軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

勇気ある教師

 民主党のコマーシャルには多くの人が“呆れて”いることが分かったが、確かによく見ると面白い。コメントにもあったが「波に彷徨う日本丸?」の舵を握っていた船長が、時化で吹き飛ばされて“舵を手放す”シーンと、叩きつけられた船長を救った二人が、波に翻弄される“日本丸”をほったらかしにして腕を組むシーンは見事にこの党の真髄を示している。多分続きは日本丸が難破したシーンになるのだろう。政治家達のレベルが良く理解できるコマーシャルではある。

 ところで28日の産経新聞社会面の片隅に、「火中に飛び込み寝たきり84歳女性救出」と言う記事があった。「21日午後1時ごろ、鳥取市寿町、無職、木下博文さん(59)方から出火。道路を挟んで向かい側の私立中学校にいた小学校教諭、石本俊一さん(35)が建物に飛び込み、勝手口から入って約5メートル先に見えた木下さんの母、節子さん(84)の足を引っ張り出し救出した。節子さんは背中にやけど。石本さんは講演会に参加するためにちょうど中学校の敷地に入ったばかりだった。石本さんは『10年位前にも火事の家から女性を救出したことがある。今回は火の勢いもそれほどではなく、自分でもびっくりするくらい落ち着いていた』と話していた・・・」と言う記事だが、勇気ある立派な教師である。
 私も茨城で飛行隊長をしていたとき、官舎の近所で農家の離れが火事になり駆けつけたことがあるが、燃え盛る離れの中に老人がいると聞いて玄関の土間に飛び込んだものの、とてもとても、火勢と熱気に目も明けられず、引き返した経験がある。幸いそのときは老人が自力で脱出したので良かったが、一片の記事で見る状況と現場の実情では雲泥の差があることを私はいやというほど教えられた。石本教諭は淡々と語っているが、以前の経験も生きたのであろう。文科省はこのような模範的な教諭に対して、当然「何か」を考えていると思うのだが・・・
 他方、27日に、天皇、皇后両陛下が「日韓合作映画『あなたを忘れない』の試写会をご覧になった」という記事があった。「平成13年1月13日、JR山手線新大久保駅構内でホームから落ちた男性を助けようとして電車にはねられて死亡した韓国人留学生、李秀賢さんの半生を描いた映画」である。当時私もその勇気ある行為に感動して、聊かの見舞金を送ったのだが、確かもう一人、日本人男性も助けようとして死亡したのではなかっただろうか?記憶違いかもしれないが、もしそうだったとしたら彼の方はどうなったのだろう?
 李青年のご両親も立派な方で、一人息子を失った心中はいかばかりかと察するが、酔っ払って転落した男性はさておき、救出のため勇気ある行動を取った男性の行為は、平等に評価されてしかるべきではないか?という考えが、チラッと頭をよぎった。多分それは、良い事をしてもなんら評価されず、悪いことをすると「過大に報道されてきた」元自衛官の“ひがみ根性”なのかもしれないが・・・
 今回は「外務省の要請」で両陛下はこの映画を鑑賞されたのだという。ならば是非外務省でも、内閣官房でもかまわないから、拉致された横田めぐみさんを主題にしたドキュメンタリー映画「めぐみ」を鑑賞していただくように「要請」してもらいたいものである。
 いや、もっと大事なことがある。国家のために一身を捧げた多くの英霊を祭る靖国神社にご親拝下さるよう、関係省庁は是非とも「要請」してほしいと思う。
 以前、石原東京都知事がそう書いたことがあったが、世間はこれを無視してきた。
「日韓合作映画」を気軽にご鑑賞頂けるのならば、これら日本国の懸案に関わる問題にも・・・と思うのだが。
 とまれ、今回の勇気ある行動を取った「石本俊一教諭」に心から賛辞を送りたい。