軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「遠交近攻」戦略は成功するか?

前回、中国が大気汚染解消策として炭鉱などを閉鎖すると書いたが、今日の産経には中国の北京市政府が、
≪環境問題を協議する会議を開き、微小粒子状物質「PM2・5」の排出源である石炭火力発電所を一部閉鎖するなどして石炭利用を削減する一方、天然ガスの利用を拡大するとした大気汚染対策を明らかにした≫という「北京晩報」の報道を伝えた。
この程度じゃスズメの涙以下だから、次々と閉鎖するのだろうが、さて労働者たちのデモ対処はOKかな?
いち早く、KJ君はカナダに逃げたようだが…


また、中国は北朝鮮に対する制裁を検討中と書いたが、これも産経抄氏が、
≪中国で北朝鮮がほされ始めたらしい。北京発の韓国メディアによれば、習近平国家主席の就任を祝う各国首脳からの祝電で金正恩第1書記のものが4番目に紹介された。これまでの外国首脳からの祝電では常にいの一番だったのが、一気に「格下げ」になったという」とが認知してくれた≫と書いた。


ところでロシアに続いてアフリカを訪問している習新主席だが、彼の行動よりも「初外遊に同行している彭麗媛夫人のファッションや振る舞いに注目が集まっている」という。

≪人気沸騰!=大紀元日本から≫



中国国内では「夫人が身に着ける国産ブランド品の販売元に問い合わせが殺到、インターネット上には“ファンクラブ”が次々と登場するなど、人気は過熱気味だ」というから、主席としては痛しかゆしか、それとも計算通りなのか?

どうも中国っ子の批判で割を食ったのがプーチン夫人の様で、「首脳会談」に何故出てこない?と姦しいらしい。
プーチン夫人は、2回挨拶に出てきただけで、アフリカでは第1夫人がちゃんと出ていた」というのだが、「プーチン夫人は共産主義が嫌いらしい」とか、「魚釣りにでもいっているのか」など、プーチンよ、我らが習主席を小ばかにするな、とでも言いたげの様子。


同時に中国要人の第1夫人に対する批判も相当出ていて、毛沢東夫人(江青)は美人だったからよく表に出たが、英語がよくできた江沢民夫人はおとなしかったから表に出なかったし外出もほとんどしなかった。胡錦濤夫人は体が弱かったからあまり表に出なかったが、習主席夫人は、美人で歌手で、英語も2週間特訓して話せるようになったが主席は語学がダメだから夫人を同伴したのだろう、などとうるさいらしい。


ところがこんな批判の背景には薄帰来一派の動きがあり、もっぱら反習近平派が、夫人をほめることで夫たる習主席を誹謗しているのだというから何とも権力闘争とは複雑なものだ。
確かに習夫人は大々的に報じられたが、プーチン夫人の姿はあまり報道されなかったから、国際儀礼上どうなのだろう?
プーチン大統領が「出る必要はない」と出さなかったのかな〜
だとすると露中間には隙間風が吹いている?


しかし彭麗媛夫人は、プーチン大統領に中国名産品の刺繍織物を贈って喜ばせたという。まさか彼女自身が刺繍したのじゃあるまいが、プーチン大統領の上半身を克明に背広に刺繍したもので、以前、米国のオバマ大統領にも、家族全員の顔を刺繍したものを贈ったらしい。
そこまでされてもロシア側は武器輸出に難色を示していて、一部に合意したと報じられたのは、中国側が一方的に報道したものだというから、真偽のほどは不明だという。

そういえば、先日、両首脳が「両国の軍事面での連携強化を確認」したとしてその成果を報じているのは「中国メディア」であり、しかも、ラーダ級潜水艦のほかに48機を要求したスホイ35に対してロシア側が難色を示し「半分で合意」したとされている。
どうも中国側は国内向けに主席の成果を“強調”しているようだ。


ところが油断できないのはアフリカ訪問の方だ。

タンザニアに着いた習主席。大統領の後ろに正装した第1夫人の姿が=産経から≫


タンザニア大統領の第1夫人が出てこようと来るまいとどうでもいいが、問題は「タンザニア」の地政学上の位置である。
≪ロシアに次いで2カ国目となるタンザニアの最大都市ダルエスサラームでキクウェテ大統領と会談し、経済支援の継続と引き換えに、中国の「核心的利益」を支持するとの言質を取り付けた。中国建国の父、毛沢東とも関係が深いタンザニアをアフリカ最初の訪問地に選んだところに、習氏の思惑がうかがえる。
中国中央テレビ(CCTV)などによると、同大統領は習氏の訪問が伝えられたとき、「耳を疑った」という。中国は資源と将来的な市場の確保のためアフリカ進出を進めているが、タンザニアは農業国。しかも主要産物はコーヒーだ。中国が望む石油などの資源の供給国ではない。

 「発展途上国」の盟主を自称する中国は、欧米諸国に対抗するためアフリカ諸国を自らの勢力下に置く狙いがあるとされる。各国との1対1の関係強化から、中国とアフリカの協力関係を強化する戦術に転換しているようだ≫
と産経は書いたが、インド洋上には、米国のデェゴガルシアという戦略基地があることを忘れてはなるまい。


≪ディエゴガルシア基地=インターネットから≫


既に中国は、インドを取り巻く形で『真珠の首飾り』と称する港湾建設を進めていて、その延長線上にタンザニアダルエスサラームがあることを見逃している。
ここはインド洋に面した港町だが、タンザニア最大の都市でもある。恐らくここに、将来は空母が寄港できる基地を「コンテナ基地」と称して建設するに違いない。

米国が、経済的苦境に立っていて、軍事予算を削減せざるを得ない状況をとらえて、この機に「弱ったトラ」ににらみを利かせる気なのだろう。


尤も、アフリカ諸国も馬鹿ではない。前述した産経抄氏は、
≪だがこの中国外交に対し、当のアフリカ内部から批判が強まっている。資源をあさるだけで何も与えないというのである。「中国への愛から目を覚ませ」というナイジェリア中央銀行総裁の英紙への寄稿もあったそうだ。最近のアフリカ優遇はその修復ねらいと見てもいい。

タンザニアの大統領は習主席の訪問を聞いて「耳を疑った」という。これまで中国とはむしろ疎遠だったからだ。まずそんな国から「落として」いくという意図がありありである。「近攻」される国からは目を離せない「遠交」だ≫
と書いているから、どちらがしたたかか、やがて判明することだろう。


あと数年で中国経済は破綻するという予測もある。如何に「ソフトランディング」させるかが課題だが、我が国もそれにしっかりと備えておかねばならない。

7月の参院選までは「安全運転」などと言っていて、果たして良いものかどうか…
北朝鮮の“若殿”といい、大陸の「ロストジェネレーション経験者」の代表達といい、想定外の行動に走る気がしてならないのだが…。


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「ムルデガ:インドネシア独立のために戦った日本人兵士たち=加瀬英明著:自由社(¥1600+税)≫」
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拙著「大東亜戦争は昭和50年4月30日に終結した」にも詳述した。戦後の隠された歴史を知ってほしいと思う。

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