軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

2008年は想像を絶する危機到来か?

 昨日は学士会館まで出かけて高校の同窓会主催講演会に参加した。講師は13年後輩の牛島氏(第3管区海上保安本部長)で、『海猿あれこれ〜』という海保の状況説明だったが、北朝鮮の不審船“撃沈”の解説に時間を取られ、私が注目している「尖閣問題」にあまり触れられなかったのが残念だった。
 中国も台湾も尖閣を自国領だと公言しているし、東シナ海日中中間線は全く認めていない。それどころか『沖縄トラフ』を境界線にしようとさえ主張している。錚々たる卒業生の中には、問題の根源を十分承知している方も多い筈だが、『不審船事件』の解説に驚いているようでは何と無く心もとない気がした。
 空自の元戦闘機乗りに過ぎない私の『防衛漫談』も、聴衆の多くにとっては『別世界の出来事?』程度の認識なのかもしれないが、質問に立った後輩の1人が、海上保安=国家防衛としてとらえた発言をしたので、少しだけ救われた気がしたが・・・

「中国が発表した空母のイメージ」


 今朝ブログを開いたところ、アイスランド(修正)『破綻』でロシアが資金援助することを気にしたコメントと、樺太の起源に関する質問が来ていた。私は宮崎正弘氏のように、個人的にいちいち回答しない方針だが(するほどの知識もないので)、アイスランド問題については書こうと思っていたのでコメント欄に回答した。樺太についても長瀬隆氏の『日露領土紛争の根源』を正しいと認識しているのでご紹介しておいた。是非ご一読いただきたいと思う。グルジア問題にかぶせればよく理解できるであろうと思う。何しろ私は『プーチン大統領』の名前が『ラスプーチン』に見えて仕方がないのである!

 ところで『軍事研究11月号』が届いた。巻頭言に帝京大教授の志方氏が『出揃った混迷の21世紀像』と題して「途上国に根を持つ国際テロと先進国に蔓延する国家エゴ」の問題にふれているが、各地で継続されているテロとの戦いに加えて、国際金融危機が始まったことは、まさに「国家エゴ」の実像が暴露されたことを意味するのだろう。
 経済活動に疎い私でさえも、実業の世界に紛れ込んでいる「虚業」の蔓延ぶりは異常だと感じていたが、貧乏人だから「経済混乱にも一喜一憂することなく」平常心が保てて精神生活上すこぶる『健康』である!これが小金持ちだったら、株券と貯金通帳を抱えて胃潰瘍寸前の状態だったかもしれないから。

 志方氏は、こんな混迷した世界状況下にあって、わが国の次期衆院戦の結果次第で「インド洋派遣継続」が決まるのも「一種の国家エゴだ」と断じたが、選挙を焦る野党の愚挙を見越した麻生総理の判断で「テロ特」も通りそうだから、わが国は「国家エゴ」をむき出さずに済みそうだから大慶至極である。
 ついでに『憲法』改正とまではいかなくとも、せめて『集団的自衛権問題』に決着をつけて欲しいと思う。北朝鮮をめぐる異常事態も、東シナ海問題も、自国の意志で解決しようとしない国柄?である以上、「心ならずも」米国の第7艦隊に依存せざるを得ないから、せめて彼らを支援する態勢だけでも「正常化」する必要がある、と私は思っている。
 横須賀に「原子力空母・ワシントン」が配備されたが、「日本は独立国なのになぜ横須賀に海自の空母艦隊が配備されないの?」という疑問を持つ子供は勿論、大人さえいない。

横須賀に入港したジョージ・ワシントン:甲板上に“はじめまして”と人文字が見える朝雲新聞から)」


 今朝の産経は、私が先日その「正論」に同感した渡辺利夫拓大学長が、愛媛で講演して「危機感ない日本の指導者」「国家を守るべき日本のリーダーは安穏としすぎている」「国際法上、持ってはいるが、行使できないとされている集団的自衛権の解釈を直ちに変更すべきだ」と強調したという。
 この論議民主党山岡賢次国対委員長の論を借りれば、「随分長く論議し、与野党の賛否の結論も変わらない」のだから「いたずらに審議引き延ばし」はせずに今国会で決着すべきではないか?
 万一、この審議で民主党との「論点」が明白になり麻生総理が言う「争点」が出てくれば、そのときこそ「国民に信を問う」のも手である。

 11月4日に控えた米国大統領選挙では、日本のTVは共和党副大統領候補のペイリン女史のウインクの数が気になる程度らしいが、経済危機で民主党オバマ氏が有利になったとCNNもBBCも報じている。米国に民主党政権が成立し、北朝鮮は政情不明、韓国も中国も経済危機で特に中国では暴動が頻発、タイも政情不安、インドもスリランカもテロ続き・・・という中でわが国の政界も混乱していては、アジアは大混乱に陥る可能性が高い。勿論、悲観的に物は見たくないが、私は昨年末以降、2008年は米国をはじめ世界中の指導者達の交代の時期で、それに経済危機や天変地異が加われば、一気に混乱が生じることを恐れていた。そこに加えて「経済危機」が始まった。各地で地震、水害、台風、サイクロン被害も報じられている。
 34年間もヘルメットと酸素マスクをつけて「最悪の事態に備える」生活をつづけてきた戦闘機のりとしては、日本の政治家のように「安穏として」は居られない癖がついてしまっているのである。

 勿論、再度“緊急入院”はしたくないので、家内のガーデニングを手伝いつつ、コーヒーを楽しんでいるが、そんな私を気遣った元部下が、「こんな本=≪武器を持たない日本の『武器』」外食・災害時の自衛携帯食『バーバラ寺岡の生き残り食情報満載!≫誌「バーバラ寺岡の食害・薬害テロ時代 命はこうして守れ!」を送ってくれた。
 気になるところを斜め読みしながら気を紛らわせているが、なかなか面白い。表紙は「弩派手」だが、中国からの汚染食糧で騒然としているだけに考えさせられる。経済危機と「無縁」な方々はどうぞご一読あれ!

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