軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

“懲罰”を加える?

シリア情勢がにわかにきな臭くなってきた。シリア政府が化学兵器を使用した疑惑に対して、“白人”国家は怒り心頭らしい。
≪無実の人を毒ガスで殺害する決断を下した者を罰する用意がある(オランドフランス大統領)≫
≪(軍事介入は)アサド政権の追放ではなく、国際法違反への対応(カーニー米大統領補佐官)≫
などと、怒りむき出しだが、どちらが使用したかはまだ不明だという。
シリア情勢からみれば、軍事力で勝る政府側が使う根拠は乏しいが、不利を強いられている「反体制側」が、国際世論を味方につけるために、自作自演と含めて大々的に政府側が使用したように見せるのは“軍事常識”だといえる。
盧溝橋事件では、わが国は中国共産党一派の策謀に見事に引っかかったし、上海事変でも、陰で操ったドイツの陰謀に引っかかり、泥沼の戦闘に引きずり込まれた。


近年、≪懲罰を加える!≫と叫んでのめりこんだ例としては、1979年のトウ小平によるべトナム侵攻がある。
その結果、「目的は達した!」と6万人の被害を出して負け惜しみを言って退却したが、実はこの戦争は、トウ小平が政敵を葬るために仕掛けたものだったいう説もある。人民の命なんぞ歯牙にもかけていない国らしい話である。


軍事力を誇示する米国も、時たま同様な過ちを起こすから“同盟国”の一員としてハラハラさせられる。

≪米国の過去の軍事介入=産経から≫


この表で分かるように米国の軍事行動は、大半がその後こじれている。
リビアは成功したように見えるが、カダフィー無き後のリビアはテロリストの温床になった…


今朝の報道では、化学兵器疑惑で英紙が「アサド氏護衛殺害の報復か」と報じている。

≪28日付の英紙タイムズは、シリアで21日に化学兵器が使用され、多数が死亡したとされる疑惑について、シリア政府が実行したとした上で、反体制派の攻撃でアサド大統領の護衛が殺害されたことへの報復が動機になったと報じた。

 同紙によると今月上旬、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝祭中に、シリアの首都ダマスカスで反体制派がアサド氏を暗殺しようと、アサド氏と家族らの車列を攻撃。この攻撃でアサド氏の子供3人が最も慕っていたとされる護衛が死亡した。

 化学兵器使用疑惑は国連調査団のシリア入りに合わせて持ち上がったため「アサド政権が自らに不利になることを行うはずがない」との指摘があるが、同紙はアサド氏の個人的な怒りが非論理的な行動につながった、との英政府筋の見方を伝えた。(共同)≫


情報に強い英国の報道だから信じたいが、米国政府の肩を持つ雰囲気も除外できない。親戚同士だから……
もしそうであれば一応の「大義名分」は立つが、戦争は終わり方が肝心、どこを目標にするのか知らないが、最初から3日間だけ…などという戦争は大概失敗する。
オバマ大統領にはしっかり情勢判断をして、戦後ますます国力(特に軍事力)が低下しないようにしてほしいものだ。

≪吠えるバイデン副大統領:安保理無視?勝算は?=産経から≫


我が国も、その後の事態に備えて海保の500名だけではなく、自衛官の増員を計画すべきだろう。「専守防衛」を国是?とするわが自衛隊は、ジプチやゴランなどに派遣する要員は「員数外」だったはず。せめてこれら外地への『派遣隊員数』は「外数」にすべきじゃないか?
そのうえローテーション数を加味してくれればありがたいが…


西方が騒々しい中、東方もいよいよおかしくなってきた。薄キライ裁判は一応終結したが、習近平の思惑とは相当違った結果になりそうで、次の周永康に対する処遇がそれを左右するかもしれない。

そんな中、情報によると、解放軍の高官が動き出したらしい。劉亜州といえば劉建徳の息子、一時期強硬派将軍として有名になった人物だが、江沢民の引き?で2009年に国防大学政治委員(7代目)に抜擢され、2012年に空軍上将に上り詰めた。
現在は国防大学政治委員という肩書らしいが、事実上国防大を牛耳っているらしい。彼の名が有名なのは、第3代国家主席李先念の娘婿にあたり、習近平を筆頭にした太子党の主要人物とみなされているからである。
反日で有名で日本との友好には徹底的に反対している男で、空軍上将とはいうものの実態は情報幹部?で軍事訓練は受けていないともいい、軍事小説を多数執筆しているから中国では「小説家」と呼ばれていて、結構人気が高いという。
その彼がここにきて、共産党改革案を提示したらしいが、その要旨は、このような政情不安定で人民の不満が高まっている状況は共産党の危機であり、もっと党は“開放的になれ”というにあるらしい。
つまり、このまま混乱が続く独裁政権を続けていけば未来はないというのだが、これは薄裁判で薄が習より優位に立ったことを見越した発言だろう。
おそらく薄は無罪になり2〜3年で解放されるか、9月以降の会議で罪が減刑されることもあり得るだろう。

総政治部では「戦争を準備しよう」と豪語してきた羅援少将らと「小国(タイやフィリピン)をたたく」一方で、国内を安定するため、海外に逃げている「民主活動家」の入国規制を緩める改革を求める内容だという。
これは米国にいる薄瓜瓜らと連携が取れているようにも見えるし、臓器を奪われ続けている法輪功の圧力が相当影響しているのかもしれない。米領事館に逃げ込んだ王立軍が持ち出した文書の影響が表れつつあるとみるのは早計か?


いずれにせよ、劉亜州の論文は「第二の改革開放をしなければ、自国民を殺した軍隊と中国共産党に未来はない」というものらしく、「64年目を迎える独裁政権の生き残りをかけて、党は反省せよ!。一致団結せよ!」という“激”らしいが、大陸で取材している日本の記者さんたちが早く入手して、記事にしてくれることを望みたい。


とまれ、東西間の混乱をしり目に、安倍首相が「地球儀外交」を淡々とこなしていることに期待している。
地球は「丸い」ことを説き続けて20年余、やっと日本政府も【ポーラプロジェクション(北極点からみた地図)】で世界を見始めたようで、個人的には少しばかり満足している…

≪地球は丸い!これで見なければ国際情勢は読み取れない≫


ところで我が家周辺は「秋の気配」が濃厚になってきた。セミの抜け殻も、なんとなく季節の変わり目を伝えている気がする。自然は偉大だな〜とつくづく感じる。
その自然が牙をむくのは、地球規模で言えば「アブラムシ」程度の人類が、我が物顔に地球を食い物にしているからだろう。
そろそろ反省が大事だと思う…


≪妙に感傷的になるセミの抜け殻…=短い命をどう過ごしたのか…≫


さて、ようやく私が校訂した書籍の試し刷りが届いた。
産経の古森さんから帯に一言いただいたが、戦前、戦中、そして戦後を生き抜いた一人の軍人の生きざまを、後に続く若者たちに知ってもらえたら望外の喜びである。
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≪9月2日(ミズリー号上の降伏調印の日)に発売予定≫

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