軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

資料から:佐々淳行氏の”遺言”

シナの「一帯一路」構想にこともあろうにイタリアが合意し、G7の一角が崩れ始めた。

“敵の連合”の弱点にくさびを打ち込むのが戦略の基本だから、シナは忠実に実行している事になる。

天下に誇っていた経済力に陰りが見え始めていると言うのに、なかなかしたたかだ。

英国のEU離脱も宙に浮き、EU内部の混乱を見透かしたのだろう。逆に言えば支那にとっては、この構想が潰えると、共産党政権も瓦解するだろうから必死なのだ。

半島情勢も、2回目の米朝会談の不発で、米朝間はもとより、北政権内部も韓国政府も、今までのような勢い?が消滅して不穏な空気の中必死に政権維持に向かっているのだが、そんな最中、アジアの“大国”であるはずのわが国は、実に“のんびり”したものだ。

 

今朝の産経新聞の「古典個展」欄に、大阪大名誉教授・加地伸行氏は「質疑より国民守る行動を」とダラケテいる政府に苦言を呈している。全文を紹介しておこう。

 

【NHKは、ほぼ毎日のように国会審議それも予算審議を放映しているので、視聴している。

放映は、いわば公共放送の立場として当然のことで、その内容について責任はない。

 となると、その内容の責任は、与野党を問わす、質問者側にある。しかし、そういう自覚が果たしてあるのだろうか。

 野党の質問は、質問というよりも、政府の失態を引き出そうとする厭がらせが多い

 おそらくその狙いは、現政権は信頼できないというイメージを作り出し、近く行われる諸選挙において、与党の票数を少しでも減らそうという安っぽい党利党略上の質問。

 その中心となっているのが、厚生労働省所管の賃金構造基本統計等の諸統計作成において、法令通り行われていなかった結果、給与に影響(最低賃金の決定など)があったらしいとのこと。

 この話、老生、なんのことやらよく分からない。というのも、この種の統計の結果が、多くの人に対して現行の諸給与に影響を与えているとはとても思えないからである。実際の給与の大半は、基本的にその会社等の経営実態に基づいて決める、決まるというのか常識ではないのか。統計でいくら論じたとて、景気のいい会社は給料が高く、その逆は低い、とならざるを得ず、統計の数値があったとてほとんどお飾りに過ぎぬ。

 という風に考えると、国会での議論は、それこそ国民生活とほとんど無関係、議論のための議論に過ぎぬ。

 墟だと思えば、今すぐアンケートでもしてみることだ。その統計に関心のある人が半数を超えることなど絶対にない、と断言しておこう。

 国会の議論が、そんな下らぬことでこの時期をつぶしていいのだろうか。

日本の周辺は、なにやらきな臭くなってきている。朝鮮半島の北においてクーデターなしとは言い切れない。南からは、日本への不法滞在者。すなわち日本海沿岸の警備か深刻となってきているのではないか。やけくそになった北からの日本への一発(最悪の時は核)も、なしとしない。

 また、中国において習近平政権の弱体化か起こるならば、求心力回復のため、中国による台湾周辺の海の封鎖があり得る。

 もちろん、そういうことにならないように、日本は日本なりの努力をすべきだが、それ以外、常に最悪の事態を考慮しておくのか政治ではないのか。

 しかし、そういう議論をしようとしていないのが国会の現況であり、政治の体を成していないと言うほかない。

 ならば、政権・与党は、野党との下らぬ質疑は適当にしておき、万全を期して非常事態への対策を作っておくことだ。そしていざというとき、すぐ国会を通して立法化することである。

 それが、今日の日本における緊急にして最善の政治であり、国民を守る最強の方法である。古人曰く、知者は知らざることなけれども、当に努むべきをこれ急となす、と(『孟子』尽心上)。】

 

この様な各界有識者による政治家への忠告は今に始まったことではない。

しかし、馬の耳に念仏、実は”彼ら”のほとんどは、地方から永田町に”出稼ぎに来て”立場上得られる特権を狙っている方々に過ぎない、とは言えまいか?。つまり、議員とは「国会議員」と言う肩書を持つ、出稼ぎ人の生業なのだ。

 

今、日米関係は、トランプ・安倍と言う稀に見るブレナイ“人間関係”に支えられて安定しているように見えるが、平成5(1993)年頃、米議会は厳しい対日分析をしていた。これは同年2月5日付の産経新聞である。

 

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報告書には「…日本の政治の腐敗や紛争で日米関係についても政策決定能力が落ちる危険があり、・・・国際平和、人道への貢献への決定を下せないと言う結果をもたらす可能性」があると指摘していた。

 

この日、同日付で内閣安全保障室長の佐々淳行が、政府の不作為に苦言を呈している。今では「遺言」になってしまったが…

 

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当時は宮沢喜一総理時代で、この年の6月に内閣不信任案が225票で可決、7月に退陣表明、そして土井たか子衆院議長が誕生し、3日後の8月10日に細川護煕総理が誕生すると言う、国民にとって何とも不幸な時代を迎えた頃であった。

しかし、その後の、あの”悪夢のような”民主党政権程ではなかったのが僥倖だったとはいえた。

いずれにせよ日本の政治は「停滞」ではなく、「退化してきた」ことが資料から歴然としている。

さて、今後は少しは進化するのだろうか?

 

 

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≪対中戦略と安倍首相≫は必読だろう。

バノン氏は次期大統領選挙は「比較にならないほど厳しい選挙戦になる」とし、その理由は「民主党とリベラルなマスメディアの戦略が二重になったこと」を挙げている。

民主主義の本家でもそうなのだから、”戦後民主主義”の日本の政治がリベラル(と言うより左翼連合)のメディアに揺さぶられていることにも納得がいく。

やはり、20世紀最大の人類の過誤<マルクス・レーニン主義>は人類の進歩を阻害する要因だったと言える。

 

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それにしても毎号貴重な記録写真が出てくるのはさすが「丸」だと感心する。

日米ともに戦場であった海底に眠る残骸は、生き残った者達へ無言で語りかけてくる。

靖国神社で会おう!と約束して散った英霊方は、とうとう[平成の御世]に遂に一度もご親拝がなかったことを悔やんでおられるのではないか?

それは道筋をつけなかった政治の怠慢である。

次は、米[USニューズ・アンド・ワールド・リポート」誌1993年3月15日号の読売版である。

政治に”切り捨てられる”のは軍人たちの宿命なのかもしれない。合掌

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