軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

宴の後で

 北京五輪は終わったが、地上波TVは何時までもその“余韻”に浸ろうとしているかのようである。日本国籍のタンカーが襲われ、アフガン、グルジアパキスタン・・・が風雲急を告げ、台湾までもが「統一に向けて?」金門島に架橋すると言い出しているのに・・・。
 BBCもCNNも、注目は既に米国大統領選に移っている。2008年最後の大舞台、2009年を占う一大事である。そんな中、オバマ候補暗殺計画も露見して予断を許さない。

 ところがわが日本では、国会の会期が漸く決まり夏休みボケから抜け出すかどうか?というところ。2大政党の片方である“民主”党では、代表選挙は行われないらしいが、対立候補が出ない理由が面白い。
 今朝の産経4面の「政論探求」欄の花岡客員編集委員によると、
「出ようとしても推薦人20人を集めれらない」
「小沢氏に歯向かうと徹底して干されてしまう」
「次期総選挙で政権奪取の可能性が出てきているのに、閣僚の椅子を逃すことになりかねない」
「党内がバラバラである実態に変わりはない。小沢氏の剛腕で押さえ込んでもらわないと、結束が保てない」
自民党との大連立をやろうとした人だから、ここは無投票にしておかないと、どんな行動に出るか分からない」
「小沢氏にとって代表ポストは、今更選挙で勝ち取るようなものではない。対立候補が出馬宣言したら、オレは出ないと言い出さないとも限らない」
 花岡氏は「民主党は完璧な『小沢指導体制』で突き進むことになる」と書いたが、何のことはない。腫れ物に触るような気遣いは、“民主”ならぬ五輪開催国とよく似た「独裁体制」であることを示していて、誰も「首に鈴をつけられない」ばかりか、党内は「各人勝手気ままでバラバラ」だということを示して余りあるというべきであろう。
「政権奪取など夢のまた夢」と喜んだ落ち目の「自眠党」が息を吹き返す?チャンスかもしれない。政治は一寸先は闇である!


 ところで95歳のわが師匠・門脇翁は、今でも元気に台湾などを駆け巡っている。毎月発行されている「あけぼの」の文章は、鋭い“短刀”のような切れ味があるが、届いた8月号はこんな具合である。息抜きに2〜3ご紹介しておこう。

その1『死ねばなおる』
「その年(95歳)でどこか具合が悪いところはありませんか・・・と多くの人から声がかかる。『90の年相応にどうにもならない持病が昂じて困っております』『それは何ですか?』『頭と意地の悪さを治す薬はありませんか?』」

その2『中国共産党は今』
「延安の山奥から銃を振り廻して政権を取った中共政権は、スターリンを師匠として人民に君臨した。本来その泥臭さは、蒋介石につながる淅江財閥の横暴に反感を抱いた人民の支持を得て、旧財閥を台湾に追い払った。それから半世紀、中国は成長し経済も発展すると、何時までも恐怖を背景とした統制経済は維持できなくなった。その独裁体制ゆえに今日の経済破綻を招いたという声が出て来ても不思議ではない。もはやそれを押さえ込むことは出来なくなった。
 市場経済に移行するか?それは中国共産党が政権の座から滑り落ちることにつながる」

その3『世界人口の1/4』
「○ 1人が4cm3の餅を食べたとする。人口13億人として(他に1・5億人位無国籍者がいるが)52万cm3、天安門前広場の餅が一瞬にして消える。
○ 鉄道を延長すると7万kmに達し、カナダに匹敵するが、一人当たりにすると5cmにしかならない。一人が10本のタバコを吸い、2本のビールを飲み、女性が西側並みに衛生用品を使うとなると、全体では天文学的な数量に達する。全国的に夏は蒸し暑いが、広東から河北、東北地方の一部に、扇風機が普及し一部に冷房装置が使われるようになると、その発電送電にどの位の設備と費用がかかるか、考えるだけで気が遠くなる」

その4『勝って何故悪い』
「『強いのが勝って何が悪い』と朝青龍は、モンゴル騎馬民族としての強さを誇る。彼が引退すると、日本の相撲ファンは、ホッとすると思う。『強いから』と肩を張る人間をさげすむ心情が、日本人にはあるようだ。倒した相手をにらみ付けるより、手を貸して起こそうとする勝ち振りに、我々日本人は拍手を送る。
 ロシア人はその点モンゴル人と共通する性格を備えている。そこでは共産主義という名目が100年近く政治を行っていた。『文句があるなら力で取り返せ』と終戦満州で云われたままのロシア人であることに変わりはない。草原の王者騎馬民族の理」

 その朝青龍はモンゴル巡業に意気揚々と帰郷した。日本の国技も見事に彼らの「利権確保と蓄財」に利用されたものである。相撲協会は「スター」を失えば採算が取れなくなるから振り回されているのだろうが、雷電双葉山は泣いていることだろう。
 門脇翁の「あけぼの」は読んでいて実に爽快である。それは今尚健脚奮って現地を駆け巡り、自分の目や耳、触覚で確認した情報だからだと思う。
「入院したこと」を報告すると「気の弛みである!」と叱咤されたが、その後「私も既に95歳だから後一年くらいで店じまい・・・」とFAXを頂いたから「冗談じゃない、まだまだ健筆をふるっていただきたい」と思い「青春は年齢ではない!」と“苦言”を呈しておいた。

 明日27日は私の69歳の誕生日だが、茨城まで出かけて4時間「防衛漫談」、その夜はとんぼ返りで帰京して北京社会科学院・軍事科学院ご一行との歓迎夕食会、翌28日は恒例の「日中安保対話(口げんか会議)」が控えている。家内と“静かに”誕生日を祝う雰囲気ではなさそうだが、門脇翁より26歳も若い私がくたびれてなんぞ居れない、と思う。

マオ―誰も知らなかった毛沢東 上

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マオ―誰も知らなかった毛沢東 下

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毛沢東の私生活〈上〉 (文春文庫)

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ジョークでわかる中国の笑えない現実

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