくれていて、約一時間かかって宿舎であるホテルに着いた。
 やはり空気はよどんでいて、夕焼け空が独特の朱色に染まっている。

 移動中に気がついたのが、中国名物の高層ビルから突き出した洗濯物が見当たらなかったことであった。美観保持のため、「制限されているのか?」と聞くと、そうではなく、屋内物干し場が各戸に普及したからだそうであった。確かにその後気をつけてきていると干してあるのが散見されたから、制限されているわけではなさそうで、居住環境がそれだけ向上したせいであろう。上海の一人当たりのGDPは8000元(12万円)だそうである。
 豊かになったせいか、雰囲気だけで比較すると上海は「垢抜けて」いるように感じる。それに比べて北京は、気候風土のせいもあるが、何と無く「泥臭い」。
 上海の人口は公称1600万人と言われているが、その他に出稼ぎの農民達が300万はいるだろうという。彼らは2010年の万博開催に向けた建設工事現場に流れ込んでいるようで、詳細はつかめていないという。
 6時から上海蟹で有名なレストランで歓迎夕食会、そこへ討議に参加するために北京からわざわざ国防大学戦略研究所長の楊海軍少将が駆けつけてきて会食に加わり、大いに盛り上がった。

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

紫禁城の黄昏―完訳 (上)

中国の大誤算

中国の大誤算