軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

台湾の選挙に日本を見る!

 昨夜はチャンネル桜の『日本よ、今・・・闘論!倒論!討論』で「台湾は日本の生命線か?―中台の行方と日本―」という題で、3時間討論してきた。
 パネリストは、井上和彦(ジャーナリスト)、加瀬英明(外交評論家)、黄文雄(評論家)、張茂森(「自由時報」東京支局長)、永山英樹台湾研究フォーラム代表)、油原正敬(日本李登輝友の会事務局長)、それに私、司会は水島社長で、昨夜9時からのスカパーTV(ハッピー241)で放映された。
 今回の立法院選挙で民進党が惨敗したことについて悲喜こもごもであったが、3月の総統選挙にどのような影響があるかは、神ならぬ身の知るよしもない。
 台湾という、かっての日本統治領が、国民党の支配下に入って如何なる苦しみを味わったか、日本人の殆どは知ることがない。かく言う私も、退官後台湾の慰霊のたびに出かけて、その恐るべき実態に触れて、ある意味申し訳ない気分になったのが契機だから、大半の日本人が知らなくても至極当然のことではある。しかし、知ってしまった以上、何とか台湾人の自立を手助けしたいものだと思うのも、これまた当然のことではなかろうか?
 大陸の歴史を知れば、中華人民共和国が、台湾を自国の領土だと主張するには根拠がないことは一目瞭然である。国連の常任理事国としての地位だって相応しいとは思えない。しかし、力が支配する国際関係である以上、無力な国は虐げられるのが宿命である。
 我が国も『かっては』アジアを代表する強国の一員であったし、戦後は経済大国としての地位を誇った。しかし今やその経済さえも『3流国になった』という。
 中国の研究者と『空母保有の是非』について討議すると「インドでさえも持っているのに、大国である中国が持っていけないという理屈はおかしい」と言った後、「日本だって昔は強大な空母艦隊を保有していたではないか!」と言う。
 それに比べて今の状況は、原子力潜水艦さえも持てない(持たない?)のだから、中国側から『かっては』と過去完了形で言われ、目下に見られても返す言葉がないだけである。
 力なきものは『餌』になるだけという、動物界にも似た恐るべき国際関係の『弱肉強食』の実態が、今行われている『台湾問題』に凝縮されている、と私は考えている。
 つまり、台湾問題は、日本の将来の鏡なのである。軍備は持つが『専守防衛』、経済でうまく利用され、大陸で「人質まがい」の国民が働き、政治的には「強圧」され「威嚇」され、なすすべもなく「朝貢外交」を繰り返す。合法的交流で続々国内に侵入され、軍事的に『支えて』くれているのは共に米国だが、その米国も今や中国に目を向けている。国民の大半は、そんな『アイデンティティ』問題よりも懐の方が大事で、格差是正に大賛成、そんな情勢を見ると日台は瓜二つだといえるだろう。
 いつの日にか、学研の地球儀のように、『台湾』が『台湾島』になったとき、日本は北でロシアが「北方領土を不法占拠」しており、北朝鮮は「国民を拉致した上に核で威嚇」しており、韓国は「竹島を不法占領」している。その上中国は、東シナ海でガス田を占有し、尖閣を領土にしようと必死だし、沖縄も洞ヶ峠を決め込み、ODAを求めて『琉球』意識を丸出しにして“本国政府”に反抗している状況下では、台湾が“統一”されれば、沖縄はすぐにでも不安定になるだろう。列島の後方に位置するオーストラリアは、捕鯨問題で敵に廻り、環太平洋構想など風前の灯、その上米国に民主党政権が生まれれば「万事窮す?」、日本は四面楚歌になる。フィリピンやパプアニューギニアが助けに来てくれるわけがないし、インドも中国と接近している。さて、そんな環境下でガソリンが値下げされたと大喜び?した国民が見るものは何か!
 生命線であるシーレーンを、我が物顔に遊弋する中国の5隻の空母である。艦載機が搭載されていようとなかろうと、護衛艦隊が居ようといまいと、南洋の開発途上国には無関係、ただただその『威容』に恐れをなして中国の言うがまま、日本のタンカーに味方するはずもない・・・。そしてやがて学研の地球儀に『台湾島』と『日本島』が描かれることになる!
 そんな『悲観的な未来』に誰が風穴を開けてくれるのだろうか?とつらつら考えても、永田町には見当たらない。政界再編成して、国難に決起する新政党が生まれれば若干望みはあるが、事情通の方によると、この8月の政治状況を睨んで、水面下では旧勢力を代表するような御老人達がうごめいていて「善からぬ相談」をしているという。
 まるで台湾の国民党のように大陸詣でをして、外国のために活動をしている方々がこの国にもいるらしい。知らずに騙されているのではなく、確信犯だとその方は言うから始末に負えない。
 でも、そんな四面楚歌の状況が一変する条件がある。中国だって一枚岩ではない。常識的な人々の中には相当な危機感を持っている人々もいる。どちらが先に躓くか?親分が躓いたら、子分はどうするか? 案外、天は逆転劇?を用意しているのかもしれない!黄文雄氏と「そこに希望を持とう!」「それに賭けましょう!」と寂しく?慰めあって別れた次第。

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