軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

大阪市長選=古い体制は打ち砕かれる!

2010年から2011年にかけてチュニジアで起こった「ジャスミン革命」は、中東北アフリカ各地に広がった。一青年が旧体制にどっぷりとつかっている政府に抗議して焼身自殺事件したことが発端で、反政府デモが一斉に噴き出し、とうとう23年間続いた政権を倒したのである。チュニジアを代表する花がジャスミンだから、こう呼ばれることになったが、この事例はインターネットなどを通じて、瞬く間にエジプトなど他のアラブ諸国へ広がり、長期独裁政権に対する国民の不満と結びつき、次々に独裁政権が倒れる結果を招いた。


エジプト革命=インターネットから≫


リビア革命=インターネットから≫


≪頻発する中国人民のデモ=インターネットから≫


≪ニューヨーク・ウォール街のデモ=インターネットから≫


そして大阪でも「ジャスミン革命?」の前兆が現れた。大阪市長選挙で、維新を唱える橋下氏が、旧体制にしがみつく候補者を破って大勝したのである。
得票は橋下氏の683350票に対して平松氏は493467表(開票率91%)、知事選まで同じく維新を掲げる松井氏が1964816票を獲得し、2位の倉田氏は1184075票(開票率96%)だから、二人とも圧勝だといえるであろう。
しかも投票率は、市長選が60・92%と前回を17・31ポイント上回り、知事選も52・88%で前回を3・93ポイント上回っているから、有権者の関心が高かったことがよくわかる。

≪大阪知事・市長戦=産経から≫


産経は≪一騎打ちとなった市長選では当選した橋下氏に対し、維新支持層の99%、全体の3割を占める「支持政党なし」の無党派層の56.6%が投票。さらに自民支持層の45.7%、民主支持層の38.9%、公明支持層の36.9%も投票した。
現職の平松邦夫氏に対しては、前回市長選で推薦した民主支持層の6割が投票、市長選候補の擁立を見送って平松氏への自主支援に回った共産の支持層の88.7%が投票したが、支持を広げることはできなかった。

年代別では、70歳以上の51.5%が平松氏に投票したものの、他の年代ではいずれも6割以上が橋下氏に投票。30代では74.2%が橋下氏に投票した。

 一方、新人7人が立候補した知事選では、当選した松井氏に、維新支持層の98.1%、全体の3割に占める無党派層の51%が投票。さらに自民支持層の40.9%、民主支持層の37.9%、公明支持層の35.1%も投票した。

 年代別では松井氏への投票は、全年代で49.6〜65.6%と安定して支持を集めた。地域別では、大阪市内や大阪府北部の北摂地域でやや伸び悩んだものの、いずれも他候補を大きく上回った。

 さらに松井氏に投票した人のうち、96.1%が橋下氏に投票し、二人三脚での選挙戦の効果が表れた形となった。

 共産党支持層は72.4%が共産推薦の弁護士、梅田章二氏に投票したが、16.3%が民主、自民府連が支援・支持する前池田市長の倉田薫氏、10.2%が松井氏に流れた≫
と分析しているが、当然だろう。

維新(改革)阻止のために、なりふり構わず自民・民主・共産党という水と油が手を組んだのだから、有権者を馬鹿にするにもほどがある。
このような旧態依然として権力しがみつき手法をとるしか脳がない既成政党団体が、国民から飽きられている証拠である。
考えてみるがよい。こんな程度の判断力しかない方々が大臣になって、海千山千の外国要人とさしで話し合うのだから、相手にされるはずはなかろう。
今回の選挙戦でもその判断力は児戯にもとる。既成政党は何に自信を持っていたのか、週刊誌の情報か、それとも身内の噂話か?
こんな程度の判断力しかない、先が読めない、見通しが悪い旧態依然として恥じることがない政治屋たちを、国民が支持すると思うのが思い上がっていた証拠である。


