軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ニュース所感

1、日米首脳会談
 今朝の産経新聞は、一面トップで「日米関係最も成熟」と書いた。「対北、中国を牽制」と副題にあるが、前回の米中会談などで、胡錦濤主席とブッシュ大統領の会見時のスナップ、ノムヒョン韓国大統領に対するブッシュ大統領のしぐさなどを見る限り、
確かに「日米関係は最も成熟」していると見える。
人の好き嫌いは態度に表れる。今回の小泉首相との会談風景は、中国、韓国の指導者たちにとっては「気に食わない」情景が多いことだろう。その「おつり」がこれからわれわれに降りかかってくることを覚悟しなければならないが、少なくとも「海洋国家」として、小泉首相が取り続けてきた「外交政策」は間違いではなかったことの証明だと思う。
問題は、次期首相争いに、小泉憎し!という視野の狭い考えから、中国の「お力」を借りて、自分の地位を有利にしようとする「輩」が蠢きだしていることである。これら「売国奴たち」が跋扈しないよう、国民は彼らの動きを冷静に監視する必要がある、と思う。
同じ2面に、岡崎元駐タイ大使が「米国との強固な友好関係を築いた小泉純一郎首相の5年余は、日本の外交政策の『王道』だ。台頭する中国を牽制するためには、日米同盟を強化するしか選択肢はないからだ」と所感を書いているが、同感である。
「中国の基本戦略は日米同盟の離間である。日本国内でも『米国が日本を見捨てて中国と連携するのではないか』との議論がある。その懸念を払拭するには、日米同盟を強化するしかない。日米関係が一枚岩だと常に強調し、中国に日米関係の離間をあきらめさせる必要がある」のだが、敵もさるもの、すでに9月に向けていろいろな工作を迅速に日本国内で開始している。これから夏にかけて、国内で「親中派」の動きが活発化するだろうが、逆に言うと、日本国民にとってはそれはひとつの「踏み絵」であり、国民の目に、誰が「そうであるのか」が鮮明に映し出されると思われる。日本の今後を占う、ひとつの大きな山場がいよいよ近づいている。

2、3流芝居の愚かさ
 北朝鮮に拉致された韓国の少年・金英男氏が、母親と面会したニュースで、テレビは大賑わいしている。しかし、今回は、さすがにわが国のメディアも「成長?」したものだと感心することが多々あった。彼の面会や、記者会見風景を、いろいろな角度から捕らえた映像を、よく分析し始めたからである。もっとも、映像自体がその出所を分析する必要があるのだが、それにしても「服装」や「表情」、周辺を動き回る北朝鮮工作員たちの克明な分析が開始されたことは喜ばしい。
しかし、私のような「素人の目」から見れば、金氏の発言や行動は、すべてが「3流物書き」の手になる猿芝居に見えて仕方がなかった。つまりその演技は、3流監督の下、進歩のない演出と役者たちによる、「B級レンタルビデオ」にそっくりであった。
役者たちが、どんなに「上等な背広」や「金時計」をして、息子?までが「腕時計」をして出てきても、それは全て「レンタル」で、いわば「貸衣装」であろう事が歴然としているし、衣装だけに限らず、あるいは、大きく年が離れた「後妻さん」も、レンタルなのかもしれない・・・。その子供と彼女の二人だけは、この場に似つかわしくない表情をしていたし、一般的な緊張度とは異なった動きをしていたからである。
第一、金氏は「海で沖に流されて北朝鮮に救助された」として感謝していたが、ならばどうして北朝鮮は「救助してやったのだ!」と韓国政府に金氏を「送還」しなかったのだろう?その方がよほど韓国国民から感謝され、お金も集まっただろうに。
今回の会見は、日本海で漁の途中で拉致された寺越氏の状況に酷似している。彼も、絶対に「自由な発言」は許されてはいなかった。母親と再会したときもそうであったし、母親も詳細はしゃべらなかった。
北朝鮮兵士を「拉致した」として抑留され、15年の刑を受けて、北朝鮮に極めて好意的だった金丸氏が訪朝し、金日成の前で感動の涙を流して莫大な保証金を渡し、ようやく開放された紅子船長なども、帰国後も一切公的発言はしなかった。
 有名になった「逃亡米兵」のジェンキンス氏さえ、当初は北の言うままに「セリフ」をしゃべっていたが、ジャカルタに「逃亡」し、日本に渡るとき、得意とする「お芝居」で、重病であるかのような演技をして日本に「帰国」したのではなかったか?
 北朝鮮はこれでまたひとつ「大きなミス」をした。世界は、この拉致事件が事実であることを知り、きわめて高い関心を示している。ブッシュ大統領も十分に「理解」している、と言うことは米国関係機関は、それなりに情報収集に動いている、と言うことでもある。
金氏は、「何か」を母親や姉に伝えたかったことだろう。しかし、今回の猿芝居は第一段階に過ぎない。周辺には「関係者」が多すぎた。次回の「公演」を期待することにしよう。
それにしても横田ご夫妻の姿は痛々しい。テレビ各社に要望したいが、視聴率アップにご夫妻を利用することは避けてほしい。それよりも、テレビ各社で今回得た「資料」を仔細に分析し、決定的な証拠を北朝鮮側に差し出すくらいの熱意でこの問題に取り組んでほしい。