軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

安倍政権に期待する!

 昨日は都心に出て、航空雑誌の座談会に出席した。航空専門家の若手と「F−4ファントム戦闘機の後継機選定問題」について座談したのだが、その専門的知識と情報網には感心したが、国家戦略と現場の感覚にやや乏しいのが気になった。
最もそれは日本の現状から見て仕方のないことであるから、長年操縦桿を握り、現場監督を務めた経験の一部を披露して、彼らに理解してもらえたことは収穫であった。
 その後、ある出版社のメンバーと夕食を共にし、一般大衆に「国防の重要性」と、現代日本が忘れ去った「危機管理」に付いて、いかに簡単平易に啓蒙するかについて、大いに意見を交わし、若者好みの“劇画”にしてはどうか?という結論になった。
 防衛問題に関する国民の関心は、核装備問題以上に関心をもたれていることを痛感した。防衛庁自衛隊の適切なる「広報活動」に期待したい。

 ところで、予想通り安倍新政権が誕生することになった。マスコミもいっせいに新政権の“ご機嫌取り?”モードに入ったようだが、安倍“新首相”には、決して油断することなく、時には「変化球」も混ぜて、魑魅魍魎に揚げ足を取られないように配慮しつつ、信念を貫くように期待したい。
 次の一文は、ある団体から「安倍政権に期待する」との命題でコメントを求められ、書いたものである。元自衛官の心情として、ここに掲げておきたい。
 最後になったが、今までの“宰相たち”とは一風代わった小泉首相の勇気ある『改革』推進に、ひとまず賛辞を述べておきたい。

「安倍政権に期待する」    岡崎研究所特別研究員・元空将  佐藤 守
 
 なぜ「安倍政権に期待する」のか? 答えは簡単である。私は34年間航空自衛官として防衛の一翼を担ってきたが、得た結論は「自衛隊は軍隊ではなく」、有事には、栗栖元陸将の指摘どおり「超法規で行動する以外にない武装集団」という冷厳な事実であったから、この異常事態を一日も早く解消してほしいと願うからである。イラクに派遣された自衛隊は、不自由な環境下、決して不平を言わずに任務を遂行したが、ある議員が「自衛隊は目の前で邦人に危害が加えられても助けることはできない哀れな軍隊だ」と法の不備を指摘した時、私は「それは建前、遭遇した自衛官は必ず救出するであろう。問題はその後である。軍隊が自国民を救出するのは当然の行為だから世界は高く評価するだろうが、日本ではその責任が追及されるから、自衛官は帰国後、自国の法律で裁かれ、有罪になるのである。政治家はそれを放置するのか、無責任すぎはしないか?」と発言した。そんな無茶な、と思うだろうが、それがこの国の実態なのである。
 安倍晋三氏は、自著「美しい国へ」の中で、「自民党結党の精神の一つに『自主憲法の制定』が謳われていて、「まさに憲法の改正こそが、『独立の回復』の象徴であり、具体的な手立てだったのである」が、それが後回しにされてしまったがゆえに、「損得が価値判断の重要な規準になり、損得を超える価値、たとえば家族の絆や、生まれ育った地域への愛着、国に対する思いが、軽視されるようになってしまったのである」と嘆いている。
 更に、「私が政治家を志したのは、ほかでもない、私がこうありたいと願う国をつくるためにこの道を選んだのだ。政治家は実現したいと思う政策と実行力がすべてである。確たる信念に裏打ちされているなら、批判はもとより覚悟のうえだ」と決意を語っている。
 戦後61年、漸く「真の日本人による、日本のための政治」が始まる予感がする。私は、若い安倍氏指導力に裏打ちされた新政権の「実行力と勇気」に大いに期待している。