軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

原発事故調査結果

福島原発事故独立検証委員会」が、事故調査報告書を公表した。予想通り、恐るべき稚拙な「政治家」たちが、無用の混乱を引き起こして、被害を拡大させたことがはっきりした。
未だに自分の土地に戻れず、窮乏生活を強いられている被災者は、彼らを告発すべきではないか?一度、「無責任な政治家ども」に天誅を喰らわせないと、この種事例は後を絶つまい。産経の原子力取材班はその内情をこう書いている。


≪ひたすら続く菅直人首相(当時)の怒声、困惑する官邸スタッフら…。東京電力福島第1原発事故をめぐり、民間の有識者による「福島原発事故独立検証委員会民間事故調)」が27日に公表した事故報告書。政府の対応を「稚拙で泥縄的な危機管理」と指弾した内容からは事故直後の緊迫した状況の中、政府首脳が右往左往する当時の様子が克明に浮かび上がった≫。


≪混乱が際立ったのは昨年3月11日午後9時ごろだ。原子炉の冷却ができなくなったことから圧力が上昇。官邸と東電は炉内のガスを放出する「ベント」の準備を始めた。しかし、12日午前5時になってもベントが実施されないことを知った菅首相は、自衛隊ヘリで福島第1原発に向かう。

 枝野幸男官房長官(同)は「絶対に後から政治的な批判をされる」と反対したが、菅首相は「政治的に後から非難されるかどうかと、この局面でちゃんと原発をコントロールできるのとどっちが大事なんだ」と反論。枝野氏は「分かっているならどうぞ」と送り出した≫


≪この頃、福島第1原発では、菅首相の突然の訪問について、吉田昌郎所長(同)が東電本店に難色を示した。「私が総理の対応をしてどうなるんですか」

 午前7時すぎ、菅首相が現地に着くと、いきなり武藤栄副社長(同)に詰問調で迫った。「なぜベントをやらないのか」。電力がないことを説明した武藤副社長に菅首相は「そんな言い訳を聞くために来たんじゃない」と怒鳴り散らした。

 菅首相を鎮めたのは吉田所長の一言だった。「決死隊をつくってでもやります」。納得し、官邸へ引き揚げる菅首相。「吉田という所長はできる。あそこを軸にしてやるしかない」≫


≪しかし実際にベントが行われたのは午前9時を過ぎてから。東電は10キロ圏内の住民避難完了後にベントをすることにしていたが、枝野官房長官がこの事実を知ったのは数カ月後だった≫


≪同12日午後3時36分、1号機原子炉建屋が水素爆発する。約1時間後、首相執務室に寺田学首相補佐官が駆け込んできた。テレビのチャンネルを変えると、建屋が爆発、白煙が上がる映像が流れた。

「爆発しているじゃないですか。爆発しないって言ったじゃないですか」。驚く菅首相に、そばにいた原子力安全委員会の班目春樹委員長は「あー」と頭を抱えるしかなかった。

同午後5時55分に海江田万里経済産業相(同)は原子炉冷却のために海水注入を指示し官邸の会議で報告。ところが菅首相は「分かっているのか、塩が入っているんだぞ。影響を考えたのか」と議論を引き戻した。
 さらに班目氏に対して核分裂が連鎖的に起きる「再臨界」の可能性を問いただすと、返答は「ゼロではない」。菅首相は「大変じゃないか」と再臨界防止方法の検討も指示した≫


≪会議参加者の間では既に、早急な海水注入が必要との認識で一致していた。「今度失敗したら大変なことになる」。菅首相に疑念を抱かせないように、次の会議に向け、各自の発言内容の確認と入念なリハーサルが行われる“茶番”も繰り広げられた。
 このとき、既に福島第1原発では海水注入が開始されていた。東電本店は電話で吉田所長に「首相の了解がまだ取れていない」と、中断を要請したが、吉田所長は独断で海水注入を継続した≫

他方東電が民間自己強に協力しなかったことは、≪「役所よりも役所っぽい」と揶揄される東電の権威主義的な体質を露呈させたといえ≫、東電の真意は不明だが、≪政府や国会事故調のように後ろ盾のない民間事故調を軽視する姿勢は明らかだ≫


