軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米国民は巨悪を選ぶか、それとも小悪か?

世界中から注目を浴びている米国大統領選挙も、秒読み段階に入った。

全く歯牙にもかからなかった「トランプ候補」と、ファーストレディで国務長官を体験した「クリントン候補」の見苦しい罵り合いは、程度が低いギャラリーには受けているが、人類の将来を懸念している大方の国民からは敬遠されている。
しかし、大国たる米国も低俗になった感は否めないだろう。
世界のリーダーとしてはどうも物足りなくなってきたが、さはさりながら地球を何度も破滅できるだけの巨大な核戦力を維持しているのだから、弱小国は従わざるを得ないという矛盾を抱えている。

ところがとうとうそれに反発する“弱小国”が出現したから世界は驚いた。フィリピンである。米国民としては片腹痛いだろうが、これにはスペイン戦争からの怨念がたまっているのだから、文句は言えない。

遅れてアジアに進出した米国は、アジア人を虫けら扱いして、人間狩りを楽しんだ。それには敬虔なキリストの教えさえ適用されなかった。
人道を説く牧師らは、白人優位で見て見ぬふりをしたのである。

ドトルテ大統領は、最も過酷な扱いを受けた島の出身だから、DNAに刻み込まれているのだろう。アジアの軍事情勢という観点から見れば、わが国のように「何もそこまで…」と大統領の発言に戸惑っているところがあるが、血は水より濃いのである。


ところで同じアジアの一角では、とうとう崩壊し始めた国がある。もともとこの国は、似非近代国家であって、民度の低さには定評があった。

己の名誉のために、現代グループを通じて5億ドルもの高額な金を包んで隣国を訪問して、“敵”と抱き合ってノーベル賞をもらった大統領がいた。この国の政治なんて所詮この程度なのである。

にも拘わらず、人道を尊ぶわが国の外交は、本音を隠して建て前を押し通し、疑似人道主義で対応するものだから、吹っかけられては国民の血税を垂れ流してきた。

事勿れ外交の典型だが、昨年末の「日韓合意」文書っていったいなんだったのだ?
大使館前の下品な銅像を撤去してほしいばかりに、10億円を拠出したのではなかったか?

私は当時「盗人に追い銭になる」と書いたはずだ。そうなっているのに外務省は見て見ぬふりをしている。外交官のポケットマネ-じゃないからだろう。


外交担当者がどうして相手国の「実態」が読めないのだろう、と不思議でならない。おそらく苦労したことがない方が担当官として派遣されているからじゃないか?

こんな低次元の隣国の政争に、連日TVは振り回されているようだが、TVもまた自ら低次元であることを証明しているようなものだ。

≪忘れていた。こんな人もいた!≫

彼女の生い立ちを分析していれば、指導者には不適であったことは自明だった。そしてとうとうその正体が現れたに過ぎない。

2014年のセウォル号沈没事故で、大統領が一時所在不明になったと騒がれたことがあったが、その記事を伝えた我が国の産経新聞支局長が告発されて、理不尽な扱いをされた後釈放?されたが、この一件を見ただけでこの国の民度がわかったはずだ。


今回の大統領個人を取り巻くカルト教団的な事件で、当時の裏話が表面化するだろうが、それを伝えた韓国メディアと、それを伝達した加藤支局長に対する傍若無人な人権侵害に対して、わが外務省は改めて何か抗議でもするのだろうか?
弱腰だから期待はしていないが、火病そのものの韓国メディアの抗議には期待できそうだ!
ジャパニズム19号に「韓国沈没!=セウォル号事故に見る韓国の民度」と当時書いておいたから興味ある方はご一読あれ。
今後は案外面白い痴話話に発展したりして…。

≪我が国にも昔こんな方がいたから、批判ばかりもできないが…≫


ところで米国だが、昨年暮れに泡沫候補と言われて相手にもされていなかったトランプ氏について、私は2016年を占う話の中で、メディアに取り上げられていないトランプ候補が、共和党の候補者に選ばれるだろう。何せ「トランプ」だから、ジョーカーを持っているから…と受講者を笑わせたのだが、彼は共和党候補だけじゃなく、大統領になる公算が大きい。

