北方領土返還問題に絡めて「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員問題で、永田町は連日“学芸会”程度の騒ぎを繰り返している。
メディアは「今回の丸山氏の言動には、与野党を問わず「完全に一線を超えている」「国会議員として非常識極まりない」などと非難ごうごうで、議員辞職を求める声が支配的」だというが、当の丸山議員は議員辞職に抵抗している。
「自民党が『国益を損なう発言』と批判しながらも、決議案採決に難色を示すのは、可決しても実効性がないとの理由もある」そうだが、「この発言で失われた“国益”とはいったい何だろう?
あるとすれば、日本人は徹底的に玉抜きになっている!と周辺諸国から笑われた?事だろう。
メディアは別にして、肝心の島民の中にも『暴言だ』と批判する人がいたのには驚いた。先祖伝来の土地を返還させるには、ありとあらゆる手段を行使しなければならないのは国際常識であり、それには「軍事力行使」も当然含まれる。
風雲急を告げるイラン情勢で、トランプ大統領は空母群を現地に派遣したし、北朝鮮に対しても「軍事力行使」を含んだ[あらゆる手段]を机上に乗せて交渉中である。
世界の歴史を見れば「戦場で失ったものはテーブルでは取り返せない」のは世界の常識である事をロシア人は熟知している。尤も米国の小笠原や沖縄返還は異例中の異例だが。
私が平成15(2002)年に2回目の樺太訪問時に、現地の≪森の番人≫と称する公務員が、「自衛隊は何故攻めて来てくれなかったのか?」と言った事があった。
その時、同行した仲間たちのほとんどが笑い話だと受け取った事例を思い出す。
いや、あの時よりも遥かに日本人には「平和憲法」が定着していて、完全に「戦争=悪」と信じきっているようだ。
今回の“暴言事例”もせいぜい党利党略のせめぎ合いに終わり、結局は政治家自身の保身が最優先して幕引きになるに違いない。
情けないことに、法律を順守している自衛隊OBの中にさえも、「戦争=悪」を前提に発言している者がいるようで、「制服を着た区役所職員」と言った、友人の新聞記者の言葉を思い出す。かといって、この憲法下ではどうにもならないが。
残念なのは「島を取り返してほしい島民」の言葉で、議員の発言を「憲法に照らして非難する」のではなく、長期間続いているにもかかわらず、全く成果が出ない日露交渉を進展させるため、外務省に代案を示す意見を述べるべきだろう。
*こんなこともあった!でも外務省は手を打たなかった!参考まで
平成5(1993)年4月27日読売新聞
今まで見てきて分かったように、ロシアは、無力な者は相手にしない。
クリミヤが良い例だ。軍事力を好んで行使するロシアのような国に通用するアイデアを出さない限り解決するはずはない。
疑い深いロシア人は、善意でご馳走しても毒殺を恐れて箸をつけないと言われる「お花畑の論理」が通用しない相手であることを自覚すべきだろう。
「言論の自由」を巡る問題では、先日紹介した栗栖統幕議長はじめ、まじめに発言した自衛隊高官の多くが、シビリアン・コントロール逸脱だ!とされて、首になって去っていった事例を思い出す。近い例としては田母神事案があり、政治家とメディアの言うがままであった。
しかし、これだけは言っておきたい。議員が所属する会派が除名するのは勝手だが、無記名投票で選出された議員の罷免権は、投票した有権者にあると言うことだ。
いずれにせよ今回の騒動は「議員の仲間内の発言」だから、主義主張よりも「ナアーナアー」の世界にとっぷりと漬かって財テクに励んでいる方々の「言論の自由」を巡る解決策がどのようなものになるか、ゆっくりと見物させていただこうと思っている。
*過去の議員さんたちの活動
その1 平成5(1993)年4月30日朝日新聞
その2 平成5(1993)年8月4日産経新聞
その3 平成5(1993)年3月6日読売新聞
その4 平成5(1993)年1月18日読売新聞
その5 平成5(1993)年1月18日産経新聞