軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

目に見える“貧困”

数日前の産経新聞に、曽野綾子女史が「貧困」について次のように書いていた。

≪この頃、日本人の多くは貧困だ、経済格差がひどい、という論文を、あちこちでよく読む。私は外国で暮らしたこともないのだが、どこの国民でも、こんなに自国が貧しいと言うのが好きなのだろうか。

今年2月10日の毎日新聞に社会活動家の湯浅誠さんという方が、「貧困の特徴は『見えない』ことにある。本当は『ある』のに、見えないことから『ない』こととされやすく、実際そうされてきた」と書いている。

確かに貧困は誰もが隠したがる面を持つだろう。しかし貧困は必ず明らかに目に見えるものだ。まず乞食をする子供が町中をうろつく。日本の産経以外の全国紙は、「『乞食』は差別語ですから使わないでください」と震え上がって筆者に注意するだけで、イタリア人のように、乞食もまた彼らなりに家族を食べさせるため、金や喰べ物を得る努力をしている健気な労働者だ、というふうには解釈しない。
多くの土地で、乞食の子たちは独特のサインをもっている。もらったものを口に入れるしぐさである。だから物ごいではなく、文字通りの食べ物がほしい「乞食」の合図なのだから、新聞社の言いなりにはなれない。
 貧しい子供たちは食べていないから、痩せている。痩せには2種類があるのを、慣れてくるとすぐわかるようになる(以下省略)≫


曽野女史は、貧困は見えるものだと断言したが、私には「見えない貧困」もあると思う。つまり【心の貧しさ】である。毎日新聞に書いた「社会活動家の湯浅誠さん」には己の心の貧しさは当然見えなかったのだろう。

以前左翼のジャーナリストが「貧困なる精神」と表現したことがあったが、“それ”である。表面は身なりも良く、教養人らしく振舞っていても、心の貧しさは、なかなか表面には表れないから見えないのだ。

尤も、そんな高学歴な方と数回会話すると、それが「見えて」来るようになる。だからやはり私も「貧困」は目に見えるという曽野女史の説に同感だ。


例えば、共産党の吉良よし子参議院議員が自身のツイッターで「オスプレイ低周波がペースメーカーに不調をきたす」とデマを流して、インターネット上で非難されたが、これも貧困なる精神がもたらしたものだろう。

オスプレイ普天間に配備になると決まった時、左翼ジャーナリスト等は一斉に“攻撃”した。

中にはTVで、「世界で一番危険な航空機を、世界で一番危険な基地に配備するとは言語道断…≫などと、口角泡を飛ばしていた男のコメンテーターがいたが、今じゃそんなことがあった?というようなそぶりで、相変わらずデマを流して恥じない。
彼も「貧困なる精神」の持ち主だといえる。

1日の産経トップ記事は「歴史戦」だったが、元朝日新聞記者の本多勝一氏が「“大虐殺”宣伝に貢献した人物として、中国人は彼を「尊敬する」と語り、南京の記念館が賛美している」と報じた。
以前書いたと思うが、中国共産党員であった彼は朝日新聞記者として大陸を旅行した時、共産党から“原稿”と資料を手渡され、それを出版して一躍“有名人”になった者として有名だ。

だから資料を彼に提供した中国共産党としては、彼を尊敬し貢献するようにと「讃える」のは当然だろう。今更共産党の“やらせ”だとは言えないからだ。
記事の中に「中国語の但し書きで、『熊本出身者を中心に編成された日本陸軍の師団が南京大虐殺の元凶だったが、熊本県日中友好協会の関係者が、20年以上も記念館を訪れ、犠牲者を悼んでいる事実がある』などと説明した」とあるが、これも真っ赤なウソである。