≪どちらが大統領に選ばれるか?=インターネットから≫

私が感じていたのは、候補の名前ではなくて、米国が抱える深刻な危機だったのである。
リーマンショックで金の損失だけが話題になったが、米国が主導している「国際化」の危機には誰も触れなかった。今や「投資」は「投機」に変質していて、いわば世界中に「座頭市」が出現しているようなものだったのだ。
資本主義とは名ばかりで、実態は「バクチ」だったことに気が付かず、世界中が株の上昇に浮かれ、やがて沈没した。

コンピューター上の数字の羅列が世界の経済を支配し得るという世迷い事が定着しつつあったのだが、資本主義の本家である米国では、すでにその崩壊が始まっていたのだ。


真面目なブル―ワーカーたちのささやかな幸福感が、「ボーダーレス」を掛け声に低賃金労働者をやみくもに流入させて、己だけの利益の増大化を図ったから、肝心の自国民から雇用が奪われ、路頭に迷う結果を招いたのだからその怒りは大きかった。

こうしてごく一部の企業家と政治家が、慇懃無礼な銀行家と結託して、世界の富を独占した。そして招いた結果がクリントンに結びついた。
そこにトランプが対抗馬として登場したのであった。

この事象は、19世紀末のロシア革命に似ているところがある。
共産革命は、高度に発達した資本主義の結果完成する、とは確かマルクスの言葉のはずだが、米国民は今、現実にそれを見ているのである。

米国在の台湾の学者は「ヒラリーが当選したら『クリントン・マフィアが世界でのさばる』ことになり、これは何としても避けねばならない」と警告している。


以前安倍首相は、訪米時にヒラリー候補とは会ったが、トランプ候補とは面談しなかった。という事はわが外務省の当時の判断は「クリントン優位」だったのだろう。
いや、クリントンの方が、今までお付き合いしてきた仲だし、何かと外交交渉がやりやすいが、全く未知のトランプ氏では今迄の様な「上品な外交が望めなくなる」と外務省は危惧したのかもしれない。パーティ会場のシャンパンの味が変わる…とか何とか。

外交で相手の本質をつかめない場合は必ず国に不幸を招くことがわかっていないのだろう。

リベラル一色の米国メディアも、ついに狼狽えだしたようだ。クリントンだったら、うまい汁が吸えるのだが、トランプだと倒産しかねない、とこれまた危惧したのだろう。

米国民は、一部の特権階級に寄与する巨悪を選ぶのか、それともいささか下品?だが小悪の方を選択するのか?
9日は、今までのような、左翼一辺倒の自分に都合がいい報道が出来なくなる結果を期待したい。


届いた本のPR
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≪ご存じSAPIOの12月号≫
今月は北方領土特集号だが、不法に占領されているのは4島だけではない。南樺太もそうなのだが、政府はほとんど触れない。
2003年に2度目に樺太を訪問した時、現地のガイド(半島出身者)から4島住民が、生活苦で日本に返還しようと決議したと聞いた。
処が日本側は、政治家や経済人らと結託して、島に欠乏している発電所や医療施設を“無償”でロシア人に提供したから、島民は「日本の施政下に入らなくても物が届く」ことを知って、決議は宙に浮いたと聞いた。
これも外交上の失敗だと私は思っている。


専門書だが、今号は東シナ海問題、南シナ海問題が取り上げられている。しかし外務省員はこんな専門書に目を通す暇はないのだろうと思う。
そしてやがて東シナ海も、北方4島と同じ運命をたどるのだろう。
竹島」がそうだった前例があるから結果は目に見えている。


古事記の宇宙=古神道的考察:竹内睦㤗著:青林堂\1200+税≫

筆者は若いが古神道家だという。
「はじめに」に、「すべては無からはじまった。すばる・・・。すべる・・・。うつしよの、宇宙。うまれる。
日本人は古事記を知らない。古事記は日本の根本を書いたものである。そして宇宙と自然の叡智が凝縮されている。・・・・」

今私も、穢れきったこの地球の現状を見るに見かねて、宇宙に関心が高まっている。

金勘定に明け暮れている現代人の最大の弱点は、今ある自分の姿が見えていないことだろう。
若い方に読んでもらいたい本だ。

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