軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

2008年に備える台湾

 国民投票法案も11日に参院で可決、成立した。これで憲法改正への第一歩が踏み出せた。安倍政権は着々と成果を挙げているが、他方野党は不思議な動きをしている。とりわけ民主党などは近々自滅?するのではないか?と思えるぐらい混乱しているようだ。
 参院選を控えて、いたるところに貼ってある政党のポスターはそれぞれ特色があって面白いが、民主党はそのポスターさえも、党首の顔色が冴えないように見えるから不思議である。
 共産党は何とかの一つ覚えよろしく「憲法を守れ!」と必死、公明党は、あれこれ「私がやりました!」と自画自賛、自己宣伝に努めている。
 島国・日本はこれほど「ノー天気」で一見“平和”に見えるが、お隣の台湾は、自主防衛に懸命である。
 今朝の産経新聞一面中央に「高速道路からヒラリ」というタイトルで、15日から始まった台湾軍の定期演習で、封鎖された高速道路から飛び立つF−16戦闘機の写真が大きく出ていた。(写真)
 近所の建物屋上には、市民が多く見物している。我が国では“絶対に”見られない光景である。
 私の現役時代に、こんな訓練が国内各所で平然と行われていたら、パイロット達の士気も俄然向上したことであったろうと思うのだが、わが国の高速道路は、緊急時の軍事使用などということを考えて設計・建設されてはいないからいずれにせよ不可能ではあった。ドライバーの安全運転第一に設計されていて、居眠り防止用のカーブが続いているから、時速300キロのジェット戦闘機で着陸するのはブルーインパルスパイロットでも不可能に近いからである。
 昭和53年に韓国を訪問したとき、高速道路に滑走路用のマークが描かれていて、サービスエリアには燃料補給施設があったし、中央分離帯も、コンクリートの花壇用ポッドを除去すれば、直ちに上下線の道路幅がそのまま滑走路幅になる。勿論、電柱などの障害物は一切ないという現実を見て、うらやましく思ったものであった。
 一般道路のほうも、ところどころに「凱旋門」のようなゲートが作られていて、その上には戦車妨害用の巨大なコンクリートブロックが置かれていた。いざというときには柱を爆破すればこれで道路が封鎖できるのである。
 国境(休戦ライン)に近い丘陵地帯に建っている“広告塔”は、その中が見張り所になっていて、兵士達が張り込んでいた。この頃の韓国は“休戦中”だったから、常時臨戦態勢下にあったが、今は南北鉄道が開通するほど“平和”な様で、台湾海峡のほうが相当緊張してきた。
 中国も、勿論“それ”に備えていて、「米空母攻撃ミサイル」を開発し、ロシアからか学んだ「射程外攻撃」を研究しているという。(写真)
 中国政府は、北京オリンピックを控えて、身動きが取れない情況にあるが、振り上げたこぶしの落しどころを探っているに違いない。共産党の現政権が軍をどれくらい掌握しているか、そこが問題だが、いずれにせよ「軍事に希望的観測は通用しない」ことを忘れてはならない。