軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

入院日記 地獄篇 (その11)

6月2日月曜日の朝を迎えた。早朝から看護婦さんたちの活動は、いつものようにてきぱきとしている。
 6時、「佐藤さん、血圧を測ります」から始まって、検温、血液検査、点滴検査、そして便の回数を記録する。
「佐藤さんは、今日から流動食が始まりますので、これを飲んで下さい」といって、どろりとした液体が渡された。胃の粘膜を防護するのだという。8時、待望の「流動食」が来た。
「液状の粥、具の無い味噌汁、りんごジュース、温めた牛乳、それにほうじ茶」である。
取っ手がついたプラスチック製の“お椀”に入っていて、内容に合わせた?色分けがしてある。5日ぶりの「食事」、手を合わせて頂いたが五臓六腑に染み渡った!
 食後、看護婦さんが2粒の錠剤を渡してくれた。胃と潰瘍の薬である。
 現金?なもので、少量とはいえ胃袋に食物が入ると体が自動的に反応して便意を催し、これまた5日ぶりに少量の“宿便”が出た。これで胃袋から大腸まで、全て空っぽ!
 血管も点滴で“新鮮?”そのもの、私の身体は“新装開店”の趣きである。
 何と無く生き返った心地がして、ベッドに座ってラジオを聞いていると、「佐藤さん、病衣を着替えてください」と新しい寝間着を手渡された。

 ラジオでは相変わらず四川地震救援について、評論家達が「無責任な放言」をしている。JAL123便御巣鷹山に墜落した時には「自衛隊の救援が遅い!」とあれほど悪態をついた日本のマスコミが、中国人民解放軍の救援活動についてはさっぱり文句を言わないばかりか、「なぜ72時間も遅れたのか?」「外国メディア受け入れ拒否・・・」などについても、「もともと交通が不便なところ・・・」だとか「中国軍も苦労している・・・」などというのだからどうかしている。どうも彼らは日本人の顔をした中国人らしい・・・
 拉致問題についても、テロ支援国家解除を米国が進めていることについて、怒り狂ったかのような発言をしている者が居たが、少しおかしいのではないか?
 中国や旧ソ連のような何をされるか分からない「凶暴国家」に対しては言うことも言えず、民主的な米国に対しては罵詈雑言を浴びせる!
 考えてみるが良い。ブッシュ大統領は、横田早紀江さんの母親としての心情に心から“同情”したのであって、だからといって「米軍を差し向けて」奪還することまでは毛頭考えてはいるまい。彼は米国の大統領であって日本の首相ではない。それをやるのは「日本国政府自身」である。それがわが政府は今まで全く手を打たなかったばかりか、拉致を否定していた輩さえいたのではなかったか?あまりにも頼り甲斐がなかったので、家族たちはブッシュ大統領に“泣きついた”のではなかったか?今頃「裏切りだ!」といわれても、ブッシュ大統領にとっては迷惑だろう。自分の国を自分で守れない“経済大国?”が、偉そうにものを言うな!と考えるのが一般的な国際常識なのである。

 女性問題で一時失脚した筈の元幹事長が本を出版したという。国家公務員33万人、地方公務員30万人・・・これらを3分の1に縮小するという。議員も参院を50人に、衆院を200人にする。何よりも、議員や公務員が「責任を取らないこと」が諸悪の根源だから、遡っても責任を取らせるべき!というのだが、その心意気や良し!
 大いに期待したいが、国会議員を削減する代わり?に、外国人を1千万人入れるというのは本気か?最もその前に“女性問題”で迷惑をかけた相手の女性の方に対しては十分な「責任」はお取りになったのかな〜?
「言うは易く行うは難し。まず隗より始めよ!」と御忠告申し上げたい。そうでなければ国民の誰も貴方を信用しないだろう。

 確か昨日のNHKラジオだったと思うが、スーパーでアルバイトしている阿久根市に住む52歳の失業男性が「働く気、やる気はあっても仕事が無い!」と深刻な悩みを打ち明けていた。52歳といえば「働き盛り」家族に対しても責任が重いころである。不安定な生活は悩みの種だろう。
 九州の地方高校を卒業したばかりの女性は、県内には企業が無いので県外のゴルフ場にキャディーとして就職するそうだが、何とも物悲しい。
 他方、外国人研修生制度を利用して日本に来ている中国の吉林省出身の若い女性は、月収17万円の8割を中国の家族に送金しているという。
「朝7時45分から夜の7時30分」まで働きづめだそうで、「疲れますが、でも若いから・・・」と語っていた。
 日本人の高校新卒者達が職が無くてフリーターという不安定な仕事で苦労しているというのに、中国から「研修生」が入ってきて仕事をしている、というのも理解に苦しむ。17万円は「生活保護」の基準額?では無かろうかと思うが、外国人にではなく、日本人に還元すべきではないか?
 どうも今の日本政府のやり方は、「生活保護」を受けている家庭が、隣町のお祭りには「多額の寄付」をするという“見栄っ張りな虚像の政治”にしか思えない。
 給料は多少安くても、就職して安定した生活を確保するというのが我が国の伝統文化?だったはずで、そんな伝統をぶち壊して利益追求に徹した企業が「フリーター」とかいう仮面を被った“奴隷制度”で利益優先主義に陥り、青年男女を路頭に迷わせているようにしか私には思えない。

 10時、突然看護婦さんが来て「佐藤さん、部屋を替わります!」と言った。「今まで大変でしたね〜。上の部屋が空きましたから移動しましょう」
 そういうと手馴れたもので、小形のキャビネットに衣類や荷物をつめてそのまま動かし、私が点滴棒を押してエレベーターに乗り4階の401号室に転居したのである!まさに地獄から極楽への移動であった!                    (続く)

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