5日、気になっていた郷里福島の墓参りに行ってきた。東北高速道は順調だったが、路面はかなり傷んでいて、波打っていたり、各所に「段差あり」の警告があった。
タンクローリーや大型トラック群と自衛隊車両が行き交っていたが、被災地支援だろう。
福島に入ると屋根が傷んでビニールシートをかぶったままの家々が目立つ。そんな中、桜の花が一面に咲き乱れているのが何とも物悲しい。
いつも通り市内のスーパーで花や線香を買うのだが、店は物資も豊富でにぎわっている。息子が「復興に協力する?」と福島の地酒をかなり買い込んだ。
菩提寺では葬儀中だったが、お内儀さんは「本堂がねじれるように揺れた」と立っていられなかった地震の恐怖を語ってくれた。
本堂も一部屋根瓦が落ち灯篭が倒れたようだが、瓦不足で手つかずのまま、私が退職金第1号で建てた「佐藤家先祖」の墓石は、一見何事もなかったかのようだったが、よく見ると10cm程墓石の土台がねじれてずれていて墓の中が見えている。動かせないので息子と二人で敷石と線香台を動かし隙間に蓋をして応急処置、お地蔵様も後ろに7cm程飛びのいた格好でずれていた。
墓苑内の新しい墓はさほどでもなかったが、古い墓石のかなりは倒壊したという。母方の菩提寺は本堂が被害を受けて仮本堂でお勤めをしていた。
本家歴代の墓石は半数以上が倒れていて、砂岩製の古い墓石はバラバラに分解、祖父の墓碑は後ろに倒れてブロック塀に寄りかかっていたので、長男と二人で抱えながら揺り動かしてもとの位置にやっと戻した。
家々の屋根にはブルーシートで囲っただけのものが目立ち、石塀やブロック塀も倒壊、阿武隈川にかかる2車線の橋も、崩落の恐れがあると通行止め、町ではがれき置き場に苦労しているようだった。梅雨入り前に一応確認出来てよかった。
余震が落ち着いたら修理依頼するつもりだが、復旧するにも相当時間がかかることだろう。
宿に向かう途中で山間のなじみの茶屋に寄ったが、「うちの部落は揺れるけんど昔から大した被害はない」とおばあさんは元気、フキノトウなどあたり一面でとれる山菜を料理していて、こごみのてんぷらをごちそうしてくれた。
夜はインターネットで探した裏磐梯の宿に泊まったのだが、車は多いものの宿泊客が少なく、思わぬのんびりした時が過ごせた。聞くと温泉街のホテルなどもかなりの避難者を受け入れているそうで福島県人の絆の強さを感じた。そういえばこのホテルもご老人方が多かった。
中には他県に避難した方の中で「福島」や「いわき」ナンバーの車で「食事に行った家族が焼肉店で入店を断られた」とか「車に傷をつけられたと怒っている方が多いのには情けなくなりました。教育のせいでしょうか」と、風評被害などを拡散させている政府に怒り心頭の土産物屋のご婦人もいた。
往復とも自衛隊の部隊とすれ違ったり並行して走ったが、SAでは目立たぬよう、隅っこに駐車し缶詰食をとっていたらしい。行きがけに那須高原SAの店内で一人の下士官がサンドイッチと缶コーヒーを買う姿を見たので激励しようと思ったが、いつの間にかス〜と離れた場所のジープに帰って行ったので機会を失した。46普連本部中隊(広島海田市)のジープだったと思う。
帰路にも13旅団(海田市)の車列が広島へ戻っていたがご苦労様と無事を祈った。
被災地の国民は我慢しながら懸命に耐えているのに、政府の動きは極めて緩慢に思える。今朝の産経は、菅総理が「浜岡原発を停止する」決定をしたと伝えているが、これまた思い付きじゃないのか?
「連休明けごろまでには…」「お盆までには…」などなど、彼の発言には根拠がないし、「全力で…」などと無意味な修飾語が多すぎる。これじゃ国民のだれも信じるはずはない。なんだか彼の「指揮下で」すべてが「復興」とは反対方向に持っていかれているように思われるが、その上「反原発意識」で電源まで制限されるのじゃ復興は程遠くなるだけだといわねばなるまい。
ウサマ・ビン・ラーディンを始末した米国政府閣僚たちの顔つきと、浜岡原発停止発表をするわが首相の顔付を比べると、何とも真剣さに欠けるように見えるのは考えすぎだろうか?
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