「それでも民主党ですか？」 - 軍事評論家=佐藤守のブログ日記

この紙面は今年2月19日付の産経一面である。このころからすでに民主党内はガタガタだった。ところが外国人からの政治資金受領問題で菅首相が厳しく追及されていたさなかの3・11に大震災が起きた。その後の状況は書くまでもないが、次の紙面は今月21日の産経一面である。

とにかくこの間、わが国の政治情勢は停滞どころか「後退」していることが良くわかる。少なくとも産経の連載表題は、「民主崩壊」から「民主漂流」に“浮上”したのだから。
野党もおろおろしていないで、3・11直前の審議を再興したらどうだ？
私は震災直前に竹島を韓国に売った同級生に「バッジを外せ」と勧告したが、彼はその後民主党から離党しただけでのうのうと録を食んでいる。

先日亡くなったあの冷静で紳士だった俳優の児玉清氏は、総合雑誌に日本の政治家の「幼児性」に怒りと愛想を尽かした随想を書いた。私はそれに≪偽善性≫を付け加えたい。
連日一面を飾る新聞記事を並べてきただけでそれは裏づけられているのだが、どうしようもないのが現実で児玉氏同様無力感が漂うだけ、被災者はそれどころじゃないだろう。
これを「己の無能を部下の血で贖う」所業という。

政権交代が声高に叫ばれていたころ、民主党は例の「マニュフェスト」を配った。
これがそうだが、今読んでみるとよくも国民をだましたものだ、とその天才的詐欺師ぶりに感心する。

警察は今「振り込め詐欺に注意するよう」機会をとらえて呼びかけているが、全国民？が民主党という振り込め詐欺集団に引っかかったようなものだ。その犠牲者は間違いなく今回の被災者たちであろう。

当時、多くの友人たちがこのマニュフェストを分析したが、その中の一つである「日本政策研究センター」は、「それでも民主党ですか？」と明快な警告を発していた。しかし、いかんせんこれを決めるのは有権者である。「だから言ったじゃないか！」などと私はもう言わないことにしている。

更に忘れてはならないのは政権交代を成功させようと、一部のメディアは反政府感情を煽ったがそれがよく表れているのが次の週刊誌の表紙であろう。民主党政権成立に寄与したと大喜びだったこの週刊誌は、今回の民主党の無様な内紛をどう取り上げているか知らないが…

ところで今回の震災復興が遅れ、さらに脱原発で電力が削減されるという予測から国内での操業をあきらめて外国へ出ようとする動きに警戒せよと私は警告した。

中国が早々から被災地各地の中小企業主に対して中国へ移転するよう有利な条件を提示して、日本から精密機械工業などの技術を奪取しようとしているとの情報を得ていたからである。
尤も、隣の韓国も脱原発で浮かび上がった太陽光発電で一儲けしようと菅首相に接近しているが…

情報によるとすでに800社にアタックしているというが、政府の復興施策の遅れと、脱原発施策による電力不足を予想して被災地のみならず各地で動きが加速しているから「十分注意した方がよい」と４月にアドヴァイスがあったのである。
しかし私は無力である。ここで警告するだけだが、今朝の産経にはその端緒たる移転問題が報じられている。

こうして産業の空洞化が始まると、最新技術は流出し、優秀な日本人青年たちの雇用も減り、大きな社会問題が生まれてくるだろう。
みずほ総合研究所の市川雄介エコノミストは、≪（自然エネルギー普及は）思い付きのレベルに過ぎない。中長期的なエネルギー政策を明示しないと、空洞化は防げない≫と警告しているが、猛暑を迎えるであろうこの夏にでも、供給電力はパンクして各地で停電騒ぎが起きかねまい。
基幹企業はもとより、医療関係業務にとって停電は致命的である。もちろん、国の安全を預かる防衛始め、治安機関などの行動も大きく制約されかねない。それが何を意味するか…

我が家は震災後、月額約40％の電力削減に成功（冬バージョンから移行期であったせいもあるが）したが、年金生活者がいくら頑張ってもスズメの涙だろう。各家庭など個人生活上で起きる障害よりも、国家的観点から見て非常に危険な状態を生じかねない事を恐れる。
前掲のマニュフェスト同様口先だけで、失敗しても誰も責任を取らないのがこの国の政治家たち、犠牲になるのが“市民たち”という構造じゃたまったものじゃない！

基幹産業の海外脱出と国内産業の空洞化を一番喜んでいるのがどこのどなたかを考えてみれば、やるべきことの優先順位はわかりそうなものだが…