軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

すばらしい、言論の自由

 昨日は原稿書き、取材などで一日多忙。ブログを開けて「侃々諤々の討論?」が行われているのを知った。目を通すだけで時間がかかったが、わが国は如何に言論の自由が確保され、またその場が各所で提供されているかを改めて確認できた。誹謗中傷はともかく、自己の考えを公開して勉強することは悪いことではない。

 樺太紀行にも書いたが、樺太に残留させられた半島出身の元日本国民Yさんが、計画経済のソ連時代は、無計画?ではあったが物資は届き、経済もそれなりに動いていた。それがペレストロイカ以降は自主経済に移行して物が届かなくなったから生活は厳しくなった。しかしその代わり「言論の自由」が獲得できた。
 つくづく思ったのだが、人間は貧乏には耐えられるが、言論統制には耐えられない。言論と行動の自由こそ、ペレストロイカで我々が得た宝である、としみじみ語ったことを思い出す。そんな体験がない現代日本人には、Yさんの真情が理解できないのも無理は無いと感じたものであった。


 さて、田母神論文“事件”は、来週火曜日に田母神氏の国会喚問が決まったので、大いに楽しみにしている。国会という独特の雰囲気がある場で、初めて元制服として発言する田母神氏にとっては、不慣れな場所だからどんな「仕掛け」が待っているか知らないが、堂々と自己の信念を貫いて欲しいと思う。

「直属上司」であった浜田大臣が、「懲戒処分の形を取ろうとすると、審理に10ヶ月以上かかることもある。定年延長せずに今出来る一番早い処分を考えた」として、田母神氏が「懲戒処分に当たるのかどうか徹底的に議論したい」と申し入れていたのを拒否して「星4つから3つに降等処分し」空将として「定年退職」させておきながら、公明党の北川幹事長から「多額の退職金をこのまま渡してよいのか」とみみっちいことを言われたとたん、「今回の事案の重大性を考えれば、自主返納という本人の判断を待ちたい」と語った。
 そして今回の「(定年退職という)措置をとらなければ空将のままなので、月々給与が支払われ、(処分決定まで)一層お金がかかる」と述べたというから、何をかいわんやである。事の真相を追求することよりも、「お金がかかるから」と云うのだが、何とも見っとも無い。田母神氏は正当な「審理を要求」しているのだから、堂々と受けて立てばいいではないか!
 そこで白黒つけば、おそらく田母神氏は世間をお騒がせしたことを正式に国民に謝罪し「返納」して野に下る決意をしているだろう。しかし、一方的なこんな「圧力」に屈して「返納」すれば、彼が最初から「間違ったことをしていたこと」になるから、それを認めることは絶対にできまい。

 他方民主党自衛隊法を改正して「制服トップを国会同意人事の対象に」したいという。将官人事は今は「閣議決定事項」である。事務方がどのような基準で申請しているかは知らないが、3幕僚監部が発令したものを“承認”して閣議に上げているはずである。
 それを国会承認にするのが「本当のシビリアンコントロール文民統制)になる」というのはいささか疑問である。そうなれば、国会議員と親しくし、ますます事勿れ、出世主義がはびこることになろう。そんなトップを隊員たちが命を懸けて支える筈は無い。
 第一、ここで言う「シビリアン」とは選良の中から選ばれた「大臣」であって事務官ではない。この際「文民統制」という奇妙な翻訳語を「大臣統制」または「内閣統制」と誤解を招かないように改めるほうが良いと思う。
 河村官房長官は「もう一度シビリアンコントロールのあり方を考えて見る必要がある」と語ったが、事務方である「文官」がいかにも制服を「統制する」という考え方を改めた上で見直すべきだろう。
「臭いものにフタ」の感拭えず、と産経「政論」欄に赤地記者は書いたが全く同感である。徹底論戦を期待する。


 ところで米国はオバマフィーバーに沸いているが、就任後の手腕は未定である。
「勝利宣言」する様子をTVで見ていて熱狂的に迎えられたケネディ大統領を思い出したが、その後米ソは第3次世界大戦も辞さない「キューバ危機」に遭遇した。
 ケネディを「若造」だと見たフルシチョフが、米国の懐であるキューバにミサイルを配備しようとしたことがばれたのである。
 それを思い出したのか忘れたのか、強いロシアを目指すメドベージェフ大統領は、この日を狙ったかのように米国が進めるMDに対抗してカリーニングラードに新型ミサイル配備すると表明した。
 北朝鮮は「元気に視察する金総書記の写真」を意図的に流布している。今回の写真は季節的につじつまが合う背景になっている!
 台湾は大陸と一層緊密な交流を始め、それに抵抗する独立派がデモ行動しているという。自分で選んでおいて、今頃「反対」する神経が分からない。

 渡辺昇一氏が強調したように「東京裁判史観」を抜け出さないと、「このままでは日本は元気をなくす。」「今後生まれてくる子供達が胸をはれるようにすることが大切だ」と私も思う。

第二次世界大戦の起源 (1977年)

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