「中華帝国の興亡(黄文雄著:2007年PHP)」は、その名の通り、現代中国の行く末にヒントを与えてくれる好著である。
最近の報道は、いつの間にかマンネリ化してしまった与野党の駆け引きと、消費税の是非、そして節電騒ぎで埋め尽くされていて、なぜか中国関連の動きに関する報道が小さくなってきた。
逆にインターネットでは、連日虚々実々の動きが流れていて、なかなか真相がつかみにくくなっている。その中で光っているのが「宮崎正弘の国際ニュース早読み」と「大紀元時報:日本」だろう。
いま大陸では、秋の大会を控えて、中国共産党内部の三派の熾烈な戦いが起きていることは間違いない。とりわけ愛国主義を振りかざして、反日の塊だった江沢民氏率いる一派の「最後の悪あがき」とでもいうべきドロドロした戦いが、13億の人民はおろか、周辺諸国に悪影響を及ぼしつつある。
多分、中南海の舵の取り方次第では、大陸は七個の州に分裂するか、国家そのものが分裂しかねまい。
≪産経から≫
【大紀元日本5月11日】によれば、≪9日に開催された広東省第11回党大会で、同省トップの汪洋氏は、「人民の幸福は党や政府からの恩賜ではない」と発言し、波紋を呼んだ。
汪氏は政府工作報告を行った際、「人民を幸せにするのは党及び政府の責任である。人民の幸福が党や政府からの恩賜だという誤った認識を改めるべきだ」と述べた≫という。
堂々たる反党宣言だが、わが国では報道されていないのじゃないか?
また、中国住宅・都市建設部水質センターが2009年後半に行った全国の都市飲用水状況に関する調査では、≪「水道水」の安全基準を満たした配給地域は、わずか全体の50%だという。つまり、半数は汚水が「水道水」として配水されていることになる≫ともいい、≪中国国家環境保護局政策法規司(局)の別涛・副司長は国内紙・第一財経日報の取材に対し、「南方の川はすべて汚染されている。北方の川はすべて枯渇している」という言葉は水汚染の現状をリアルに反映していると話し、汚染で様々な色をする河が現れているという。
昨年、河南省洛陽市内を流れる川は違法操業の染物工場が垂れ流した赤い染料で真っ赤に染められ、「血の川」となったことが報じられ、話題を呼んだ≫
「血の川」と呼ばれた、河南省洛陽市内を流れる川(STR/AFP/Getty Images) 大紀元時報から
それと付随して、中国国内の食料汚染問題も深刻化しつつある。
我が国のスーパーなどには、「たくあん」や「榊」までもがそんなところから“輸入”されているのだが、本当に大丈夫なのかな〜と心配になってしまう。榊は食品じゃないけれど…
≪復旦大学院生らが作成した食品問題影響図:大紀元時報から≫
それはともかく、黄文雄氏の前著には、「帝国崩壊の歴史は水不足、旱魃、疫病の蔓延、蝗の害の循環で作られてきた」と書かれているが、すでにそれが起きていることは、インターネット情報でうかがい知ることができる。
特に水不足問題は重大で、この書にも「全国的規模への拡大、森林の消失、湖沼の消失、表土流出、草原の消失、砂漠化の拡大。それに加えて、水資源とエネルギー資源の枯渇、さらに空気、海洋、水質汚染が深刻化していく。亡国亡党どころか、文明の崩壊まで警告され、国際中医学会の二〇〇四年の報告(「前哨」)では、中国人の種の絶滅は五十年後ということまで計算されている」と書かれている。
最近の“中南海の変”を観察していれば、黄氏の指摘が的中しつつあるように思うのだが、その惨害が、周辺諸国に及ぶことは避けがたかろう。
どこか間の抜けた最近の日本政財界や、メディアの動きをみていると再び「天罰」は避け得られないのかな〜という気分になっていく。
何よりもそんな大陸や台湾よりも先に、我が国のほうが先に沈没するのではないのか?と心配になる毎日で、個人としては絶対に回避しなければならないと思うのだが、政府はどう考えているのかな〜…
書籍紹介=======================
相変わらず著者は「憂国の士」である。彼の脳裏からは「国家再興」という言葉が、民族的課題として離れないのだという。
≪その「国家」とは、抽象的な存在ではなく具体的な「わが日本」である。私は「わが日本」によって生かされ、またそのために死ぬのは喜びである≫とまで言い切っている。
34年間、防空の任についてきた私は、退官後15年、この国の一大欠陥である「憲法」を改めようと呼びかけてきたが、いまだに遅々として進まないのを見て、今や、国家再興よりも「滅亡回避」が精いっぱいのような気がしてならないのだが…
著者は私の同期生で元パイロットである。難毛若乱とは、もちろん「なんもわからん」という当て字の筆名である。
日々書き溜めた原稿を出版したいが…と相談を受けたが、本が売れない時代だから、なかなか専門の本屋さんは動かない。彼は「自費出版」を検討したそうだが、大手だと300万〜。小さなところだと校正なしで50部、約60万。そこで彼は自ら出版社を立ち上げて出版にこぎつけたという。「この本を書くきっかけになったのは、自衛隊ででの経験や、退職しての色々な経験から、人間とはなんだろうか、生きるとはどのようなことだろうか、幸せとはどのような状態をいうのだろうか、集団心理や国家意識はどうあるべきか、等のもやもやしたものが、心に残っており、これを整理したかったからです」という。
彼はF86DからF104に進んだが、私はF86FからF4EJに進んだ仲、やはり3次元の世界を飛び回り、終盤に差し掛かると「もやもやした」気持ちを整理したくなるものらしい。
彼の努力に敬意を表し、自作出版を心から祝いたい。ただし、この本はアマゾン以外では入手不可能なので念のため。
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魏志倭人伝、ドラッカーも! 2000年前から外国が絶賛 日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか
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