軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

南シナ海は中国の海ではない!

秋田県は『岩手県秋田市』と揶揄されてきた」と秋田の建設業者が語ったという報道に思わず笑ってしまった。小沢氏の資金管理団体政治資金規正法違反事件の記事である。「小沢氏側は、地元岩手県だけではなく、秋田でも磐石の『小沢王国』を構築してきたとされる」と今朝の産経新聞は書いたが、東北6県の知事さんたちはどう思っているのだろう?岩手、秋田だけが『王国』だったのではあるまい。
それはそれで決着をつけてもらわねば困るが、それよりもっと危険な動きが周辺でおきていることを忘れてはなるまい。
 まず北朝鮮の動きである。人工衛星だ!と称してミサイルを打ち上げようとしているが、日本海には米韓共同演習でかなりの軍事力が終結している。オバマ大統領も警告を発しているが、ブッシュ前政権は、『口先だけ』で、実力行使に出ない!と読んだ北は、やりたい放題、ヒル次官補を抱きこんで、6カ国協議を良いようにあしらってきた。

 イラク情勢も安定した今、米国の『警告』は、口先だけのこけおどしではすまなそうで、北の首相が北京にお伺いを立てに行っている。さて、北京はどう“指導”するか?


 麻生首相は、行き詰った北が『制裁逃れのために、拉致被害者の再調査』をちらつけせていることに『苦慮』しているそうだが、『拉致とミサイル』は別物、各個撃破で行くべきで『手の内を明かすことはしない』と述べるに留めたそうだが当然である。全て情報は相手に筒抜けでは、そもそも外交交渉が成り立つわけはない。『オフレコ懇談』でさえも“堂々と”記事になるご時勢、周辺にはモラルなき“情報員”がたむろしていることを忘れてはならない。
 もしも、世界中の警告を無視して発射したら、警告どおりにただちに撃墜するが良い。問題は発射命令を躊躇して、機を逸することである。日米共同して『成果』を挙げれば、アジアの将来にとって良い結果を招くことになる。


 海賊退治に「護衛艦を参加させるかどうか」で議論が出たとき、『とにかく艦を浮かべていることが抑止になる』と大真面目で言った議員たちがいて失笑を禁じえなかった。プラモデルじゃあるまいし、弾が出ない『軍艦』なんて、海賊にとっても何ら恐れるにたりない張子の虎である。それを堂々と『宣伝』して得意になっているシビリアンには困ったものだと思ったが、その程度の軍事認識だから、北朝鮮如きにも舐められるのである。

 北に対するわが国の対応いかんによっては、東シナ海の今後の動きに大きく影響するだろう。今中国は『南シナ海』を自分のものにしようと懸命で、米国の音響測定船を威嚇して憚らない。
 まるでその昔、北に押さえられた『プエブロ号事件』を彷彿とするが、今度は米国も黙ってはいないだろう。ただちにイージス艦を護衛に急派したが、これが軍事力の効果であり「南シナ海は中国の海ではない。自由にさせない」と言う確認処置である。

 米ソ冷戦時代に、オホーツク海を聖域化しようとしたソ連に対して、米海軍は2個空母群をオホーツク海に進入させて大演習を実施した。その帰途、カールビンソンは沿海州を南下して、ソ連軍を威嚇した。

 中国の取る常套手段は、まず漁船(海上民兵という軍事組織だが)が“合法的?”な妨害活動をし、相手が発砲して来れば「不法にも市民を虐殺した!」と大騒ぎし、ただちに海洋漁業局が軍艦並みの船を出してくる。それでおさまらないと次は海軍の出番でフリゲート艦と偵察機が出動する。こうして相手を威嚇し、周辺海域を手にするのだが、『ヤンキーゴーホーム』と一時的熱情に浮かれて米軍を追放したフィリピンは、気がついたらスプラトリー諸島を中国に占拠された。その後中国漁民?と海軍の横暴にあわてたフィリピン政府は「シェーン、カムバック!」とばかりに米海軍を呼び戻したが、大佐を長とする基地隊を復帰させただけ、主要艦艇は素通りの筈である。

 私が三沢基地司令時代、米軍幹部は、フィリピンの女性大統領のヒステリー振りを見て大笑い、海軍のみならず空軍も撤退する、と明言していたが、幸運?にもピナツボ火山が大噴火してクラーク基地は廃墟となったから、これを口実にすんなりと米空軍はフィリピンから撤退した。

 沖縄から8000人の海兵隊がグアムに撤退する。普天間基地問題も10年たってもまったく進展しない。ところが沖縄県には『中国語会話教室』がやけに増えているという。

 やがて尖閣に『漁船団』が押し寄せ、海上保安庁の出方次第では、無辜の中国人民に暴行を働いた!と宣伝される。巡視船と衝突して沈没した台湾漁船に対して日本側が陳謝した『前例』を知っているから、次は一筋縄ではいくまい。穏やかに対処すると「尖閣は中国領土、日本の海上保安庁に守ってもらういわれはない」と今度は巡視船のほうが退去させられることになろう。さてどうするか。

 まさか東シナ海も『小沢王国』ではなかろうから、さすがの王様も出番はないようだが、折も折り、中国政府は「尖閣に安保適用」との麻生首相発言に反発して、首相訪中は「日程がつかないから延期」といってきた。
 オバマ大統領と最初に会った日本首相、中国こそが亜細亜の大国だして僻んでいるわけではなかろうが、そんな訪問など取りやめるが良い。
 丁度靖国神社春季例大祭、こちらの方の「日程が取れたから」と麻生総理は靖国のほうに参拝されたほうが良い。
ソマリア沖に向かっている海自・海保隊員の『武運長久を祈る』ためにも。

中国の軍事力―2020年の将来予測

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