軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

目を覚ましかけた?日本人

 34年間の自衛官生活を元に、「お人よし日本人よ、目を覚ませ!」「自分の国は自分で守れ!」と云うタイトルで文書を書き、講演して歩いて早10年になる。そんな私だったから、今朝の産経新聞一面トップを見て、やっと目を覚ましたか!と少し嬉しくなった。
「北秘密組織工作員証言」「万景峰号使い拉致」という見出しで、「昭和48年に失踪した渡邊秀子さん=当時(32)=の2児拉致事件で、犯行グループが所属した北朝鮮の秘密工作組織「ユニバース・トレイディング」が、万景峰号や貨物船で、日本人や在日朝鮮人を北に拉致していたことがわかった」という記事が出た。おそらく当時から、関係者の多くはよく知っていたに違いないのだが、それが何故今まで「伏せられてきた」のかが問題だろう。日本の優秀な警察・公安は、当時から彼らをマークしていた筈である。まだ現役だった頃、能登半島沖に停泊する「正体不明」の船舶から、乱数が発信されていることを嗅ぎつけた新聞記者から、その録音テープを聞かされたことがあったが、私は専門家ではないから判読できなかった。勿論、夜遅くに、半島のラジオが流す4桁数字を聞いたこともある。東北地方に限らないが、深夜ラジオを聴くと、大陸などからの電波のほうが良く聞こえることがある。こうして彼らは日本国内に住む工作員と連絡しあっていたのだが、そんなスパイ小説もどき事が、実際に行われているとは“平和に慣れ親しんだ”一般国民は思いもしなかったであろうが、専門家は熟知していた筈である。
 昨日、強制捜査が行われた朝鮮出版会館前では、屈強な男達が中心になって警察官ともみ合った。こんな身勝手な妨害行動が許されているのは、法治国家日本では彼らぐらいではなかろうか? 捜索されるのがそんなにいやなら、母国に帰ればいいじゃないか、日本にとっては迷惑この上ない!と思う。
 北朝鮮関連施設を捜査するのは、このような“実力行使”でいつも妨害されてきたが、物理的妨害以外にも“政治工作”で潰されたことのほうが多かった筈である。
 今やっと、小泉・安倍政権になって、警察・公安は本来の正常な活動に戻ったように思われる。拉致事件に関するだけでも30年間たったが、このような事態を放置してきた国の指導者達や、積極的に反対し“捜査妨害行為”をしてきた当時の社会党の大物?達は、自らの責任をどう思いながら、この騒動を見ていることだろう?
 国の「無作為」の責任は誰が取るのだろう?拉致された本人は勿論、被害者家族にどう言い訳するのだろう?
 いつも思うのだが、現在の責任者が当時の責任を負うのは不合理であり、責任を「放置」した当時の責任者達に遡及されるべきではないか? 心優しい日本国民は、あまりにも”寛大”に彼らの「逃げ得」を許してきたから、この種事件は絶えなかったのだ、と私は思っている。

 昨日は、週刊朝日が安倍首相秘書が長崎市長銃撃事件に絡んでいるかのような報道をしたことに対して、安倍首相が激怒した、と報じられた。今朝の「産経抄」にも書かれているが、この新聞社のやることは姑息で無責任で、日本の信用を落とすこと甚だしい。「朝日は反論するのかと思ったら、小さな新聞記事でお茶を濁す。良く見ると、後ろに5行ばかりの『広告の一部でお詫び』があった。もっとも安倍首相が反論すれば、読者の購買意欲を刺激し、週刊誌が売れる。かくて、良心と正義の裏はソロバン勘定に通じる」と産経抄は書いたが全くその通りである。「首相対朝日のバトルは2年前に遡る。日本軍の慰安婦問題を取り上げたNHKの番組(それも松井やよりという朝日の編集委員が絡んでいた番組だが)が、政治的圧力で改変されたとかみついた朝日記事掲載以来になる」とも書いたが、あの件は未解決のままではなかったか?今回は是非とも結論を出して欲しいものである。あの記事を書いた本田記者は“75日”を過ぎたと思ってか、いまや地方の支局長にご栄転だという。
 4面端に「週刊朝日に法的措置」として安倍首相は「秘書は本人や家族の名誉がかかっており、当然法的な措置をすると思う」と述べたそうだが、絶対にうやむやにしてもらっては困る。発刊禁止措置ぐらいとっても当然だろう。

 集団的自衛権問題も動き出した。憲法を改正しない限り、これまた「有事法制並み」の取り扱いに終わらないとも限らないから国民の監視が必要だが、何と無く、戦後60年間惰眠を貪ってきた我が国も、ここに来てやっと「お目覚めか?」という感じがした。勿論「感じ」だけに終わって欲しくはないが・・・