長期“不敗”政権を誇った戦後の自由民主党にみられる「政権与党」の流れは、政権にしがみつき甘い汁が吸いたいばかりに、不敗ならぬ“腐敗”政権に落ちぶれていたのだが、本人たちにはその自覚は全くなかった。思い返すがいい。震災で宮城県庁を訪れたカノ大臣のセリフを!結果はどっちが「終わりだったか」
旧態依然としていて、ぬるま湯につかり、いつまでも古い体制にしがみついて居れると思っていた姿は見るも哀れであった。


考えてみるがよい。水と油、右と左であるにもかかわらず、有権者の意思を踏みにじって数の論理だけで奇妙な野合を組み、しかも自社さ政権では、あろうことか自衛隊の存在を「憲法違反」と否定していたグループの“親分”を自衛隊最高指揮官に据えて、部隊に「かしら中!」と“忠誠”を誓わせて恥じなかった。
この時点で既成保守政党は瓦解していたのであるが、渦中にある親分・子分たちはそのことを全く理解していなかった。まさに国民不在の証明であった。



≪第81代内閣総理大臣・村山富一氏=歴代内閣ホームページから≫


そして、あまりにもふがいない政府に愛想を尽かした有権者は、最も恐るべき「ゲバ学生」からなる野党というモザイク集団に政権を与えたが、そのお粗末極まりない二人の首相のうち、鳩山首相は日米関係を危機関係に陥れて去り、二人目の菅首相原発事故を拡大させて政権を去った。


≪はとぽっぽ!というあだ名で親しまれた鳩山首相


≪大震災で大活躍し、“空き缶”と親しまれた菅総理!=インターネットから≫


日本国内だけで済むのならばいざ知らず、国家安全保障の危機に加えて景気の低迷と震災による国民の苦しみはそれを許さない情勢になっていた。
身の程知らずもいいところ、国家観も信念もなく、単にメディアに登場しては人気取りに躍起となり、国家権力と機密費を自由に使える魅力に取り付かれ、国家基盤が解体に瀕していることさえ気が付かない、古色蒼然たる面々が永田町を占拠していた。
「○○につける薬はない」とは言うが、自分が○○だと気が付いていない以上、薬も何もあったものではない。

最も恐るべきは、通信手段が極度に発達した現在、一瞬にしてこれら○○たちが、日本の指導者であるという最大の弱点を世界中に広げてしまっていることであり、伝統と文化を築き上げてきた先達たちの顔に泥を塗って恥じない姿勢である。
これこそ国辱モノ以外の何物でもあるまい。

昔なら≪攻め込むのは今だ!≫と隣国は思い行動したに違いない。終戦間際に、息も絶え絶えだった我が国に、不可侵条約をいとも簡単に破棄して襲いかかった旧ソ連のように!


それが弱肉強食の国際関係であることを忘れている古色蒼然たる面々に、ついに大阪から火の手が上がったのだ、と私は今回の出来事を受け止めている。

ついでに言うと、メディア、それも少しは堅実になってきたかと思っていた週刊誌までもが、奇妙な“選挙妨害もどき”の記事を大々的に掲載するなど、メディア界にも終末が訪れていることをうかがわせる。


何はともあれ「維新」とは「変革」の意味であり、国民は、旧態依然とした発展性のない老人どもの醜態に飽き飽きしているのである。
老人は「耳が遠くなり、目がかすみ、筋力も衰える」のが通例だが、それとは逆に頑迷固陋、人の意見を聞かなくなるという欠点がある。

古人曰く[老いては子に従え]と。
今や天も地も人も、大きな転換期に差し掛かっているのであって、古い体制にいつまでもこだわって、先を読めない醜態をさらしている「旧体制派」の政治出稼ぎ人らは今後ますます淘汰されていくことだろう。
21世紀に責任を持つのは若い彼らである。若者たちの気力と体力に期待したい気分である。


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