軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

情報戦に負けた大東亜戦争

 土曜日は、親しくしている私大教授を囲む夕食会に出席してきた。英文学、日本文学、更に出版会や大学の裏事情など、操縦桿しか知らない私にとっては、いつものことながらいい勉強になった。若い大学職員によると、いまや大学は“はしか”でてんてこ舞いだそうで、「“ゴールデンウィーク”に次いで“はしか休暇”、やがて“夏休み”となると、大学生達は何時勉強しているの?」と私が嫌味を言うと彼は頭をかいた。
 昨日は、山梨で開催された「私大教授宅の園遊会」に招かれた。一部“黄砂”でかすんではいたが汗ばむほどの好天に恵まれ、40名近い大学教授や保守派物書き?先生方と共に、見事な日本庭園を眺めながら、しばし日本文化、銘酒、茶室での茶道を堪能した。錚々たる文化人出席者の中で、私はただ一人の“野武士?”だったが、談論風発、実に良い勉強になった。印象に残った面白かった話題を少し・・・

1、中国国内を旅行してきた評論家が「夜の宴席ではべる娘達は全員大学卒、彼女たちに今やりたいことを尋ねると、外国人男性と結婚してこの国から出たい」というものだったという。南京虐殺も、靖国問題も、全く知らない中国の女子大出達を見て、今騒がれている“日中間の諸問題”なんて、所詮一部の共産党員の政治問題、そんなことに捉われていることが果たしてどうなのかと、疑問を感じたくらいだった」と彼は言った。
2、中国人ジャーナリストは「マルクス主義共産主義から逃れるため、日本に留学したら、日本の大学教授の殆どが“マルキスト”だったので、自分は何しに日本に来たのか?と考えさせられた」と言った。彼は私の講演を聞いて<先生、中国は悪い>ではなくこれからは<中国共産党は>と言い換えてください。悪いのは<共産党>ですから、と言った本人である。
3、韓国人女性ジャーナリストは「韓国男性ほど酷い“男尊女卑”はいない。女性が学問を身に付け、高学歴になっていけば行くほど離婚率が高くなる。韓国の教養ある女性も中国の学歴の高い女性たちのように、日本人男性にあこがれている。ところが、日本人女性は韓流ブームとやらで、韓国男性に憧れて、韓国女性が逃げた分の“穴埋め”をしているのが皮肉である」といった。
 友人の一人は、「中国、韓国の女性が日本男性を好むのは“金目当てでは?”」と言ったが、「確かになよなよしたひ弱な男が多いから、やさしさを求めている彼女達には良く見えるのかもしれない。一方、日本女性は、日本男性に男としての魅力を感じず、その分徴兵制で軍事訓練を受けた韓国男性のほうが、逞しく強く感じるのだろう」と言ったが、言いえて妙ではある。それにしても世の中の男女関係はなんとも摩訶不思議である!
 更に彼女は「韓国人でありながら日本を支持する私は、韓国では『反韓人』としてテレビで大きく取り上げられ、日本のキャンパス内や教室での一挙手一投足が「隠し撮り」されて韓国で誇大に放映された。私のためにインタビューに応じた日本の先生方の意見も、2時間取材された中のごく一部が『私を非難する』材料として都合良い部分だけが繋がれて使われた」と言ったが、いかにかの国の報道がデタラメかわかろうというものである。
4、ある日本人女性ジャーナリストは「憲法改正問題も重要だが、危機に瀕しているのがジェンダーフリーで、小学校で行われている『性教育の実態』を知れば、この国は間違いなく破壊されつつある事を思い知らされ恐ろしくなる。先生方には是非『小学校での性教育の恐るべき実態』を知っていただきたい」と言った。
 保守派大物の物書きの中には、呉越同舟的雰囲気もあったが、所詮素人の私の目から見れば、日本のよき伝統文化を守ろう!という意欲は同じでも、そのやり方、つまり富士山に登る登山道が違うだけなのでは?と感じさせられた。門外漢の私にとっては、このような「異業種交流の場?」から得られる情報は刺激的で有益である。

 ところで、私は「大東亜戦争の真実を求めて」手元資料を片っ端から乱読中だが、ようやく読み終えた「日本軍のインテリジェンス・・・なぜ情報が生かされないのか」(小谷賢著:講談社刊「講談社選書メチエ」:¥1600+税)は示唆に富んでいた。著者の小谷氏は、防衛研究所戦史部教官だけあって、豊富な史料を読み解き、旧軍の失敗、英米各国の情況、当時の日本政府の無関心ぶりなどの教訓はもとより、現在進行中の情報機関創設についても、大いに参考になる提言をしている。情報分野の好著だと思う。何よりも、今我が国内でひそかに進行している「特定アジア諸国」からの間接侵略に早急に対処する必要性を読んでいて痛感する。詳細はご一読頂くとして、彼の結論ともいうべき点を簡単に書いておこう。
「本書は、日本軍のインテリジェンスを検討することにより、その特徴と問題点を描き出そうとしてきた。他方、戦前と現在の日本のインテリジェンスには共通する点も多く、歴史の教訓を生かしていくために現在の問題についても若干考察していきたい。
 戦前の問題点を踏まえた上で現在の日本のインテリジェンスを見た場合、1、組織化されないインテリジェンス。2、情報部の地位の低さ。3、防諜の不徹底。4、目先の情報運用。5、情報集約機関の不在とセクショナリズム。6、長期的視野の欠如による情報リクワイアメントの不在、といった特徴が垣間見えてくる。
 これらの特徴を踏まえておかないと、日本に新たな対外情報機関のようなものが創設された時に、それが機能しない可能性は高いと考えられる」
 
 実に示唆に富んだ意見だが、いかに完璧な情報機関を創設できたからといっても、それを活用するのは「人」である。提供されたインテリジェンスを、最高権力者が「主観的に評価して、政治的に利用」したのでは、情報は決して生かされない。
 今や、政官界は勿論、司法界、教育界、宗教界、更には自衛隊始め「治安機関内」など、ありとあらゆる方面にその手が伸びていると考えて間違いなかろう。「敵も知らず己も知らず」では、複雑怪奇な21世紀を生き抜くことは出来まい。二度と「不幸な歴史」を繰り返さないためにも、その努力を欠かしてはならないと思う。
 その良い?実例として、国際情報誌「SAPIO」6月13日号が、拉致事件の詳細な資料を整理して提供してくれている。「引き出し大図解」「北朝鮮『国際的拉致工作』を丸裸にする<PART1〜2>」がそれだが、ここに掲げられた、過去のこの問題についての分析「素資料」は何を物語っているか。私には、戦後60年間、我が国がこの手の謀略戦に全く無知・無関心であったことを如実に証明されているとしか思われない。
 SAPIOが同時に特集している<中国発世界株暴落の跫音>よりも、今の我が国とっては、この分野・間接侵略防護に関する猛反省をすべき時ではなかろうか、と思う。