軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

プーチン氏「自ら孤立」―米大統領発言

f:id:satoumamoru:20220401175926p:plain

ロシアのプーチン大統領時事通信  )

ワシントン発時事通信によると、「バイデン米大統領は31日、ロシアのプーチン大統領が『顧問らを解任したり、自宅軟禁下に置いたりしたことを示唆する情報がある』と明らかにした。また『彼は(側近を遠ざけて)自ら孤立化しているようだ」とも語った。ホワイトハウスで演説後、記者団の質問に答えた」という。

 

私は既に先月初めに「敵も知らず己も知らず…その結果はどうなるか?」と書いたが、3月17日のこの欄ではプーチン、敗れたり!」と題して、彼自身が仕掛けたこの戦に、敗れるだろう、と書いた。

それは「敵も己も知らない」彼は‟恐怖政治”で部下が良い情報?しか上げないことを鵜呑みにして「48時間以内に決着がつく」と希望的観測で作戦を発起した。

それは「普段から他人の意見を聞きもしない彼自身の傲慢さ」が原因だと考えたからだ。今回、「張り子のトラ」ならぬ「熊」であることを世界に暴露して、遂にロシア国民からも忌避された。古いKGB体質が彼をつけあがらせたのだろうが、その彼に「苦言」を呈する良心的部下さえ存在しなかったようだ。要するに「裸の王様」だったわけだ。ロシア国民の悲劇である。

 

昭和51年9月6日、ソ連空軍のベレンコ中尉が、当時“最新鋭”と言われていたMIG25で函館空港に“強行着陸”してきたときのことを思い出す。

函館警察署員が、機体の傍に駆けつけたものの、ベレンコ中尉が拳銃で威嚇射撃したため、遠巻きに眺めるだけ、中央官庁ではどこが担当するか?で揉めていたが、日本の硬直した官僚制度に阻害されて「防衛庁」ではなく「外務省」が担当、「軍人の亡命事件」に対する真っ当な仕組みさえできていなかったのだ。そして出来たのは「悪しき前例」だけであった。

偶々外務省「軍縮室」に出向していた私は、TVに映る機体を見て「MIG25だ!」と発言したところ、「佐藤さん、外務省員として現地に行きませんか」と局長に言われたものである。

それじゃ古巣?の防衛庁に悪かろうと、「年間飛行訓練」を兼ねて三沢基地に飛んだが、基地のベースオペレーションにGパン姿の米国人たちがたむろしており、隊員に聞くと『米空軍外国技術部(通称ミグ屋)』と言われる米軍の専門家連中で、事故発生直後にワシントンから特別機で駆け付けたとのこと。不測事態対処の迅速なことに驚いたが、外国ではこれが常態である。

すったもんだの末、政府は百里基地に機体を移動して徹底的に検査したことは当然だが、それにも「ミグ屋」の助言が大いに参考になった。空自の隊員だけでは分解できなかったであろう。しかし「鴨がネギを背負って」飛び込んできたにもかかわらず、我が政府はなんともだらしなかった

f:id:satoumamoru:20220401180141p:plain

強行着陸してきたMIG25(インターネットから)

そして昭和51年9月29日、ニューヨークで行われた「外務大臣同士の会談」の後、10月2日に外務省はMIG25の機体を日立港ソ連船に搭載し、船上でソ連側が機体を点検することとされ、11月12日未明に分解した機体と付属品などを日立港に運搬し、ソ連船に船積みされた。かってに飛び込んできた方が悪いのにもかかわらず、である。

その後ソ連側技術者によって入念に点検され、機体は正式にソ連側に引き渡されたが、この時の「日本側の責任者は剛勇をもって鳴らした稲葉由郎1佐」でグダグダと難癖をつけるソ連側に対して、「出来るだけ“穏便に”」という政府の要望にも関わらず、一歩も譲歩せず相手を威圧していた。

ユーモア好きな隊員の中には「次に来るときは‟MIG31をもって来い”」と機体に落書き(日本語)していたし、計器盤カバー(ビニール製)を分解時に破ってしまった隊員は、近くの布屋で1㎡980円のビニールシートを買ってきて埋め合わせたというが、本人曰く「日本製のシートの方が余程丈夫だったから‟差額”をもらいたかった」

超大国”とは名ばかりで、内部の装備は遅れていて「これが実態だ」と驚いたものである。比較的優れていたのはエンジンだけだったと知ったせいもあったろう。

こんな我が方の「弱気外交」がプーチンという“怪物”を生んだと言えるのだろう。ちなみにこれが「戦後初の武器輸出」だそうな!笑い話もいい加減にせい!と言いたいところだ。

 

特定アジア諸国の指導者も、わが国の“弱腰外交”が生んだのだとしたら、わが国の責任も無視できないのじゃないか?

要するに戦後の日本人には「勇気」と「武人としての心意気」が望めないことが分かった一幕だったが、その裏には憲法があることが問題になる時が来たようだ。

今日の産経には「憲法前文の不都合な真実」として水内政治部次長がこう書いている。

良くかみしめて、一日も早く削除するべきじゃないか?政治家たちと「有権者たち」の猛反省に期待したい。

f:id:satoumamoru:20220401180358p:plain