軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

平和と安定がもたらしたもの?

今週もまた雨、今朝の新聞は濡れていなかったが記事には見るべきものがない。強いてあげれば「在日米軍再編問題」について、小泉首相が「日本があらゆる政策を推進する上で平和と安定が大前提だ。重要性を認識し、改革を進めなければならない」と、神奈川参院補欠選挙応援で訪れた相模原市で演説したというものだろう。
普天間基地移設問題も漸く進み出したようだが、郵政改革法案も通過したのだから、直ちに全力を上げて日米関係改善に取り組んでもらいたい。
次に気になる記事が「中国の宇宙軍創設」についての米国専門家の意見である。
かの国は、経済問題や環境破壊問題が山積、その上地方の少数民族や農民達の「動乱」を抱えて四苦八苦なのだが、有人宇宙船「神舟6号」、何しろ「神の国」を自負する国だから打ち上げ失敗は許されなかったろう。国民の目を宇宙に向けるのも手馴れたものだが、周辺諸国の一員としては、決して手放しでは喜べない。それに比べて我国内は、TBSの株買占め問題や、パリーグのプレイオフ、女子ゴルフで話題は持ちきりだから、「平和と安定」は確保されているようだ!

  • ところでそのTBSで、14日の夕方に面白い番組をやっていた。「TRY娘、世界を行く」という番組である。街角で手料理をさせると、常識はずれどころか、桁外れなクッキングをする娘達であきれるが(次男に言わせるとヤラセらしい?)、その「非常識な現代娘?」たちに、クイズをだして世界旅行に連れ出すというのである。その格好、化粧、料理知識を見ていると、日本文化は間違いなく消滅する、と物悲しくなる!こんな子供達が成人して「子孫を増やすのか」と思うと、人類の劣化は避けられず、日本の将来は「暗黒だ」と感じたのだが、番組の僅か4日ほどの体験旅行で彼女達の意識が変わるのだから考えさせられる。
  • 始めに「カカオ」の原産地であるアフリカに行った娘達は、病気や昆虫類におびえつつ、「キャーキャー、ワーワー」と絶叫しながらも、チョコレート一つ作るために、現地人たちが如何に重労働をしているかを知り、チョコレート一枚の重みを知るようになる。ニューヨークに行ったペアーは、シティ・ハーベスト、つまり低所得者達に給食するボランティア活動を実際に体験する。ニューヨークがどこにあるかも知らなかった「天衣無縫」な彼女達が、重労働を通じて人間社会の実態に触れ、次第に目覚めていくところが面白い。三組目はスリランカに行き、大津波の後の廃墟で暮らす漁民達の生活を体験する。国内組は、松戸市の「すぐやる課」に体験入課?して、市民からの苦情、要望を迅速に解決していく。スズメバチの巣の除去、猫の死体の撤去、蛇の捕獲などなど、普段は絶対に手をつけないであろう3K仕事に取り組むのである。
  • 体験終了が近づくと、4組の「TRY娘」たちはみんな引き締まったすばらしい顔つきになったのだから驚くほかはない。最初は嫌がって尻込みしていた彼女達の感想は、「やっていて楽しいです」となり、「直接自分にメリットがないことには無関心だった」「何か見返りが必要だった」「全ては金で計っていた」ことに気がついたという。松戸市での体験を終えて別れるとき、玄関前に並んだ市役所職員達から「ご苦労様」と声をかけられ拍手で見送られたのだが、「ご苦労様と、余り言われたことはない」と二人は涙ぐみ、将来は「人から感謝される仕事につきたい!」と言った。ところがスタッフから「では直ぐやる課はどう?」と聞かれると「それはいい(イヤ)です!」というのだから屈託ない。ついつい終わりまで見てしまったのだが、すばらしい素質を持って生まれていながら、それを生かされる教育を受けていない彼女達が気の毒でならなかった。早いうちから親のしつけ、教師の熱意ある指導を受けていれば、きっと社会に貢献できる「可愛らしい美女達」に育っていただろうことは間違いない。
  • 日本の教育は確かに「負けて」いると思う。子供達には「自由」よりも「強制」が必要なのである。その上、世界のボランティア活動に比べて如何に日本はたち遅れているか。自衛隊に入隊してくる青少年達も、彼女達とは心構えが多少異なっているにせよ、学校で受けた教育内容には変わりはない。それが4ヶ月で「事に臨んでは身の危険を顧みず」他人のために尽くす精神に目覚めるのだから、怠惰な現状を改革する為に「徴兵制度」、それがダメなら「体験入隊制度」も決して悪いものではないと思うのだが・・・
  • 番組を見た限りにおいては、やはり問題は「義務教育」にあり、そこで子供達に接する教師(教官)の人格と熱意の差が大きいように思われる。如何に現代日本の子供たちが「目的意識」を持たずに生きているか、それでも生きていけるという「退廃した社会」に狎れきっているか、を思い知らされた。これが小泉首相が言う「平和と安定」した社会がもたらす結果だとしたら、余りにも虚しい。憲法教育基本法の改正は急務ではないのか?すっかり顔つきと目の輝きが変わった彼女たちだったが、日本語の乱れだけは一向に変わらず、「やベー」「おメー(重い)」「イテー」の連発だったから、「教えざるの罪」の重さを益々痛感したひと時であった。