軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

暇だな〜民主党政権は

 今朝の産経によると、政府は沖縄に所在する米軍の飛行訓練などを全国の自衛隊基地で実施し、射爆撃場や訓練水域を返還させ、日米地位協定を見直し、沖縄の負担軽減を図る方針を確認したという。

 日米と沖縄県で既に決まっていたものをぶち壊して反故にしたところ大混乱、にっちもさっちも行かなくなって、全国各地から県外移設を拒否されているから、解決は“絶望的”といった方が良いだろう。


 それにしても政権交代した民主党は「暇だな〜」とうらやましくなる。何が「暇」かといって、やらなくてもいい問題をわざわざ作り出し、さも忙しそうに振舞っているからである。これを「後ろへ後ろへと全力前進する愚」という。

 民主党若手の中には、グアム、サイパン、テニヤン島などが受け入れ可能性があるというので分散配備する計画を進めているそうだが、この島々は日本領ではないことを知っているのか?
 大東亜戦争時代の「絶対国防圏」ないじゃあるまいに…。彼らは日米安保条約の条文をよく読んだことがあるのだろうか?

「第6条:日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和および安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍および海軍が日本国内において施設および区域を使用することを許される」

 ただし、同条約第10条には「(前略)もっとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する」という条項もある。


 今、民主党政府がやっていることは、「日本国の安全に寄与」する米軍を、自分(沖縄)の都合で各地に分散させ、「極東における国際の平和および安全の維持に寄与する」米軍の行動を束縛しようとするものだが、その意識はあるのだろうか? 日米安保の空洞化を既に通り越して今や「破棄」に向かって突き進んでいるように見えるが。
 あるいは「意図的に」米軍を混乱させ、条約を「終了させる意思」を通告させるように仕向け、日本国や極東の安全をぶち壊し、新たな「盟主」の出現の準備をする気かもしれない。何しろ「人民解放軍司令官」がこの党のすべてを握っているのだから…。


 鳩山首相はやっと「抑止力」について理解し始めたようだが、やっていることは支離滅裂、締約国の理解は得られそうにない。昭和20年8月8日、「中立条約」の締約国であったソ連は、一方的にこれを破棄して、満州樺太に侵攻した。今度はその二の舞を、長年の締約国・米国にさせるつもりか?

 ギリシャの経済危機はまだ確実に収まったとは言いがたい。ドイツのメルケル政権も危機に瀕しているし、英国のブラウン政権も交代するが、その後の動きも定かでない。

 フィリピンの選挙、タイの動乱、韓国哨戒艦撃沈事件をめぐる中・米・韓・北の動きも不透明である。
 そんなさなか、友邦・・・であったはずの台湾の調査船が、わがEEZ内に侵入し、海保が監視しているという。今までは香港の活動家などが主体だったが、今や台湾政府までもがちょっかいを出し始めた・・・

≪わがEEZ内の台湾調査船:インターネットから≫

 そして何よりも衝撃的だったのが次の写真である。
 赤の広場で行われた「対独勝利記念日」で、米軍兵士がパレードをしている・・・


赤の広場を行進する米兵:産経新聞から≫

 6〜80年代、ソ連の脅威に日米共同で取り組み、1990年のソ連崩壊で「われわれは勝利した!」と握手したのだったが、あのころ一途に国防に邁進していた私たちの年代にとっては、信じがたい出来事である。


 世の中に不変はない。千変万化、流転が常態である。昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵!

 民主党政府があえて日米安保条約違反をやるというのなら、その代わりになる「実力」手段を講じてからにしてほしい。つまり「自主防衛」である。
 国家戦略担当大臣は、今何を考えているか知らないが、パスカルは云っている。
「正義なき力は圧制であり、力なき正義は無効である」と。

 前者は昔のヒトラーポルポトが代表しているが今では「北朝鮮」に代表される姿である。後者は昔なら「チベット」であり、今では「わが国」だろう。


 普天間移設問題は「腹案があるから5月中に決着する!」と大見得を切った鳩山氏だったが、やはり生来の「うそつき」、何が「トラスト・ミー」」か!

 
 それにしてもこの政権でいい年をした方々がやっていることを見れば「本当に暇だな〜」とため息が出る。ご本人たちは「真面目にやっているつもり」のようだからなお始末が悪い。

 小沢幹事長は夏の選挙に備えて候補者選び、産経の政治面に「スポーツ欄か?」と見まがうほど“柔らちゃん”はじめ運動選手たちの名前が並んだ。

 赤松農水大臣は、宮崎で発生した牛の口蹄疫病問題を尻目に、さっさと外遊。帰国後はまず自分の選挙事務所に顔を出して選挙対策をした後、やっと口蹄疫病問題のブリーフィングを受けたという。なんともノー天気な話だが事実らしい。「農水省」は今後「脳衰症」と改名したらどうだ?
 民主党鳩山内閣は、どこまで有権者を小ばかにする気だろう。

 もっとも普天間問題の裏では、報道に隠れて「日本崩壊準備」だけは着々を進めているようだから油断はできないが・・・

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