他方、30年にわたり、多額の国家予算を費やして開発してきた拡散予測システム(SPEEDI)を生かせなかったのは、≪原発立地を維持し、住民の安心を買うための「見せ玉」に過ぎなかった≫とも表現、また、文科省が事故後にSPEEDIの運用を原子力委員会に「一方的に移管した」と指摘、これは≪「責任回避を念頭においた組織防衛的な兆候が散見され、公表の遅れを招く一因になった」と文科省の無責任ぶりを非難した≫

それに比べて現場では、作業員たちが決死の覚悟で作業にあたっていたことも証明されている。

このような重大経過を記録した「会議録」を政府自らが作成していないのは、職務怠慢どころか、責任逃れだといわれても仕方あるまい。全員処罰である!


いやはや、予想通りとはいえ、これほどまでに「無知蒙昧」「無為無策」なゲバ青年たちの集合体に、我々国民の生命と財産を「預けている」ことは実に恐ろしいことではないか?
単に「防衛大臣」が2代続いて「素人だ」と騒ぐ以前に、政府自体がど素人集団なのである。しかも「素人を自覚することなく」自らを玄人だを錯覚したお山の大将…

ところで、産経新聞が、あまりにも無責任な前原政調会長の言動を「言うだけ番長」と書いたところ、「ペンの暴力の類」で「受容限度を超えた」として記者会見場から産経の記者を追放したらしいが、専制主義の兆しが濃厚である。
数年前、まだ彼が野党に所属していたころ、我々仲間内の勉強会に呼んで話を聞いたことがあったが、「靖国問題」を質問され、かなり気色ばんだことがあった。
この時は同行してきた、バックについていた某全国紙新聞元論説委員が突如「なんだこの会は、右翼の集まりか!俺は帰る!」と激怒して座を立ち、勢いよく玄関扉を閉めて立ち去ったことがあったが、前原氏は残って質疑応答をつづけ、元記者と一緒に立ち去らなかったことは一応評価したのだが、精神的には傲慢で見下しているという印象だった。しかし、肉体的にはかなり上気したところがあったので、多血症ではないか?と思われた。これは血液細胞のなかの赤血球数が増加する病気だから、下手すると血液濃度が高くなり動脈硬化などになりやすいと言われているから、赤ら顔程度で済むようにコントロールされた方がよいのでは?と思ったものである。尤も、前記事故調報告書を読む限りでは菅元首相の方が重症のようだが…


世界は驚くほどのスピードで予測できない危機に向かっている。欧州、中近東アフリカ、イランとイスラエル、インド洋、アジア…、中でも大陸の変動は、権力争いが国内騒乱一歩手前まで来ていると推測される。


言うならば、世界は「オリンピック」に向かって突き進んでいるのだが、東洋の“神秘の国”では、普天間問題、震災復興の停滞、経済破たん問題を抱えて、まるで「幼稚園の運動会」準備で忙しそうな風景に見える。

スポーツというよりも、仮装行列、エンタメ風の東京マラソン報道で一喜一憂している場合じゃないのだが…


届いた新著のご紹介
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1、「いま本当に伝えたい感動的な『日本』の力」
(馬淵睦夫著:総和社)¥1000+税
ウクライナ大使で、防大教授でもあった著者の、40年にわたる外交官生活で「日本人」を見つめた短編集。国家衰退が止まらない今、立ち止まって足元を見つめるに適した好著である。ご一読をお勧めしたい。



2、「世界に誇る日本の道徳力:心に響く二宮尊徳90の名言」
(石川佐智子著:コスモトゥーワン)¥1800+税
北海道旭川市出身で、永山屯田兵4代目として開拓精神に生きる著者は、日教組の影響が強い北海道において、孤軍奮闘してきた教育者。日本社会が苦悩している最大の原因は、日本人の道徳力が低下していることにある、とする。「モラルを失いエコノミックアニマルと欧米から軽蔑された日本人が、道義大国としても世界から信頼される道はどこにあるのでしょうか」という石川女史の切々たる訴えに同感である。ご一読をお勧めする。


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