軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

軍事学講座の必要性

テポドン効果?で国内は「沸いて」いる。防衛庁長官が「敵基地攻撃能力保持の必要性」を発言したとかで、テレビのコメンテーターは興奮しているが、その結論は、昭和31年の鳩山内閣時代に決着している。問題は、その後「専守防衛」が先走りして、全く「それ」を実行してこなかったと言う点だ。「周辺諸国に脅威を与えない」ために、国産輸送機の航続距離を短くした結果、国際緊急活動に役に立たなかったことは記憶に新しい。導入したファントム戦闘機から、わざわざ費用をかけて「空中給油装置」を外したのがその良い?例である。国家に損益を与える、こんな指導者が「社長」だったら、その会社は間違いなく倒産したことだろうし、社長は糾弾されて社会的地位を失っていたことだろう。
それ(責任問題)が今まで全く話題にもならなかったのが「近代日本政治」であった。そしてそのツケが今噴出してきている。
このところ、テポドン効果?で私ごとき一OBにも取材が続き、丁寧にお答えしたつもりだが、とにかく担当者に「軍事素養」がないことに驚く。たぶん、記者さんたちは、頭脳明晰で判断力も良く、過去のしがらみにとらわれない「好青年たち」であろうと推察するが、とにかく軍事用語ひとつの解説に苦労する有様である。対面して「図示」出来るうちはまだ良いが、電話取材になると「語彙不足」の私の解説にも限界がある。
私の本の巻頭にも書いているのだが、日本の高校はもとより、大学でさえも「軍事学講座」を持っているところは極めて少ない。日本人が「軍事音痴」と言われるゆえんだが、政治家はもとより、官僚、特に外交官たちがそれでは国際関係の判断を誤ることになるから困るのである。軍事学を学ぶことは、直ちに「戦争にはつながらない」のだから、一部の「軍事評論家任せ」ではなく、国民が大いに関心を持って学んでほしいものである。
今朝、テレビ朝日のコメンテーターの一人が、防衛庁長官の「敵基地攻撃論」について語ったとき、「これ以上話すのも怖い」なんて、女々しい発言をしていたが、語るに落ちるとはこのことである。九州出身らしいが、博多で言えば「わいはそれでも男や?そげなこつ言うとは、ホンにおなごのゴタアル・・・」と軽蔑されるだけだ。
各方面で「報復が怖い怖い・・・」と連発だが、中国だって、彼の金さんだって、怖いものがたくさんあって「本当は困っている」と考えるべきだろう。
北の高官が防衛庁長官発言に過敏に反応して「物理的手段で報復するぞ!」なんて脅かしているが、「やれるもんならやってみろ!」と言えばよい。
弱者ほど「扇情的攻撃的言辞」を弄するものである。韓国も、北朝鮮も、もちろん中国も、本当は「日本からの反撃、日本の核武装」が怖いのである。
怖いから「強硬論」をはいているのだが、それを真に受けて、「怖い!」なんてスタジオで発言する輩がいるから彼らの思う壺なのである。
以前のテポドン事例の後、航空自衛隊は反撃できないのか!「税金泥棒だ!」と国民に「軽蔑された」時、「研究会」で、航続距離がなく、無事祖国に帰還することは、万に一つも期待できないが、それでも命令があれば「出撃する」と、航空自衛隊の戦闘機パイロットは答えている。
大野長官が、その一端を昨日の産経新聞に披瀝したようだが、航空救難隊は、水難や山岳遭難での救助に大活躍しているが、はるか日本海沖で、燃料が切れて「脱出」したパイロットを、救難してくれるだろう、とはあまり期待していない。その能力に限界があるからである。そこで戦闘機パイロットたちがなんと答えたか?
島根県の漁協に連絡して、船舶無線でかに漁船や、イカ釣り船に救助してくれるよう伝えてほしい」!
もちろん「悲痛なる」ギャクだが、周辺海域を空から見れば、ほとんど漁船で埋められている。だからもっとも確実に救助される公算が高いのは、漁船による救助なのであることを、ファイターパイロットたちは日ごろから知っている。
もっとも、ロシアや韓国、北朝鮮の漁船も混じっているから、間違って「北朝鮮」の漁船に「救助」されると、寺越さんみたいになる恐れがある。
いや、それじゃすまないだろう。拷問され、虐待され、悲劇的最期を遂げることになるだろうから、万一「被弾して」帰還不能状態に陥ったときは、「ミサイル発射基地に突っ込みます」と答えたものもいたと言うから、涙が出る話である。
Tコメンテーターのように、「怖い怖い」を連発していては、戦闘機のりには勤まらない。T氏だけが日本人の男じゃない。「特攻をも辞さない」若いパイロットたちのような、灼熱のイラクで、黙々と任務を果たしている自衛官たちのような、そんな日本人もいるのだと言うことを忘れて「一般的解説」をされてはたまらない。それとも彼は、金さんの支持者なのかもしれないが、それならそうと、旗色を鮮明にしてコメントしてほしいものである・・・
「中・露の弱点」、金さんが「怖がっているもの」ほど効果があることを忘れてはなるまい。そんなことは「軍事学」では常識なのだが・・・。軍事学講座が早く広く普及することが望まれる。