軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国に対する“包囲網”

 ディズニーランドのコピー騒ぎに加えて、中南米では「毒薬」騒ぎが起きているという。「昨秋、パナマ市で推計360人以上の子供が犠牲になった咳止めシロップ中毒は、中国外務省の公式発表によると、シロップの原料に江蘇省泰興市グリセリン工場製造の『TDグリセリン』が使われていたためだった。・・・泰興市はニセ医薬品原料製造の中心地だとも言われ・・・」と産経は報じた。
 米国でも、ペットフードによるペットの大量中毒死事件が発生して問題になっているが、これも中国産の小麦粉に農薬が混入していたのが原因だという。
 以前ブログに私の体験談を書いたが、中国人自身が「同胞が作った食品」を殆ど信用していないのだが、それを知らない外国では当然この手の被害は広がることだろう。
 他方、スーダンなどアフリカでの「20万人ジェノサイド」に、中国が武器を輸出して深く関わっていたことも問題化しているが、米国の議員達が「北京オリンピックボイコットの動き」を示しているというから、これも中国政府にとっては頭がいたい問題である。加えて、胡錦濤主席自身が関与したチベットでの人権抑圧問題にも火がついた。 更に米国議会は、先日の「中国の衛星破壊」について分析し、台湾有事に際して米軍の支援を阻止する目的があると分析し警告している。中国政府に対するこれら「包囲網」の形成は中国政府にとってはまさに「四面楚歌」である。
 では中国国内は安定しているのか?というと、先日、天安門広場に掲げてある「毛沢東肖像画」に対する放火事件が示すように、不安定要素は燻っている。オリンピック会場設営のため、古くから北京市内に住んでいた住民たちを市内から強制退去させた反動も大きいらしい。
知的財産権無視」「非衛生的食品の輸出」「毒薬を医療品と偽って輸出」「人権無視のジェノサイド」「チベット侵略」などなど、自ら招いた災難が皮肉にも国家的行事であるオリンピック開催を危うくしている。その他、「臓器売買」「胎盤・胎児の食品化」「HIV・SARS」問題も深刻だから、政府は気が気ではなかろう。
 先日お会いした、大陸の隅々まで承知している旧特務関係の大先輩は「そんな人的障害よりも、自然災害のほうが厳しい」という見解を示しておられた。これも実は「人災」なのだが、巨大ダムの建設や、高速道路の建設など、民需優先といいつつも実は軍事優先の施策が、自然破壊を急速に進展させているのだという。
 その結果、四大文明の発祥地であった筈の「中国」の大河は、今や枯れ果てつつあり、水不足と砂漠化の問題は深刻な事態を通り過ぎて、既に危険な情況にあるという。
 確かにインターネット上に流れているだけでも、中国大陸の自然破壊には凄まじいものがある。だからといっては何だが、温家宝首相が来日したのは「万事休する」前に、日本の技術でこれを救って欲しいというのが本音なのであろう。しかし「メンツ」があるから、演説では強気を示す必要があった。
 だが、過去の日中関係を見ると、我が国に対する中国政府要人の言動は「信じるたびに裏切られる」ことを示しているから、軽々にその手に乗ってはなるまい。だから我が国が、仮に「友好」第一で中国を支援しても、オリンピックが無事に終わってしまえば彼らは気にも留めるまい。そして次は当然のこととして「上海万博」支援要請となるだろう。そして次は・・・?。言うまでもなく台湾侵攻にたいして手を出さないように我が国に強制する・・・。
 北京オリンピックが中止になろうとなるまいと、我が国への影響はさほどではなかろう。仮にオリンピックが中止になれば、代表選手たちは「涙を流す」だろうが、むしろHIVを防衛できたことに感謝すべきかもしれない。
 実はあまり報じられていないことだが、中国大陸内に蔓延するHIVは、既に危険域に達しているという報道もあり将来の人口はむしろ逓減するとの観測もあるという。
 その原因は衛生観念に乏しいというお国柄もあるが、資源獲得のため、アフリカ大陸に進出した中国人技術者?や、作業員達が“産地直売”の強力なHIVを頻繁に国内に“輸入”していることにあるらしい。
「アジアの平和」「世界の平和」などのお題目は、所詮共産党幹部にはどうでもいいことなのであって、政権保持だけが急務なのである。その証として、他国に「毒薬」や「不衛生食品」を垂れ流していても平気だったのである。
 世界からの非難の声が高まったので、中国政府は「中国製の食品や医薬品の安全性確保を、第11次5カ年計画(2006〜2010年)で、目標とすることを決めた」というが、今まで国内でこの種事件が頻発してきたことは棚に上げて、海外に被害が広がり「中国製品に対する不信感が高まっているため」に取らざるを得なかっただけのようである。
 中国人民が「自己防御」していることは既に書いた。水は信頼できる「ペットボトル」からしかとらない。蜂蜜は毒だから買わない。毛生え薬は工場から垂れ流された廃液だから危険である。醤油は毛髪製アミノ酸・・・などなど、自らの健康は自ら守る意識が徹底している。それに比べて日本人の人の良さ・・・!。
 通信販売の製品の9割は中国製、スーパーの食品の殆どは中国製、中に国産と書かれた製品もあるが、調べてみると実は最終段階を日本で処理したまがい物・・・。パナマ人や米国のペットのような被害にあったという報告がないのが不思議だが、勘ぐれば、福島県会津での母親殺しに代表される「意味不明な凶悪犯罪」の裏には、中国産の食料や医薬品などの影響があったりして・・・!
 その昔、ジュネーブ軍縮委員会で「環境変更技術の軍事的利用禁止問題」が討議されたことがあったが、戦争とは、単に「どんぱち」やることだけではないことを日本人は知る必要がある。今回米国やパナマで問題になった事例は、ある意味で中国による「生物・毒素・化学戦争」ともいえないこともないのである。勿論「結果的に見れば」であるが。
「ペコリ」氏や「青い龍胆」氏が、戦争も民間企業が代行している事をコメントしてくれたように、古い観念にとらわれていると、現実問題を理解できなくなる恐れがある。イラク紛争も、実は「宗教対立」や、「戦争にしか生きる術を見出せない」単なる「ヤクザの争い」にしか過ぎないのかもしれないのだが、それを近代「戦争論」を元に、近代兵器で立ち向かえば、あんな情況になる、ということかもしれない。菅原氏の著書は、そういう観点からも大いに参考になる。