軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米艦衝突事故に思う

17日午前2時25分ごろ、静岡県南伊豆町石廊崎南東沖合で、米海軍横須賀基地のイージス駆逐艦フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船が衝突し、行方不明だった米兵7人全員が浸水した居室部分で死亡していたことが確認されたが、19〜37歳という若さだった。
捜査関係者によると、コンテナ船の乗組員は「イージス艦と同じ方向に航行していてぶつかった」と話しているそうだから、イージス艦の右後方からコンテナ船(ACXクリスタル:2万9060トン、222・6メートル)がぶつかった可能性がある。双方の見張り義務が争点になるだろうが、イージス艦は「右後方」から“追突”されていると聞いて、私は昭和46年7月に雫石上空で起きた追突事故を想起した。


≪インターネットから≫

あの時も前方を飛行中だったF86Fは、右後方から迫ってきたB727に追突され、右翼が切断されて墜落した。ところが事故調査が始まる前に、読売新聞にインタビューされた空自高官が、「とにかくファイターパイロットが、後方から来た727に気が付かないなんて、全くお話にならない…」と語ったことが命取りになり、その後見張りを怠ったのは空自側…という説が定着し裁判にも影響したのだが、今回も、戦闘を旨とするイージス艦が後方の見張りを怠っていたのじゃないか?という記事が出るのじゃないか?と気にしていた。


ところがやはり産経にこんな記事が出た。

朝日新聞大阪本社の小滝ちひろ編集委員が同社公認のツイッターに“面白半分?”で書いたそうだが、インターネット上で批判が高まったので削除してお詫びしたという。

人の生死がかかっている事故をからかっておいて「謝れば済む」という話じゃなかろう。だからこの新聞社は嫌われるのだ。どこか上から目線の記者らに人間味が感じられないのである。確か大昔、記者が誰かに銃撃されて死亡したことがあったはずだが…。


私が三沢基地司令時代に湾岸戦争が起きた。そのころ在韓米空軍司令官が三沢基地を来訪して将校クラブでスピーチしたことを思い出す。
将校クラブには二〇〇人を超す将校、兵士、それに家族が詰めかけていた。拍手に迎えられて登壇した彼は、ポケットから「副官が作成してくれた演説用の草稿」を取り出すと、「今日はこれを使わない」と言って机上にわざと放り出し、原稿なしで要旨次のような話をしたのである。        


「米本国では、ベトナム戦争の反省から今回の湾岸危機に参戦すべきではないという意見がある。そのわが本国では、情けないことに君たちと同年代の多くの青年男女が麻薬やフリーセックスにおぼれて反戦を唱え兵役を拒否している。
それに比べて君たちはどうだ。祖国をはるか離れた極東の地で厳しい訓練に耐え、ひたすら自由のために戦っている。そして今回、命令されれば君たちは、かの中東に駆けつけ血と汗を流そうとしているのだ。
確かに今回の中東危機は、米国にとってさはどの緊急事態ではない。なぜならば、中東から石油が来なくなっても、わが国の地下には幾らでも眠っているからまったく心配はいらない。中東から買う方が安いから輸入しているにすぎない。中東から石油が買えなくなっていちばん困るのは西欧諸国であり、この日本国である。


その意味では何も西欧と日本のためにわが米国の、君らのような大切な青年男女を危険に晒す必要はないのだ。しかし諸君、考えてみてくれ。われわれ米国軍がフセインの横暴を押さえなければ、世界の平和はどうなるのだ。自由はどうなるのだ。
われわれは正義と自由と、そして同盟国との約束を果たすために戦うのだ。その意味で、ここにいる若いわが兵士諸君を、私は心から誇りに思う。ともに正義と自由を守るために献身しようではないか!」


会場はどよめいた。若い兵士たちは立ち上がって拍手をした。婦人たちも立ち上がってこれに同調し拍手が鳴りやまなかった。
今回犠牲になった19〜37歳の若き兵士たちと、当時の三沢の兵士の姿、および記者会見した米第7艦隊司令官・ジョセフ・アーコイン中将の姿がこの時の在韓司令官に重なって見えて、私は心中いかばかりだったろうか?と同情を禁じ得ず、心からお悔やみ申し上げたいと思った。

≪インターネットから≫


安倍晋三首相は18日、この事故を受けて、トランプ米大統領宛てに「大きな悲しみに包まれている」とするメッセージを出し、犠牲者に心からの哀悼の意と、負傷者へのお見舞いを伝えた。産経新聞は「米駆逐艦事故 哀悼と敬意を共有したい」と主張欄で哀悼の意を書いた。
終戦直前の昭和20年4月12日、敵将であるフランクリン・デラノ・ルーズベルト米国大統領が死去した時、日本政府は弔電を打っている。勿論それに異論を唱える人もいるが、その行為は武士道に基づくとする人が多い。

その意図が朝日新聞社には理解できないだろうが、記事を書いた編集委員の人間としての未熟さが良く表れていると思う。削除時に「事故に遭われた方やそのご家族への配慮に欠け、不適切でした」とお詫びしているが、この新聞社はいつも“配慮に欠けた”記事を掲載する。
そんな雰囲気にとっぷりとつかっていて、武士道精神を知らない彼女には“日本人として”恥を知れ!と言っておきたい。


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「航空情報誌8月号」
巻頭を「日本製F35Aお披露目写真」が飾っている。これでわが愛機「F4EJ」も心置きなくフェードアウトできることになった。その他、各地の航空祭が写真入りで解説してある。3回目になったエアレースで、日本の室谷選手が2連覇を達成した記事も読ませる。
官だけではなく、民の検討に拍手を送りたい。


航空ファン8月号」
こちらもF35特集と、室谷選手のレポートが読ませる。日本人パイロットの手で飛行したゼロ戦記事もいい。
私としては、「終戦処理を円滑に進めた緑十字機〜公文書から見る緑十字飛行(前篇)」が興味深い。昨年夏の岡部英一氏の自費出版本が契機になって、テレビでも話題になるなど、終戦秘話が公になってきたことが素晴らしい。先人の遺徳を改めて思い返すことも無駄ではなかろうと思うからである。

緑十字機 決死の飛行

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