軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

解任劇はもう止めよ

 インターネットの世界は情報が早く量も多い。田母神前空幕長の解任劇と、その後の彼の講演、TV出演の状況が、動画で掲載されていて、手元でゆっくり見られるのだから便利である。昨日は、友人たちから送られてきたそれら動画などをゆっくり見たが、今までこのような≪率直な≫対話がなされていなかったからか、例えば外国特派員協会での講演では、彼のジョークに会場は沸いていた。
 出席した友人によると、朝日の田岡記者が、執拗に「新潮45」のM資金関係記事で追求したそうで、場を弁えない態度に司会者や会場から失笑と怒りを買ったらしいが、この人は相変わらずスキャンダル追求という手口を振りかざす、昔のままの性格らしい。各国の特派員達はどう感じたことか。

 関西方面だけに配信されたというTV討論も面白く、出席者の対応振りが鮮明で非常に参考になった。視聴者の多くは、実像の一部を垣間見ることが出来て参考になったのではないか?

 田母神氏には、これからあらゆる方面に出席して、堂々と所信を公表して欲しいと思っている。民主主義の良いところは、自己の信念を制約なく発言できることで、これこそが「言論の自由」の価値である。
 制服を着ている間は“制限?”がないこともないが、それはあくまでも「職務に関する保全上の制限」であって、憲法で保障されている言論の自由は如何なる職業人であれ、制約はない。あらゆる場で堂々と意見を述べ、相互に切磋琢磨しあって始めて社会は進歩する。特定の宗教観を持った人でも、堂々と?政権に参加しているではないか。『国を愛するが故にクビになった』田母神氏の今後の活躍を大いに期待したい。


 ところで日本政策センター発行の「明日への選択12月号」が届いた。伊藤所長は「国家戦略なき日本」を憂え、小松正之・政策研究大学院教授は「日本漁業の衰退」を憂え、編集人の岡田邦宏氏は、支持団体との関係から見た「民主党の正体」に警鐘を鳴らしている。田母神空幕長解任事件については、岡崎元大使が「解任劇は、もう止めよ」と特別寄稿で「まだこんなことをやっているのか、もうやめて欲しい」と云うのが最初の印象だったといい、元駐イスラエル大使の茂田宏氏が、「国家が『正しい歴史認識』を持つ必要に疑念を呈し」ていて、「共産党専制国家には『正しい歴史認識』なるものがあるが、自由民主主義的な近代国家は、思想の自由、すなわち一定の思想や信条を強制しないという価値中立性を存立の基盤」とし、「公務員は機密の保持や、政治的中立性の保持という制約はあるが、それ以外は言論の自由を有すると解すべき」で、「文民統制とは実力組織である軍の暴走を排除し、かつ、必要な時に軍を出動させる命令権であって、そもそもこういう細かい問題は対象でない」という一字一句に賛成である、と書いた。
 そして「確かに現状では外交的な問題をおこす発言ではあるにしても、これを解決する方法として、解任劇を繰り返すだけというのはいかにも知恵が無い。正攻法は村山談話を修正することである。今の日本の政権は歴史に是非善悪の判断は下さないこととした、とはっきり言えば良いのである」とし、塚本三郎氏がブログで「(こんなことをしていると)日本国政府部内に、国を憂える、勇気のある為政者や高級官僚がいる限り、解任劇は際限なく続かざるを得ない。解任する政府も、される愛国の士も双方に傷がつく。そして、国家と国民が最大の被害を受けることになる」と危惧するが「私もそう思う。村山談話があれほど無理筋で無ければ、だれも職を賭してまで発言しようとは思わない。このまま放置しては、日本の国家国民に害を残すと思うから、やむにやまれず発言するのである。今後もこういう発言は後を経たないであろう。もういい加減に、今のような扱いはやめて、問題を、国家国民を傷つけない程度の最小限に扱おうではないか」と結んでいる。

 伊藤所長もこの件では「お粗末過ぎる政府の対応」を責めているが、これらが一般的、平均的な感想と意見ではないか?

 あれほど死に物狂いで“殺しあった”米国とは、その後「同盟国」として仲良くやって来れたのに、どうして同じアジア人同士でこうも恨みがましい状態が延々と続くのだろう。シナ大陸で圧倒的に中国軍を制圧していた日本軍は、8月15日の終戦詔勅を受けて重慶から出てきた国民党軍に「武装解除」された。しかし、その後の国共内戦でそれらの武器弾薬、一部には日本軍の協力を得て中共軍が大陸を制圧したが、そんな日本軍の“支援”を感謝するどころか、未だに恨みつづけるという彼らの性格が理解できない。
 英国などの列強から散々搾り取られてきたことのほうがよほど癪に障るだろうに、中国人はやはり白人は怖いらしい。そこで同じアジア人である“お人よしな”日本人に矛先を向ける、そんな構図はもういい加減にやめたらどうだ! その前に日本人同士で「ばかげた解任劇」にエネルギーを消耗することは止めにすべきである。


 今日は午後からある雑誌の新年号の取材で、作家の浅野裕子さんと対談する。服飾デザイナー、作詞家、作家・・・という才女の前で、着たきり雀の単なる戦闘機乗りに過ぎない私が旨く話せるのか?大いに楽しみ! その後は恒例のチャンネル桜で、井上和彦君との「防衛漫談」である。

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