軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

なつかしい日本人の香り・・・

 昨日はまたノーベル化学賞を、ボストン大名誉教授の下村脩氏(80)が受賞したニュースが飛び込んだ。今朝の産経はそれを大きく伝えているが、産経抄子の「(受賞者の)身近な人たちが語るエピソードからは、なつかしい日本人の香りがする」という表現が大いに気に入った。
 産経抄子は、益川教授が会見で南部教授のことについて「仰ぎ見てきた先生と一緒に受賞したとは・・・」と声を震わせ、涙をぬぐった事に触れ、井伏鱒二を師と仰いだ太宰治が、文化をハニカミと読んだ事を取り上げ、「含羞とともに、男泣きもまた、立派な日本文化だ」と書いたが、「恩師」も、「仰ぎ見る」も、「ハニカミ」も、勿論「含羞(がんしゅう)」「男泣き」も、今では「死語」になってしまった感がぬぐえない。「日本人の香り」という言葉に、フッと失われつつある「日本文化」を想起したのである。

 下村教授は「受賞は天の導き。亡き恩師に伝えたい」と語り、研究生として2年間お世話になった故平田義正名大理学部教授に「非常によくしてもらった。今の私があるのは先生のおかげだ」と振り返ったそうだが、何とも謙虚で、「天の導き」「亡き恩師」という言葉とともにまさに「日本人の香り」がする。名古屋大学理学部には、自由闊達な雰囲気という伝統があるらしい。

 2000年に受賞した白川英樹筑波大教授が「米国での仕事のようだが日本人は日本人。受賞者が増えるのは個人的にも嬉しい」と話しているが、「米国での仕事」という部分が気にかかる。国としての「研究開発」に対する無関心のみならず、日本の研究機関内に残るアカデミック・フリーダム状況の影響もあるのではないか?
 インターネットの「産経ニュース」に、サイエンスライター竹内薫氏が「30年後全くノーベル賞が取れなくなってしまったらどうする?という危機感を持って、政府は科学を支援して欲しい」といっているが、予算措置は勿論だが、「とっぴな考え」を封じ込め、「疑問を持って追求する」学生や助手達の言論を「小ざかしい!」と頭から否定するような、そんな「田舎村」的雰囲気が未だに日本の学究界のどこかに残っているとすれば、30年後のノーベル賞はおぼつかない様に思う。

 何はともあれ、今回の4名の教授たちの受賞を日本人のひとりとして率直に喜びたい。そして将来、今の若者達がこれに刺激されて、世のため人のため、そして「人類の発展」のために貢献してくれることを期待したい。勿論、「外国での仕事」で力を発揮しても一向に構わない。しかし、日本人であるという誇りを忘れないようにしておいて欲しいものである・・・


 さて政界は「解散近し」で走り出してしまった野党側が焦っている。その様子は連日ポストに入っているチラシを見れば良く分かる。なんでも反対を唱えていた民主党など野党側は「中小企業対策のため、今は賛成して急場をしのぐ」考えに転向したようだが何とも無責任であろう。
 産経は主張欄で「政権を競い合うなら、解散時期にかかわりなく、疑問への答えを一つずつ示すのが筋である」と書いたが同感である。今麻生総理が解散をしたら「まさに3代続いて政権放り出し」だと国民は受け取るだろうから、これは自民党にとっては自殺行為である。それでなくとも世界中が経済危機で四苦八苦しているのに、それに何の貢献もすることなく「選挙ごっこ」をしていたら、世界のもの笑いどころが、のけ者にされかねない。お家の事情しか念頭にない野党側は、補正予算案を通過させ、一日も速く解散・選挙に持ち込みたいそうだが、9月25日の国連総会で「インド洋洋上補給活動継続」の決意表明した麻生総理は、補正予算に続いて「テロ特法」も成立させたいというが当然である。 民主党山岡賢次国対委員長は「テロ特は随分長く論議し、与野党の賛否の結論も変わらない。いたずらに審議引き延ばしはしない。補正と同じ考えだ」とTVで言っていたからおそらくこれも早期に通過するのだろうが、いやはや、状況次第では「ころころ」と態度を変える民主党の豹変ぶりには驚きを禁じえない。
 産経4面には「民主党は、本会議での質疑をやりたくないんだってよ!」と自民党大島理森国対委員長が廊下で声を荒げたとあるが、これが論戦の場といわれる今の国会の真の姿なのであろう。国民を馬鹿にするにもほどがある!
「テロ特は随分長く論議したから」というのであれば、麻生総理にはテロ特成立後「憲法改正」を持ち出して欲しい。民主党は“本会議での質疑を避けたい”らしいから、憲法改正が一歩前進するに違いない!解散は、それからでも遅くはないのではないか?!

 同じ産経4面には、風邪をこじらせて体調不良の筈の小沢代表の写真が出ていて、「健康不安説を払拭し、健在ぶりをアピールしようとしたものと見られる」とあるから、「アレッ、どこかで読んだ記事?」と思ってしまった。北朝鮮金正日様の記事とそっくりだったからである。
 洋の東西を問わず?政治家は自分の健康より「不安説」を気にし「健在ぶり」をアピールしたいものらしい。緊急入院した経験から「病みては医者に従え」とご忠告申し上げておきたい。

 さて次は「広告」になるが、現役自衛官の著書が届いた。以前紹介した陸上自衛隊・家村和幸2等陸佐の『真実の日本戦史』が、宝島文庫として出版されたという。
 彼は現役だから勤務時間外に自宅でこつこつと執筆活動をしているそうで、物理的にかなり苦戦しているそうだが「士気ますます旺盛」だという。「国民皆兵の軍隊教育がなされないわが祖国。日本のためにもひとりでも多くの人々に戦史に興味を持ってもらえれば」と添え書きにあった。その意気や良し!ノーベル賞は無理?だとしても、次世代を継ぐ若い青年諸氏の「戦史」への関心を大いに高めて欲しいと思い、史料調査会評議員たる私がご紹介する次第。OBで「物理的障害」がない私も彼に刺激されたから、何か一冊纏めようと思っている。定価は¥571+税、ご一読あれ。

真実の日本戦史 (宝島SUGOI文庫 A い 2-1)

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普及版 太平洋戦争とは何だったのか

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満州事変とは何だったのか〈上巻〉―国際連盟と外交政策の限界

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防衛疑獄

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