軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

2頭のトラはどう変身する?

米国大統領選はいよいよ大詰めに迫った。
≪各種世論調査によると、全米での両候補の支持率はほぼ互角だが、激戦州のオハイオウィスコンシンネバダアイオワの各州ではオバマ大統領が「やや優勢」となっている。

 選挙分析で著名なバージニア大のラリー・サバト教授は5日、オバマ大統領がオハイオコロラドの両州などを制し、選挙人数を290人に伸ばしてロムニー氏に勝利するとの最終予想を発表した。各種の予測ではオバマ大統領がリードしている。(産経)≫


中国もいよいよ大詰めである。
中国共産党の第17期中央委員会第7回総会(7中総会)が4日、4日間の討議を経て閉幕した。8日からの次期党大会で胡錦濤総書記(国家主席)が発表する政治報告の原案や党規約の改正案などを承認したほか、中国軍の最高機関、中央軍事委員会で制服組のトップ2人が務める副主席を選出した。汚職などを理由に解任された薄煕来前重慶市党委書記と劉志軍前鉄道相の党籍剥奪処分も確認した。(産経)≫


特に軍部の若返りは大きいが、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」には、
≪日本向け軍事作戦の本丸「南京軍区司令員」に蔡英挺(副参謀総長)・中国人民解放軍の対日戦略の中枢に総参謀部からタカ派中将が新任≫
≪蔡英挺は福建省出身、70年に入隊したあと長らく福建省の某部隊に所属した。このため台湾の軍事情勢に通暁しており、1996年台湾危機(李登輝の当選を妨害するため中国は台湾海域にミサイルを発射した。米国は空母を派遣し、軍事的緊張が走った)のおり、張万年(当時、軍事委副主任)の指揮の下で、蔡は南京軍区作戦副部長だった。
このときの蔡の活躍と軍への貢献ぶりに張万年が注目し、中央へ引っ張った。蔡は張万年の秘書として中央軍事委員会弁公庁副主任に昇格した≫とある。


今回の異動で軍の中枢には59〜62歳の将軍が就任したが、彼らは昭和25〜28年生まれ、文化大革命時には10〜13歳、つまり「紅衛兵」の仲間といえる。
彼らが今後、習近平主席の元でどのような戦略を立ててくるのか、非常に興味深い。
一時、アメリカを核で脅して有名だった劉亜州、朱成虎“将軍”ら、江沢民派は窓際に押しやられたようだ。
そして次はどんな方がどんな吠え方をしてくるのか?


ところで先日ご紹介した新鋭ステルス戦闘機に、国家を表す赤い星印がないので、中国ウオッチャーに聞いてみたところ、面白い話が聞けた。息抜きにご紹介しよう。


≪インターネット上には、いろいろな情報が流れていた。このマークは「瀋陽飛行機工業会社」のマークで正式な中国空軍所属機ではない、とのこと≫


中国の航空機メーカーは成都瀋陽にあり、後者の前身は日本時代に満州に建設された航空機会社が母体である。
だからと言ってはなんだが、この機体は日本の有名な漫画の「機動戦士・ガンダム」に出てくる「多目的戦闘機・FTS−7??のプラモデル」にそっくりでしょう?、といわれたのだが、私はガンダムに詳しくはないから答えられなかった。
そこで「中国の航空機メーカーは大したものだ。プラモデルを見ただけで本物を作るのだから」といったところ、現地では約10分ほど飛んだが、煙を吐いて着陸したという。
「先生、飛行機が煙を吐くのはおかしいでしょう?」というから、「ジーゼルエンジン?それともこのステルス機は、空中で煙幕を張るのかも?」といったがギャグは通じなかった!
「皆はロシアのエンジンは出来が悪いといっています」という。
とにかくロシア製品は悪いという評判は、中国では定着しているらしいようだ。
ベレンコ中尉が日本に亡命してきたMIG-25のエンジンはよくできていたから、ソ連時代はよかったのかも…


「でも、中国の航空機製作能力は、前回は殲20、今回は殲31と矢継ぎ早だから油断できない」というと、「実は両社が競って、次期主席就任お祝いを作っているのだ」というから驚いた。
経済不況が表面化してきて、成都瀋陽の航空機製作会社は、次期政権から多額の予算を獲得しようと懸命にアドバルーンを上げているのだという…

そうだとすると、この国はやはり「国家防衛」よりも「党の繁栄」「拝金主義国」ということになるから、日米はじめ近代民主主義国には理解不可能な部分があるようだ。

≪殲-20(英譯:J-20)是「成都飛機工業集團」為中國人民解放軍空軍研製的第五代雙發重型匿蹤戰機・これには星のマークがついている。インターネットから≫


次はこんな形になるのかな〜楽しみである…

ガンダムの兵器特集…インターネットから≫


何はともあれ、東洋の“キリギリス”をめぐる、二匹のトラの今後の戦いが気にかかるが、こんな方々が居座って、日本政界を取り仕切っているのでは蟻のエサになるのがオチの様で。


≪産経から≫



頂いた本のPR
=====================

「『世界』は日米同盟に反対していたのか?」水野均著(並木書房・¥1700+税)

著者は、岩波書店総合誌「世界」といえば「反戦・反米」で有名でその姿勢を崩していないが、「同誌に集う論者たちは『非戦による平和』に固執するあまり、日米同盟に代わって日本を軍事的脅威から守るための具体案を示し得ず、その論稿からは『米国の軍事力に日本の安全を頼る』という主張が絶えず見え隠れする」と指摘、改めて彼らが挑んだ「護憲・反安保の役割」を検証している。
しかし、私のように実務一本やりで、日米同盟を体感してきた者にとっては、「世界」に集う論者たちの論考は「空理空論に過ぎない虚構」に感じる。
ペンは剣より強いのか、それとも逆か。尖閣をめぐる情勢は、それに回答してくれていると思うがどうだろう?

リベラルたちの背信―アメリカを誤らせた民主党の60年

リベラルたちの背信―アメリカを誤らせた民主党の60年

満洲の情報基地ハルビン学院

満洲の情報基地ハルビン学院

満洲―記憶と歴史

満洲―記憶と歴史

日本掠奪―知ったら怖くなる中国政府と人民解放軍の実態

日本掠奪―知ったら怖くなる中国政府と人民解放軍の実態

中国人民解放軍知られたくない真実―変貌する「共産党の軍隊」の実像

中国人民解放軍知られたくない真実―変貌する「共産党の軍隊」の実像

自衛隊の「犯罪」-雫石事件の真相!

自衛隊の「犯罪」-雫石事件の真相!

ジェットパイロットが体験した超科学現象

ジェットパイロットが体験した超科学現象

金正日は日本人だった

金正日は日本人だった

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO