軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

防衛基盤育成に田母神効果

 連日、古い資料の整理で不規則な生活だが、昨日は午後から九段会館の山紫会「新年の集い」に参加、田久保忠衛氏の講演を聴いてきた。山紫会とは陸士58期生を中心とした集まりで、ご高齢にもかかわらず、全国からはせ参じてこられる。
 田久保氏の「オバマ政権と日米関係」と題する講演は、クリントン長官来日後でもあり大いに参考になった。
 同盟国とは名ばかりで、沖縄の基地問題は既に12年も進展がなく放置され、とうとう米国から信用を失いかけている。 帰国後にクリントン長官から報告を受けたオバマ大統領が、中国のほうが頼りになる、と判断したら、いよいよ日米安保の空洞化が始まるのでは? さて、一番に面談する予定の麻生首相は訪米の「手土産」を何にするか?

 サハリン訪問では、ロシアの手に乗ってか首相は「領土問題」でクギを刺さなかった。得意とする?ジョークでも良かったから「樺太の帰属は未定であることを忘れてはいまい!未定だから私はここに来たのだ。貴国の領土だとは全く考えていない。どうだ、経済支援をわが国に要望するなら、まず領土問題をすっきりさせよう。それがなければ、北朝鮮問題同様、貴国との協議はなかなか国民の支援が得られないからね〜!」と言うべきだった。彼らはそれを一番恐れていたのに! まあ、今後「独創的解決」とやらに期待したい。
 ところが同時に訪ロした小泉元首相も西のモスクワで、定額給付金採決で「欠席する」と国内問題を発言、何とも早、永田町の政争は「国際的」になったものである!もう「笑うしかない!」


 山紫会の懇親会では、田母神氏を支持する発言が相次いだ。ある大先輩が、高校生の孫に田母神氏の件を聞いたら、学校では「圧倒的人気だ」と聞いて嬉しかった、と言った。
 個人的なパンフレットを会場で配布している方もいて「田母神俊雄氏を憂国の犠牲者にするのか」と意気軒昂、とにかく、田母神氏に関する支持と話題はどこに行っても絶えない。
 この新年会では、NHK合唱団OG部のコーラスも呼び物の一つである。今年も若く美しいお嬢さんたちが清らかに「元寇」「万朶の桜」「水師営の会見」「大楠公」「千の風になって」「愛国の花」「山紫に水清く」「海行かば」を合唱したが、最後の「海行かば」は全員起立であった。
 帰り際に彼女達に御礼をと思い、是非NHKの「みんなの歌の番組で毎日歌って下さい」と言っておいたが・・・。


 国防の基本方針(昭和32年5月20日閣議決定)には、1、国連支持 2、民生安定 3、国情に応じた防衛力整備 4、米国との安保を基調とするなど、4つの項目があるが、第二項は「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する」とある。
 しかし、まったくと言っていいほどその施策はとられてはこなかった。特に「愛国心」については放置されるどころか、国旗「日の丸」、国歌「君が代」に対する施策もいい加減で、日教組の言いなりだったし、国旗を掲げ、「愛国心」など発言しようものなら「右翼!」と決め付けられるのが落ちだった。
 私もブログや講演会場で「右翼!」といわれたことがあるが、「私は元パイロット。右翼だけでは飛べません。左翼も水平尾翼垂直尾翼も必要で、コックピットは中央の胴体についているから、パイロットはまさに“中道”です」と答えたら、その後「右翼!」とは言われなくなったが・・・。
 私を「右翼」と呼ぶ方のほうが間違いなく左翼である!と思っている。とまれ、私は歴代政府は、「国家の安全を保障するに必要な基盤」を確立する努力をしてこなかった、と思っている。

 ところが、昨年11月に突発した「田母神空幕長更迭“事件”」は、国防の基本方針として定めた「国家の安全を保障する基盤」の確立に努力することなく放置し、愛国心育成にむしろ逆行する認識を示した政府の実態を垣間見た国民の多くが、解任された田母神氏にではなく、不当に解任した政府に対して「猛反省」を促す事態になった、と私は見ている。
 だからあれ以降、政府は何をやっても国民から支持されなくなった。国家防衛について国民、なかんずく若者達を目覚めさせた「田母神効果」とでも呼ぶべきこの事象は、事を大きくして最高指揮官を失墜させた事務次官などはどうでもいいが、防衛大臣や首相にとっては、まさに読みが外れた大失態だったと言って過言ではあるまい。
 支持率向上等、姑息な駆け引きに終始している政界の姿は、まさに「笑っちゃうほどあきれる」ほかないが、ことは「国内問題」で片付けられない、国家の浮沈がかかっている重大問題なのである。
 そのような自覚がない政治家を選んだ国民の無知の代償が、いずれ年内に津波のように襲ってくることが予感されるが、その国難を解決できる「何か」がこの国に残っているのか?

 靖国に眠っている同期や先輩達に「俺は安らかに眠ってください、とは口が裂けてもいえない。生き残った俺たちは彼らのために何かしてきたか!」と涙ぐんだ58期生の姿が強烈な印象として残っている。

 四面楚歌の麻生総理はわらをも掴む心情だろう、と誰かが言ったが、いい解決法を提示しよう。国民に圧倒的に支持されている田母神氏を「防衛大臣」につけることである。これで防大も内局も全うになるだろう・・・と思うのだが、さてさて現実は?

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