軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

驚いた「領事の自殺事件」

26、27日と、東北道を走って墓参りをしてきた.強風と吹雪、マイナス1〜2C℃という、悪条件だったが、無事に行程を終えて帰京した.高速道は、歳暮や正月用品を運送するトラックが行列を作っていた.
帰宅すると息子が夕刊を出して、「外務省の領事が自殺した事が出ている」と言った.
28日、今日は、午前9時半から午後3時までの間、チャンネル桜で、大晦日の夜8時から4時間放映される≪日本よ、今…どうなる日本?大変動≫という討論番組の収録に出席したが、「中国の今後」に焦点が集まり、中でも「諜報活動」に対する日本人の無知が話題になった.
帰りに「週刊文春」を購入し今読み終わったところだが、上海総領事館のA領事はまことに気の毒だったとしか言いようがない.暗号システムを管理する立場にあったA氏が、中国側の脅迫に耐えられず、≪それでも自分はどうしても国を売る事は出来ない≫と遺書に書き残して自殺したのだという.
 この手の「情報活動」は、世界各国の常識であって、外交官の最も注意すべき事であるが、しかし、最後までA氏が「国を売らなかった事」は評価に値する.
それよりも、いとも簡単にこの手の「罠」にはまって国を売り渡した?政治家達がいることが問題であろうが、これもいずれ白日のもとに曝される時が来るのだろう.
何故、この問題が1年以上も「秘匿」されていたのであろうか? 時の関係大臣達は、一様に知らされていなかったようだし、当時の川口外務大臣は「取材から逃げ回った」という.だから女性は頼りない…などと言うつもりはないが、「御遺族の意向がある…」とは言い逃れで、あくまでもA氏は「国家を代表する外交官」であったはずだ。こんな事だから中国などに≪小ばか≫にされるのである.犠牲になるのも下級官僚達で「一将功なりて万骨枯れる」典型的な例である.
「相手国が情報機関を使って工作を仕掛けている以上、外務省だけでは到底対抗できないのは明白である.麻生外相、そして小泉首相が今後、断固とした措置を取る事を期待したい」と文春は結んでいるが、そうする事は当たり前の事であって、これまたいかにも「平和国家」らしい≪のどかさ≫がにじみ出ている「結び」であり「文春」らしくないように思う.
外交は武器を使わない戦争である.国家間は勿論、国内でも、皇室典範、人権法案、靖国問題など等、恐るべき「謀略戦」が継続されている事にもっと真剣に警鐘を鳴らして貰いたいと思う.