軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

相次ぐ閣僚失言

 今朝の産経新聞5面に「閣僚失言・幹事長が官房長官を指導」とある。「自民党の中川幹事長が30日、塩崎官房長官らを幹事長室に呼び、相次ぐ閣僚の問題発言を厳重に注意した」そうだが、こんなことでは安倍首相も美しい日本造りに邁進できないことだろう。自民党には「若い首相をやっかむ老人集団」的な雰囲気が漂っていて、この国は「民主党のコマーシャル」のように難破しかかっている様に見える。やる気のない“左翼的”自民党員を排除して、いっそ、民主党などの“右翼的”党員と合体して新政党を再編成した方がいいのじゃないか、と思うくらいである。とにかく、世界は急激に動いている。米国の次期大統領選挙の例を挙げるまでもなく、北朝鮮も韓国も不安定で何が起きても不思議ではない。中国も、胡錦濤主席が確実に軍や党員を掌握しきれているとは言いがたい。台湾でも次期総統選挙をめぐる熾烈な戦いが始まっている。韓国も中国も、国内問題で行き詰ると、必ず「外に敵を求めて」国内をまとめようとするが、そのターゲットは日本であり続けてきた。今までは、何と無く米国が「支えて」くれていたから切り抜けてこられたものの、久間発言以降、肝心の米国も日本防衛に乗り気ではなくなっているように見える。まさに四面楚歌なのに、国内では「閣僚失言問題」でてんやわんや、与党も野党も実に次元が低い。
 ところで同じ産経の15面「談話室」に良い意見が出ていた。「失言攻撃より前向き議論を」と言う、千葉県印西市に住む43歳の主婦の方の意見である。柳沢厚労相の「女性機械論」発言に市田共産党党書記局長や福島社民党党首らが辞任要求したことについて、「言葉尻をとらえた報道や、辞任要求する野党党首、もういい加減にしてもらいたいというのが、私の感想だ。あまりにひどい人権侵害や差別発言でない限り、言葉で返すべきだと思う。特に女性政治家には機知に飛んだ言葉で、頭の固い男性議員達に一矢報いてほしい。私は3児の母親だが、この発言はさほど気にならない。男性だって『会社の歯車』のように働き、リストラにあったりして大変だと思う。それより、もっと前向きで具体的な少子化対策を早急に進めないと、日本の国力が低下していく。大臣の発言にいちいち目くじら立て、辞任要求する時間が惜しい・・・」と言うのだが全く同感である。
 国会もこの体たらくだがメディアもひどい。関西テレビの「納豆事件」、産経大阪本社でも裁判員制度のフォーラムで不適切な募集が発覚、どこのメディアも信用できない状態である。NHKが教育番組で放映した「戦時性暴力」なる「従軍慰安婦」をめぐる番組に対する判決も、産経が「主張」したように聊かおかしい。朝日が政治家の圧力で事前に変更されたという報道だって、解決されたとは言い難い。東京高裁は「編集は報道の自由の範囲内」と判断したそうだから、納豆もレタスも「報道の自由の範囲内」なのだろう。経済界だって極めておかしくなっている。不二家パロマガス、三菱自動車などなど、数え上げればきりがないが、これらはすべて上に立つ者の「責任感の欠如」に起因している。
 話は逸れるが、先日、駿河湾で深海魚の「原始サメ」が捕獲されたが死亡したという報道があった。時を同じくして今度は日本海側で、深海に住む巨大イカが打ち上げられたと報じられた。列島周辺海域では地震が多発している。何だか海底でも異常な変化が起きているように思えるのだが、そんな状況に国民が何と無く不安を抱いている時に、閣僚の失言問題で国会の貴重な時間を浪費するのはいかがなものか。
 国会ではこの国のあり方についての意見交換が最優先されるべきで、戦後体制の打破を急ぐべきである。時間稼ぎのための、ためにする論議を優先すべきではない。最も、無知と無教養を披瀝する閣僚に対しては、指揮官である安倍首相が「首を挿げ替えれば良い」のであって、泣いて?馬謖を斬ることも必要だろう。「そこに迫っている危機」に国を挙げて早く備えてほしいものである。