軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

世界に広がる修羅界

迷い人達が輪廻転生を繰り返すと説く仏教では、迷いある世界を6つに分けた。すなわち天道、人間道、修羅道畜生道、餓鬼道、地獄道の「六道」である。
そしてこれは「死後の世界」ではなく、現世に生きる人間の心の状態だというのであり、天道界=天人が住まう世界では、天人は人間よりも優れた存在だから「寿命は非常に長く、また苦しみも人間道に比べてほとんどない」状態であり、地獄界では「心の状態が地獄のような状態」だと解釈されている。


連日の国内外のニュースを見ていると、我々はまさに修羅界(阿修羅の住まう世界で、修羅は終始戦い争うとされる。苦しみや怒りが絶えないが地獄のような場所ではなく、苦しみは自らに帰結するところが大きい世界であるとされる)に生きていると思わざるを得ない。国内でも殺人など凶悪な事件、大事故はひっきりなしだし、国外では堂々と近代兵器によって殺し合いが続いている。
そしてそれを誰も止めることが出来ないのだ。
戦争防止を意図して設立された国連は「文書」で非難し決議するだけ、世に名だたる宗教家も殺し合いをとめることはできず、弁解ばかりしている。
そんな無力?な機関に我が国の国防を預けて恥じない政治家らは、むしろ紛争を助長しているというべきだが彼らはそれに気が付かず、世界の警察官を自称したアメリカさえも、今や腰が引けていて初歩的な軍事常識をわきまえていないから、戦力の逐次投入を繰り返す愚を繰り返して憚らない。
もっとも「ノーベル平和賞」を受けた“弱み”がそうしているのかもしれないが、受賞した以上“それ”が本物だったと積極的に証明すべきじゃないか?


こんなニュースに深入りするとストレスが増すばかりだから、出版活動に一段落できた今、ため込んでいた書籍の乱読を開始しているが、改めて目から鱗の毎日である。もっとも鱗は自生するからいつまでもつか知らないが…

その1が「明治維新という過ち(原田伊織著:毎日ワンズ¥15009+税)である。


三沢や松島などで勤務した私は、現地に残る「戊辰戦争」の傷跡を痛切に感じたものだ。鹿児島出身の後輩が、不注意?にも「薩摩大使」と書いた名刺をばらまいたため、周辺市町村(特に青森市)の方々から顰蹙を買って、後で戊辰戦争で痛めつけた薩摩出身だったと気が付いた本人は大慌てだったことがある。その教訓からか、その後沖縄赴任時には住所を変えて出身を神奈川にして赴任したが、これも現地でバレバレ、意図的に身分を変えたことが知れて逆にここでも顰蹙を買ったものだ。
というのは、実は沖縄の産業界、財界を牛耳っているのはほとんどが≪薩摩≫の方々だったからだ。


青森市津軽)で演奏会を開いた音楽隊が、アンコールの連発に窮して「八戸小唄(南部)」をジャズ風にアレンジして応えたところ、大ブーイングで立ち往生したこともあった。そう、津軽と南部は犬猿の仲だったのである。
何でそこまで…と非常に興味を持った私はそれ以後気を付けてみていたのだが、本書では「明治維新」とは、「維新」「天誅」を唱えた狂気の水戸学が生んだ「官軍」という名の、薩長の下級武士らによるテロ攻撃だったのであり、「日本を滅ぼしたのは吉田松陰と長州テロリスト」たちだということになる。
その証拠に、今でも薩摩と会津はことあるごとにもめている。

連合艦隊司令長官山本五十六真珠湾攻撃を実施し、日本を破滅に追い込んだのも、実は長岡藩の薩長に対する復讐だった、という説さえある。


興味があったので次の本も並行して読んでいるのだが、これまた面白い。
「怨霊とは何か(由田雄司著:¥760+税)である。

これは戊辰戦争に対するもろもろの事象と怨霊との関係を見出そうとして買ったのだが、それよりも実は靖国神社に合祀されている(筈の)英霊方の怨霊を供養するにはどうすべきか?と考えたことの方が大きい。

