軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

紀子様ご懐妊報道と情報戦

秋篠宮妃殿下のご懐妊報道は、何よりもおめでたい。何はともあれ小泉首相も一安心?というところだろう。皇室典範改正問題で、国論が割れて騒然としていたときであったし、下手すると政権維持も困難になるところであったから、なおさらのことであった。そういう意味では小泉首相は実に「強運」である。運も実力・・・というから九月まで気を抜かずに、他の残された、憲法問題などに取り組んで頑張ってほしいものである。
ところで、今朝のテレビでは、この件について誰よりも早く報道したのがNHKであったという。「報告」を聞いていると、どうにも気になるところがあって、逆に不安になった。
産経抄」によると、「超音波検査から妊娠六週だという」から、紀子様が診察を受けられて御懐妊が判明してすぐに、NHK,記者がその情報を掴んだ事になる。誰よりも早く・・・。記者は「特種」を生き甲斐にしているのだから、それはそれでよい。しかし、その情報を知り得る立場にあったのは、宮内庁病院?の医師と看護師であり、その関係者であろう。宮内庁も「大奥」も知り得なかった情報がどうしてNHK記者に漏れたのか? NHK記者は、たまたま風邪でも引いて、宮内庁病院で受診していたのであろうか?
おめでたい情報だから許されるとでもいうのであろうか? 人権が「認められていない」天皇家は、個人情報保護適用除外だとでもいうのであろうか?
以前、皇太子妃の病状などについて、これは朝日の「ベテラン記者」が抜いていたといわれた事があった。プライバシーが保てない皇族方はなんともお気の毒だと思う。
実は今、私は開戦前の情報管理について勉強しているところだが、近衛首相の傍にはべって情報をスターリンに流していた尾崎秀美とゾルゲの事件は有名だが、どうもこの国はその点が非常に弱いので残念に思っている。
例の、上海の電信官の自殺事件もあり、国家として「情報戦争」に弱いのが気になっているのだが、恐れ多くも天皇家の「個人情報」までもが、担当する国家機関や首相が知る前に世間に公開されるのには慄然とする。一体、天皇家を取り巻く公務員達の責任感はどうなっているのだろう?
おめでたい情報だったから「良かった」ものの、そうでなかった場合には誰が責任をとるのだろう? 聊か気になった次第である。
話は変わるが、産経新聞3面の「小泉首相に申す」という欄に、桜井よしこ氏が「情報操作に屈するな」と次のように書いている。
「・・・中国政府が隠蔽するには、汚職や権力闘争だけではない。国家としての根幹を疑わしめる重大な負の側面、つまり中国共産党は、実は国民のためにあるのではなく、むしろ国民の敵である可能性、そうとしか思えない国家のあり方の欠陥などをひた隠してきたといえる」。
全く同感である。我々は、つい「中国」全体を「非難」しがちだが、中国人民に圧政を敷いている「中国共産党」こそが気を許せぬ対象である事を知らねばならない。
「中国宣伝部の思想・情報操作に、日本政府が屈してよいはずがない。一刻も早い海外向けの強力な情報発信機能の確立、例えば情報省の設立が日本にとっての急務である」と桜井女史は言うが、全く同感である。
国内でも、国外でも、情報戦争は既に抜き差しならぬところまで進んでいる事を痛感する