私は2000年9月に桂林を旅したが、桂林の日中友誼会館入口には、多くの表札が掲げられていて、反日青年教育の基地になっていた。

昭和54(1979)年10月1日に、桂林市と熊本市は友好都市提携締結したのである。会館の実態は、日本人観光客目当ての「漢方薬販売所」で、屋内には、熊本市から送られた「オテモヤン人形」など、熊本や日本の記念品が、壁に掛けられていた。多分、熊本市長らが“親善”訪問した時には、これらが盛大に飾り付けられるのだろう、と感じたが、今だったら、クマモンが玄関先で出迎えるのかもしれない…
なぜ熊本か、について尋ねると博学なガイドは、「日中戦争中、熊本の部隊に占領されたが、統治がよかったので現地民は感謝し、今でも尊敬している」からだという。
この地域は「少数民族の広西チワン族の土地だから、獰猛なシナ軍を追っ払ってくれたことに感謝してのだろう」とはガイドの弁だが、多分間違いなかろう。
この地域を占領統治したのは第58師団だが、昭和17(1942)年2月2日に漢口で編成された後、司令部を応城に置き、前身であった独立混成第18旅団の任務を引き継ぎ応城付近の警備や治安維持に従事した。
しかしその補充業務は熊本師管区が担当したから、熊本県人で構成されていたのである。師団編制は独立歩兵大隊×4から成る歩兵旅団×2で、戦時編成らしく砲兵力を欠いた丙師団、その上軍旗は連隊に下賜されるため、軍旗を持たない兵団であった。


日本人は過去の戦史に疎いから、折角の友誼関係も漢民族によって「反日」に利用されているのだ。その意味では、戦後日本人の精神も“貧困”だといえるだろう。

曽野女史は、「どこの国民でも、こんなに自国が貧しいと言うのが好きなのだろうか?」と戦後日本人の自虐的発想に驚いているが、それは歴史の事実を知らないという、決定的な知的怠惰のによるものだろう。

オスプレイの高性能を知らないのは、単なる無知か意図的な妨害活動だが、「歴史戦」で連敗しているのは、明らかに戦後日本人に歴史認識が欠落しているからだが、その中に巧妙に張り巡らされた謀略活動があることを忘れてはならない。
こう考えてくると、たしかに「貧困は目に見えている」のであり、気が付かないのは「見ようとしない」か、無教養ゆえに「見えない」のか、どちらかだろう。

多分目的のためには手段を選ばない左翼陣営の発言は、ことの真相などよりも「プロパガンダの成功こそ目的」なのだから、今後ともこの種の“攻撃”がなくなることはあるまい。それが不愉快だったら、自ら真実を学ぶ以外にはない。


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≪雑誌「丸」6月号:潮書房¥1280≫
今月は活動は地道だが、航空作戦のかなめとなる「警戒航空隊」が特集である。軍事学講座では≪潜水艦売込み豪州コンペの行方を占う≫が面白い。どうもこの取引は、政界の“独断専行?”のようで、防衛企業も乗り気うすだったという。機密保護法もスパイ防止法もない我が国のこと、すぐさま機密が漏れるのはだれしも危惧したことだ。そうなれば企業が追及されるのは目に見えていた…細部は本文を!



≪航空情報6月号:せきれい社¥1400≫
待望のX−2(心神)の地上試験が取り上げられていたが、すでに飛行に成功した。ただ、三菱の傘下の自動車の悪業で「世界の三菱」の名にケチがついたから、その影響がなければいいが…と気にかかる。
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WiLLの編集長が独立?たようだが、保守派論壇の充実…になれば大歓迎!
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幸いこの国には長い歴史がる。(序章より)
5月23日に全国の書店にて発売予定。(アマゾンは予約受付中である)


≪だれが沖縄を殺すのか――県民こそが“かわいそう”な奇妙な構造:ロバート・D・エルドリッチ著・PHP新書¥800+税≫


沖縄の反戦活動家とメディアによって失職した、前沖縄海兵隊政務外交部次長の新著である。
20年前、沖縄勤務だった私は、唐突に橋本首相(当時)が公表した『普天間基地返還』に危機感を持った。理由は独断専行?で沖縄県民、とりわけ軍用地地主に一言の相談も無く決定された問題だったからである。
勿論左翼メディアはこれに飛びついた。そして大混乱。
あれから20年、世界に恥をさらしているこの問題は、政府の強力な指導力と、現地メディアから無視されて“声なき声”的存在になっている県民の自覚ある行動が必要だろう。
少しは機運が出てきたように見えるが…

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