軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「漂着ごみ9割以上“国産”」記事の怪

 今日は春分の日、国旗を掲げて机についたところに電話が来た。他愛ない話の中で、フト疑問を感じたことがあったので今日は軽いものを書くことにした。
 他愛ない会話とは、日曜日夕方の人気番組「田舎に泊まろう」の中で、山形県を訪ねた女優と元旅館の女将さんとの出会いの話だったのだが、二人が揃って歩いた海岸の背景にあった凄まじい漂着ごみに付いてであった。私もこのシーンを見たのだが、その大半は外国からだ、と彼は言うのである。
 実は先日都心での会合で、この問題についてその酷い実情に憤慨している方から実際の写真などのデータを示されたことを思い出した。そこで私は3月3日付の産経新聞の記事「9割以上が国産だ」を示して、「日本人のモラルも地に落ちたものだ」と慨嘆していたところだというと、これは全くの誤報で、漂着ごみの大半は“周辺諸国”からのものだ、と彼は指摘し詳しいデータや写真を見せてくれた。
 それによると、九州各地、特に対馬に漂着するごみの8割は韓国からで、五島列島などの8割の中には中国からのごみも酷いという。私もそう認識していたのだが、産経新聞の記事に疑問を持ちつつも、何と無く納得していたのだ、と弁解すると「それは大違いである」と厳しく指摘された。
 彼が現地で調査した結果のデータと現物の写真を見ると、驚いたことに使用済み医療器具の漂着物の殆どは韓国からで、注射針などの危険物が大量に漂着している。中には、得体の知れない血液や、医療行為で発生した薬物・血液など廃液の混合物が入った灯油缶(ポリタンク)が、10個以上も流れ着いている証拠写真もあり、現地対馬などではその処理にほとほと困り果てて、韓国の学生や日本の学生達・ボランティアの支援を得て処分しているが量が多すぎる上に危険なので対処不可能に近いのだという。石川、富山、山形、秋田など、日本海側の漂着物の3割以上は外国からのもので、そこでこれら地方自治体は国に処分のための支援を要請しているそうだが、今年度分の予算で3億5000万円が「調査費」に計上されたという。
 産経の記事には「各地の海岸に漂流・漂着するごみ問題で、環境省などの関係省庁会議は2日、年間約15万トンのごみが国内に海岸に漂着しているとの試算を公表した。平成17年度に実際に漂着したごみの総量のうち外国から流れ着いたと見られるのはわずか6%で、大半が国内で発生したものだった。同省環境課の瀬川恵子課長補佐は『漂着ごみは外国からという印象が強いが、ごみ処分対策のほかに、発生源とならないよう国内の啓発を勧めたい』としている。会議によると、昨年8月中旬〜9月下旬、注射器などの医療廃棄物を約2万個回収。うち中国語やハングルの表記があったのは約800個だった・・・」とあるのだが、彼に言わせると「とんでもない。特に酷い九州地区の現状は全く記事の反対で、東北地区を含めても、半分以上が日本ということは絶対にあり得ない」と怒りをあらわにした。
 彼は早速産経新聞社に抗議?したようだが、その結果については承知しない。
環境省がまさか間違ったデータを記者会見で公表したはずも無いから、何かの手違いだろうが、それにしても「調査費」を計上し、それを受けて「コンサルタント会社」が調査する、というのだから、そこには何と無く“臭う”ものがある。地方自治体などが、懸案事項を「民間会社」や「研究機関」などに委託して、研究・調査するというパターンは“キックバック手口の定番”で、それに政治家が絡むと大抵「スキャンダル」に発展しやすいことは、過去の多くの事例で証明されている。しかもこのごみ問題を取り扱っている会合の座長は、加藤紘一議員だというから、彼はこの記事自体に何か裏があるのではないか?と疑問視しているという。確かにそういわれてみれば“臭う”のも当然だろう。
 そこへチャンネル桜からFAXが届いた。何と、映画「南京の真実」製作を公表し、番組で「支援要請」をしていることに目をつけた「輩」が、「日本文化チャンネル桜」の名をかたって「お願い」と称し、映画「南京の真実(仮題)」への支援金を振り込むように書いた、いわゆる「振り込め詐欺」のはがきをこの趣旨に賛成する人たちへ送りつけているというのである。
「これらの葉書には『差出人 日本文化チャンネル桜』と記載がございますが、弊社はこのようなものは、葉書に限らず、一切出しておりませんので、どうか、ご注意くださいますようお願いもうしあげます」とFAXには書かれていたが、いやはや、石川五右衛門の「浜の真砂・・・」じゃないが、この世から悪知恵を働かす者は絶えないものだ、とつくづく思い知らされる。