軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

埋もれた歴史を見直そう!

 昨日は書斎の大整備、ケーブルテレビとインターネット、それに電話回線を統合して、椅子から半径1m以内に全ての装備が集中出来るよう改装した。
 固定電話は今や私の“仕事”上のFAX機能が主で各自は携帯電話とメール、考えてみれば贅沢なものだが、そんな訳ですぺてを一本化したのだが、狭い書斎が「コックピット」のようになった。最も全面書棚に囲まれているから、戦闘機ならぬ輸送機のコックピットではあるが・・・

 ところで、今朝の産経新聞27面の映画「明日への遺言」特集には驚いた。岡田中将を演じた藤田まこと氏が出演裏話を語っている。出演依頼を受けたとき随分迷ったが、それは「戦争体験のある人たちに、『あの岡田資中将はうそだよ』と言われたらどうすればよいか・・・」と考え怖かったという。その気持ちは痛いほど良く分かる。
 実は戦後評価が分かれたある有名な旧軍人の回想録の内容を巡って、戦友たちが“そんなこと”を言っていたという実話を聞いていたからである。まさか藤田まことがそれを知っていたわけではなかろうが、彼の人柄を彷彿とするエピソードではある。
 その昔、私が空幕の広報室長だったころ、航空自衛隊を主題にした映画を作りたいという要望を受けて協力しようとしたことがあった。(はるか後になって『ベスト・ガイ』が完成したのだが)
 制作会社としては制作費に見合った利益が上がることが条件だから、自衛隊や家族、支援団体はじめ、防衛産業界が切符を購入するであろう見積もりを行ったのだが、良い答えは帰ってこなかった。 そこで、せめて防衛産業界の各社が、厚生活動の一環として、入場券を割引して社員に売ってくれまいか?と某社幹部に相談したのだが、武士の商法の悲しさ、一顧だにされなかった。
 そのうちに要請してきた映画会社のほうが「延期?」といってきたのだが、その理由は予定した俳優女優の殆どが「自衛隊の宣伝には協力しません」と言って断ってきたからだというのである。
 既に亡き超有名俳優や、現在も活躍中の有名女優の名前を聞いて、「我々は彼ら彼女らを差別することなく有事に守ってやる気なのに・・・」と“差別された”ことが情けなかった。
 藤田まことの述懐を聞いて、その時の状況と重なったのだが、やはり「自衛隊と旧軍」の国民的支持層の厚さがその差となっているように思ったのである。それとも時代は変わったのだろうか?
 左側面記事には「岡田資中将の素顔」として、原作者・大岡昇平氏の言葉があったが、「軍人は上級になればなるほど政治的になり、ずるくなるが、軍司令官クラスには立派な人物がいることを知った」という一語は胸に刺さる。
 一貫して部下の責任を取り、59年の人生を終えた岡田中将の「敗戦直後の世相を見るに言語道断、何もかも悪いことは皆、敗戦国が負うのか?何故堂々と世界環視の内に国家の正義を説き、国際情勢、民衆の要求、さては戦勝国の圧迫も、また重大なる敗因なりし事も明らかにしようとしないのか・・・」という一語は、今次大戦で散華した全ての英霊の気持ちを表した言葉であろう。

 先日鑑賞した「南京の真実」については、5面の「政論探求」欄で、花岡編集委員が「『ガソリン国会』の攻防戦に明け暮れる中、首相官邸で試写会を催してはどうか」と書いているが同感である。
 なんとも今のこの国の指導者には緊張感が足りないばかりか、指導者としての自覚さえ欠如しているように感じられる。敗戦の責任を取って従容として絞首台の露と消えたこれら先人たちの爪の垢でも煎じて飲め!といいたくなるが、岡田中将は享年59歳、ちなみに『南京の真実』で処刑された板垣征四郎大将(63歳)、松井石根大将(69歳)、土肥原賢二大将(65歳)、武藤章中将(56歳)、木村兵太郎大将(60歳)、東条英機大将(63歳)であり、私は唯一の文官であった広田弘毅首相(70歳)と松井大将以外の諸英霊の享年を既に越えて生きていることになり、なんとも早心苦しいことではある。
「永く生き過ぎた・・・」と述懐した松井大将の心境が痛いほどわかる年代になった・・・

 ところで、自宅に色々なパンフレットや書籍が届くが、昨日は書籍2冊と、FAXが届いた。
一冊目は、青木直人氏の「敵国になり得る国米国」(PHP出版:¥1300+税)だが、前書きに注目すべきことが書いてある。「文化大革命時代の秘話」で、「劉少奇・王光美一族と、ヘンリー・キッシンジャーとの秘められた関係」についてである。
 劉少奇の三女であった劉亭は(修正)ハーバード大で学び、ロックフェラー財団に就職するが、その時の「ロックフェラー財団の外交顧問がキッシンジャーだった」という事実が何を物語るのか。是非ご一読願いたいと思う。事実は小説よりも奇なりの典型である。


 2冊目は若い女性で孤軍奮闘している畠奈津子女史+大舘亜津子女史が書いた「漫画で読む昭和史・『南京大虐殺』の真実」(WAC出版:¥1238+税)である。彼女は『郷里人(キモンドー)』という小冊子の発行人だが、本来は漫画家でこの漫画本には『青少年に伝えたいメッセージ』がふんだんに盛り込まれている。約300ページの大作、是非お読みいただきたい。

 最後はFAXで届いた新聞記事である。1月19日付の『山陰中央新報』の記事で、朝鮮王朝時代の文献が見つかったが、それによると韓国が主張する『竹島』は、鬱陵島の北東に隣接する「于山島(うさんとう)=別名:竹嶼」であることが実証されたというものである。
 竹島問題に詳しい下條正男教授も評価しているが、何よりも今まで『地図より文献の記録を重視すべき』と反論していた韓国側研究者がこれをどう取り扱うか?
 今度は「文献よりも実効支配が優先する」とでもいう気だろうか?

 平成20年に入って、続々と埋もれた歴史が表面化してきたことはまことに喜ばしい。

日本人が知らない中国「魔性国家」の正体

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敵国になり得る国・米国

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マンガで読む昭和史「南京大虐殺」の真実

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