昨年8月15日、BSフジTVプライムニュース≪特攻とは何か≫に呼ばれ、陸軍特攻の板津先輩から「出撃時に≪靖国神社の一の鳥居前に集合し、そろって神殿に昇ろう≫と約束していたのだが、不時着したので皆の集合場所にたどり着かなかった…」と聞いた時、未だに8名の戦友たちは一の鳥居の前で待ち続けているのではないか?と鳥肌が立ったのである。

「怨念とは死後に落ち着くところのない霊魂である。古来、日本では怨霊が憑依することによって、個人的な祟りにとどまらず、疫病や天変地異など社会的に甚大な被害がもたらされると信じられてきた」という。
私も今次大戦の終結日である8月15日に、戦没者の霊を靖国神社で供養しようとしない歴代首相らの行為を英霊は恨んでいるのだ”!と決め付けているので、まだ半分しか読んでいないのだが、なんとなく理解できそうであり、英霊の供養を粗末にする社会は、必ず天罰を受けると納得しつつある。


このような現象は、現代科学では解説不可能であろう。大体[科学]という“学問”も時の政治状況や、都合でいかようにも変更される可能性があり、絶対的なものではない。事実、学説は次々に変わっているじゃないか。
例えば健康維持に関する医者の学説は「無責任」と思われるほどドンドン変わっていて、製薬業と健康食品会社の利益に貢献しているように感じられるほどである。


ところがそんな「修羅界現象」と一線を画しているのがわが政界であろう。
国防はもとより、拉致被害者救出、民間憲法臨調などなど、退官後に引っ張り出された会合は数限りなかったが、どれ一つとして成就したものはない。
退官直後は沖縄の現状について各方面からお声がかかり、尖閣問題は元より沖縄問題の核心についても、当時の資料を詳細に解説してきたつもりだが、誰一人として関心を示したものはいなかった。ただ驚いただけである。
学士会館で行われた高校の同窓会で講演した時も、「あまりにも報道と異なるので質問のしようがない」と先輩方に言われたので「誤報道の責任は前に座っている(当時A新聞社社長を降りたばかりの)H先輩に言って下さい!といったものだ。


自民党重鎮だったはずの翁長知事が、反自民党の先頭に立って反日活動を開始したので、さすがに白けた政府は補助金をカットしたが、もともと普天間移設問題は、私が退官直後に「諸君」に書いた通り、県民の声を代表したものでは決してなかった。
時の橋本首相が、誰の助言?か知らないが、突如「返還」を宣言したため起きた大混乱だったのである。地主のほとんどは継続使用に賛成していたし、島民もそれで地代が上がれば、住みやすくなると考えていたにすぎない。
それが、あろうことか首相は、今まで自民党の政策に協力してきた「軍用地地主会」に全く諮ることなく勝手に決めてしまったから、地主会も現地自民党も東京の本部に徹底抗戦を開始しただけのことである。つまり味方を敵に売り渡したのである。
時がたつにつれて政治家らが辺野古周辺の土地を取得し始め、建設業者の利権争いが起き、それに乗じた左翼が進出して、ついに沖縄に今のような行き詰まりを生じさせ、とうとうシナに売り渡す動きを活発化させただけだといえる。次の本を読むといきさつがよくわかるだろう。


「沖縄の不都合な真実(大久保潤・篠原章共著・新潮新書¥740+税)」

≪著者は日経新聞那覇支局長と評論家である。私は平成9年に退官したが、あれから18年かかってようやく真実の一部が世に出たことになる。現地在任中は報道できなかったのだろうな〜と気の毒になる≫


責任を取らない政治家らの責任は実に重いというほかない。今ダッカ事件で“超法規措置”で多額の税金を持ち逃げした犯人の一人が、米国から追放されて帰国したが、彼を釈放した政治家らは、責任を取ることなくノウノウと良い生活をしているのじゃないか?
このような世の中の不公平な現実を見れば、もちろん絶対容認できないがISILの様な輩が生じるのも頷けよう。貧困な政治、いや政治屋どものせいだといえないか?


