≪東日本大震災の影響で、所属する航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)から“避難”していたアクロバットチーム「ブルーインパルス」が20日、地元の祭り「ありがとう『東松島元気フェスタ』」で、震災以降、同県内では初めてとなるデモ飛行を実施。久しぶりの雄姿に、参加した市民らは歓声をあげた≫
≪この日、ブルーインパルスのT4練習機6機は、三沢基地(青森県)を離陸し、JR仙石線矢本駅周辺の会場上空を隊形を変えながら4回通過。空高く描かれた軌跡を、参加者は感慨を込めて見つめていた(産経)≫
震災後始めて地元上空をブルーが飛行したことは、復興の兆しを雄弁に物語るものとして非常に嬉しい。
九州新幹線開通記念行事に参加するため、福岡に展開していたブルーは、津波で冠水した松島基地で唯一生き残った機体であった。
武田頼政氏は、最近出した著書「ブルーインパルス」の中に「ブルーインパルスは不思議なことに、ただ煙を引いて空を駆けるだけで人々の心をおどらせ、そして希望を与えることができるようだ。かって東京の空に描いた五色の輪が平和の徴となったように、ブルーインパルスが被災地の空を飛び、東北地方のみならず日本再復興の狼煙となる日が必ずやってくるはずだ」と書いているが私もそう信じている。
≪基地司令の杉山政樹空将補は、「ブルーインパルスを飛ばすことができるのはうれしいこと」としながらも、「これから、松島基地復興へ向けて次の一歩を踏み出すことになるので、身が引き締まる思いです」と決意を新たにした≫と産経は結んだが、一日も早く戦闘機パイロットの養成が始まることを期待したい。
20日(土)午後、靖国会館で開いた兵法研究会主催の第1回【国防講座】は十分なPRもできなかったにもかかわらず、40名を超える方々が会議室に集まってくださった。フラッシュメモリーにぎっしり資料を詰め込んできたのだが、準備してくれたPC(2台)とプロジェクターが連結ができず、「作戦は80%失敗!」と叱咤しお詫びしたうえで話し始めたのだが、仲間が機材を修復してくれた。
今時の若者?は大したもので、タクシーで電気店まで急行して修復したらしい。とにかく10人以下の零細企業?グループなので、15日の産経ホールといい今回の靖国といい、予算オーバーを個人的持ち出しで補てんしているようだが、その熱意には感動する。徐々に努力が理解されていくだろうと期待している…
この日の靖国神社境内には若者たちが非常に多く目立ち、拝殿では10人ほどの“外人”の若者達が並んで参拝していた。3・11後若者たちの意識が確かに変わってきたように感じる。
ところで今日は数冊の本の読後感を羅列しておきたい。
1、「長い旅の記録・わがラーゲリの20年=寺島儀蔵著」(中公文庫)
著者は、1909年北海道生まれ、1927年に日本共産党に入党し、翌年の3・15事件で逮捕され6年半監獄で過ごしている。1935年に樺太からソ連に亡命するのだが、その間、ソ連共産党に拘束され、ラーゲリで強制労働を受ける羽目になる。
幸運にも生き延びて、57年ぶりに故郷に帰ることができたのだが、その労をとったのは寺島氏の克明な“個人的”記録を記事にしたいと訪問してきた日本経済新聞社であった。ソ連に亡命した寺島氏は過酷で数奇な体験を通じて共産主義に幻滅するのだが、このころ同じように樺太国境を越えて「憧れのソ連」に亡命した人物の中で有名なのは、当時売れっ子女優だった岡田嘉子(当時34歳)と愛人であった演出家杉本良吉(本名吉田好正30歳)であろう。
二人は昭和12年12月27日に北緯50度の樺太国境を越えてソビエトに亡命し「恋の逃避行事件」として有名になったが、ともに既婚者だったのだから今でいう“不倫関係”だったことになる。
杉本はその後スパイとしてソ連に処刑されたが、岡田嘉子は存命で昭和47年11月13日に34年ぶりに帰国している。この時、大勢のファンのほかに俳優・宇野重吉と劇団関係者らが羽田空港に出迎えたという。写真はその時のものである。
彼女はソ連での生活をあまり語らなかったが、寺島氏の著書は克明に記録されていて、私は「収容所列島」に匹敵する著書であり、未だに共産主義に憧れている人にとって必読の書だと思う。
≪34年ぶりに帰国した岡田嘉子さん=羽田:共同≫
2008/11/13 08:45 【共同通信】
2、「天と地と=レ・リ・ヘイスリップ著:飛田野浩子訳(上・下)」(角川文庫)
著者はベトナム人女性であり、ベトナム戦争で地獄を体験する。ヴェトナム崩壊時に脱出して米国に渡るが、文明の地?米国でも様々な“地獄”を体験する。
この間の克明な自叙伝だが、出版されるや巨匠オリバー・ストーンが映画化したので有名になった。
私は戦争というものの実態もさることながら、民族間の誤解、文化の違いを体験者自らが感じた「比較文明論」だとしてこの本を読んだが、訳者飛田野浩子女史の名訳でなかったら、読破するのが困難だったかもしれない。
訳者は日米の文化、特に宗教観などの違いを熟知していて、全く違和感なく和訳してあり、状況を理解できる点が素晴らしい。翻訳はこうでありたい…
戦争指導者=政府?とそれに振り回され、人生を大きく狂わされていく多数の人民(国民)の姿が実に鮮明で、改めて映画を見てみたいと思っている。
3、最後は私のPR 「日本の空を誰が守るのか」(双葉新書)
講演や航空雑誌などに書き連ねた論文を若者向けの防衛入門書としてまとめてみた。昨晩漸く脱稿したが、写真や図面などを入れてもらったので、初心者でも理解しやすいだろうと思っている。
来月初旬に試し刷りが出来、下旬ごろには店頭に並ぶ予定。値段は今編集部で「査定?」中だが、新書版なので手軽なものになるだろうと思う。
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