軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

最近の出来事。短い感想

今日は最近の印象的な出来事などについて、短めに意見を書いておきたい。

  • 1、 中国政府の「介入」を感じる。

 8月15日の首相参拝問題が浮上した頃から、異様に中国側の「介入」が目立ってきている。人民解放軍幹部一行が、我国の自衛隊火力展示を見学に来るのはマアかまわないとして、既に自衛隊各種学校には留学生として解放軍将校が入校しているのである。
軍事交流は大いに結構だが、我国独自の「友好ムード」を優先させるようでは、道を誤りはしないか?外交の方も、どうも要人たちが水面下で動いているようだが、勘ぐれば、中国政府部内にも聊か問題があり、参拝問題に絡めて「介入」を強めているのではないか?と思われてならない。ただでさえも我国は今、政権交代を含めた政治の大きな曲がり角であり、選挙活動に「外国」の影響が加えられてはならない。メディアも水面下で動いているこのような事象についてもっと国民に知らせ警戒感を持たせるべきであろう。政党は勿論、外務省、防衛庁の「適切な」対応を期待したい。

 18日から始まった中露合同上陸演習は、「平和の使命2005」という演習名だという。我国の憲法改正問題で「自衛軍」という名称が上がっているらしいが、民間臨調の研究会でも私は「どこの国が『侵略軍』を保持すると書くだろうか?陸・海・空軍でいいではないか」と意見を述べたものだが、今回の演習も、明らかに他国に侵略上陸する演習なのに、「平和の使命」とは笑わせる。しかし、こんなトリックにころりと騙されるのが日本人の人の良さだからかなわない。
メディアの中にはこの演習を「台湾」基準に見ているが、勿論最大の目的は「台湾威嚇」であったにせよ、我国の南西諸島も同じ立場にあることを忘れてもらっては困る。しかも「尖閣列島」が目標だった場合は、我が友好国の台湾さえも公的には「自国の領土」だといっている以上、犠牲になるのは我国だけではないか。仮に尖閣に「上陸」してきた場合、台湾は「傍観」することになるだろう。この演習が我が領土に対する威嚇でないと誰が断定できるだろう。つまりこの演習から、我国は南西方面の備えを厳にすべし、という教訓を学ぶべきなのである。どうもどこかピントが外れているような気がする。

 海上保安庁がようやく日本最南端の沖ノ鳥島灯台を建設する方針を固めたという。今まで何をして来たのだ?と言いたい所だが、具体化に踏み切った勇気を多としたい。
しかし、これも石原東京都知事の「勇気ある行動」が引き金になったことは確かである。
これを機に政府は、尖閣列島についても未だ遣り残していることを再検討していただきたい。灯台を設置し、海保の警備艇配備、監視所の設置など、やることは山ほどあるはずである。そして私がこのブログで言い続けてきたように、堂々と人員増強、資材整備のための予算を要求すべきである。島国日本の海上警備は、まず保安庁が責任を持つべきであり、不足分は海自と協調して対処する。しかしながら12300人では不可能であろう。
担当大臣の勇気ある決断を期待したい。

  • 4、「百人斬り」判決の怪

 南京で日本軍将校が「百人斬り」をしたという根拠のない報道が元になって、二人の将校が銃殺刑になったが、報道の真偽をめぐる裁判で東京地裁は「明白に虚偽であるとは認められない」として、「事実無根」とする元将校遺族の訴えを退けた。
 この「虚報」は、昭和12年の東京日日新聞(現毎日新聞)の記事が発端になったものだが、とりわけ世界に広まったのは、昭和46年に再びこの件を取り上げて報じた「朝日新聞」の本多勝一氏が中国側の「支援」を受けて書いた連載記事である。私は裁判の素人だが、「明白に虚偽であるとは認められない」という以上は、「明白に事実であるとも認められない」という事になりはしないか?
要は「虚報」をベースに書いた本多氏個人の心のうちに秘めらている点を、どう突き崩すかが争点なのだろうが、例えば、朝日新聞社という巨大企業が後ろについている以上、本多氏は本心を語ることは絶対にあるまい。
例えば、NHKとの問題で、朝日新聞がどう対処しているかを見ればよくわかる。先日のあの恐ろしく無意味な「弁明記事」が示しているように「政治家の示唆があった」とする本田記者の「捏造記事?」は、政治家達から取材した際の「録音テープ」を示さない限り、証明されないからである。おそらく「録音」していたのだろうが、「言っていないにも拘らず言ったように捏造したのか」、それとも「録音すること自体が違反だから出せないのか」、いずれにしてもこの組織は全力で真相を隠そうとしているように思えてならない。
他方、千葉の「焚書事件」判決が高裁で一転逆転判決が出たことは、一般国民に裁判不信?の感情を引き起こしかけたが、逆に高裁で阻止できる正常さを評価する向きもあり、国民を安心させてくれた。しかし「下級審」での判決はこのところ信用がなくなっている。裁判費用の点でも、巨大組織は未だ良いが、個人が『カンパ資金』で戦うことには限界があるから不利である。資金が続かないとどうしても『下級審』で引き下がらざるを得ないことだってある。其の場合には、『誤審』が正しい?判決になる恐れがある。これでは弱者は戦えないし社会正義が泣こうと言うものである。裁判が信用できなくなったら社会は成り立たない。裁判官も人の子、色々「苦労」はあるだろうが、原告、被告の方は命がけなのである。「法の番人」としての任務を的確に遂行して欲しいものである。

  • 5、 お礼とお知らせ

 5月12日にぼちぼちと書き始めたブログに、40万を越える方々からアクセスがあり、真摯なコメントを戴くので恐縮している。心からお礼申し上げる。未だ機材に不慣れなところもあり、昨日も書き上げた原稿が一瞬のうちに消滅してしまった!。
ファントムは手に入れたつもりだが、パソコンはどうもうまくいかない。今しばしご寛容のほどを。

平河総研第1回講演会は、21日に無事終了した。御盆休みの後段であったにも拘らず、70名を超える方々が、福岡や静岡から駆けつけて下さったので恐縮した。
聊かリップサービスが過ぎて質疑応答の時間がなかったのは私のミスであったが、熱心に聴いてくださったことに感謝している。
次回は次のような計画を立てたので、時宜を得ていると思われるので多くの方々のご参加を期待している。

●平河総合戦略研究所 講演会●

日時 9月17日(土曜日) 午後2時半より4時まで
場所 外国人特派員倶楽部メディアルーム(有楽町電気ビル北館20F) http://www.fccj.or.jp/static/aboutus/map.php
会費 一般:3,000円、学生:2,000円、平河総研特別会員:1,000円
講師 花岡信昭  政治ジャーナリスト 元産経新聞論説副委員長
サイト http://www.hanasan.net/
メルマガ http://www.melma.com/backnumber_142868/
テーマ 衆議院選挙結果の分析と今後の政治の行方
定員 70名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org宛)