その象徴的な記事が、今朝の産経に出ていたから、思わず吹き出してしまった。己らの無責任は棚に上げて、さらに無責任を上塗りしている厚顔無恥ともいえるお三方の写真ほど無責任を地で行くものはあるまい。厄介なのは、彼ら自身が「いいことをしている気」でいることだ。まさに廣澤寅蔵の浪曲「○○は死ななきゃ治らない」のである。

≪日本っていいなあ〜。一度罪を犯して自ら辞めた議員も復活して言いたいことが言えるのだから…≫


これを見ていると修羅界ではなく、現政界は畜生道か餓鬼道のさなかにあるというべきか? 間もなく地獄界だろうが…


処で緊急拡散希望が水間氏のブログに出ていたから拡散しておきたい。

≪●昨年12月に秘密裏に来日し、山口公明党々首の中国訪問をセッティングした李小林・中国対外友好協会々長が再来日します。

李小林は、李先念国家主席の娘で、太子党習近平国家主席と幼なじみの間柄で、旦那の劉亜州は、共産党参謀本部政治部のトップとして、習近平主席のゴーストライターの役割も担っています。夫婦で中国の諜報機関を牛耳っているのです。劉亜州は、2005年のレポートで尖閣奪取を宣言し対日強硬派として有名になった人物(江沢民が空軍上将にした)です。

李小林は、太子党内では習近平より格上であり、夫婦揃って習主席の側近中の側近であり、今回、唐カセン・元外相に代えて派遣して来たのは、習主席の対日融和戦略が政敵に漏れない対策として、腹心を訪日させたのです。
現在、解放軍は給料を値上げし金欠病になっており、環境問題も解決できる技術もお金も無い中国が、福田・元首相、鳩山・元首相、山口公明党々首との会談がセッティングされており、トヨタなども訪問する日程も組まれています。日本を手玉にとるための来日です。

また安倍首相との面会も求めていることも漏れています。安倍首相が、自民党はいままでと違うと断言していることが本当であれば、中国のスパイの元締めに翻弄されないように細心の注意を払って戴きたい。≫


少し解説しておこう。彼らが来日する目的は西部開拓などの工事も行き詰っていて、金欠病であるほか土木技術も不足しており、日本側に技術者と資金援助を求めているらしいのだ。要するに中国共産党・習政権の危機なのである。
ずうずうしいにもほどがあるが、おそらく“与党”が安倍首相に圧力をかけ、習近平を援助させようとするだろう。安倍首相はきっぱり断るべきであり状況によっては分離すべきだろう!

唯でさえも習近平は、この夏に予定している「対日戦勝記念日」であることないこと世界に「歴史戦」を持ち出して日本を貶め、日本をユスルことを決定しているのだから、そんな輩に屈することはない。拒否すれば、尖閣問題を持ち出して、軍事的恐喝を加えるだろうが、今の人民解放軍にその実力はない。あっても一部の跳ね上がりが何か事を起こそうとするだけで、組織的な軍事活動は不可能である。安倍首相と政府は、自衛隊の実力を信じて毅然としてはねつけてやってほしい。
紙数が無くなったので、シナ情報は次回に譲ることにしたい。


届いた本のPR
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自衛隊の最強装備2015(井上和彦監修:双葉社¥648+税)」
防衛漫談相手の井上和彦氏の最新書、陸海空自の最新装備をよくここまで公開したな〜と思うが、防衛省はよほど自信がついたのだろう。

尤も自衛隊員の練度は一流だから心配していないが、人員がどんどん削減されていることには触れられていない。もちろん仕事も増えていて、札幌雪祭りなど自衛隊にいい感情を持っていない市長さん?に貢献する必要はないのじゃないか?とある陸自OBから電話があった。
来年は北部方面総監に御一考頂き、それよりも隊員たちを、これらの最新兵器に熟達させる訓練にまい進してほしいものだ。



真珠湾奇襲攻撃70年目の真実(市来俊男著¥1400+税)」
尊敬する海軍・市来先輩の著書である。昨日八王子の本屋で購入したもの。「元海軍大尉の貴重な実践回想録」であり、若者たちにご一読いただきたいと思っている。

たまたま20世紀FOX社からの依頼で、真珠湾70年を記念してリニューアルされた「トラトラトラ:ブルーレイ」のご紹介をさせてもらっているところだが、併せて読むと当時の双方の作戦に従軍した軍人の心境が伺えて有意義である。

真珠湾奇襲攻撃70年目の真実 (新人物ブックス)

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戦闘機パイロットという人生

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大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

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