軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「映画批評と時事短評」

昨日は久しぶりに家内と映画鑑賞を楽しんだ。友人達から「3丁目の夕日」を是非見るように勧められていたのだが、機会がなく見ていなかった。ところが近所の小さい映画館で上映していたのである。しかも二本立て、最初は藤沢周平原作の「蝉しぐれ」、下級武士の純愛物語で、これがまた実に良かった。こんな「武士の魂」が日本人から失われて久しい。涙涙・・・であった。
「オールウェイズ・3丁目の夕日」は、お勧めどおりの懐かしくも物悲しい?そして勇気が出る名作であった。昭和30年代の日常風景がスクリーン一杯に広がり、丁度私が高校から防大生時代だった頃の話だから、タイムスリップしたように懐かしかった。横須賀から上京したときの、品川や渋谷の光景がいまさらのように懐かしく思い出された。
劇場は、月曜日の昼間だったにも拘らず、7割ほどの入りで、それも大半がシニアである。時々懐かしそうな「笑い声」が場内に響く。当時の風景が実に上手に再現されていたが、それよりも「主役?」の子役たちの演技がうまかった。中でも一平君と淳之介君である。現代っ子にしては当時の「がき?」どもの雰囲気をうまく演じていて感動した。しかし、「個人情報・・・」とか、人権人権・・・などという世知辛い現代日本に、あのような「開けっぴろげ」な「人情物語」は、復活不可能ではなかろうか? 一度ご覧になる事をお勧めする。

「今朝の産経新聞」から
1、日米図上演習・「北と中国“仮想敵”」
 1面トップ記事だが、なんとも“虚しい”。というのは、防衛庁が「外交上の影響に配慮し、『中国を脅威とみなしているわけではない』との立場を堅持しており、今月15日に『中国は沖縄の自衛隊にとって脅威』と発言した空自幹部(基地司令)が口頭注意されている」からである。何故この問題が起きた時、「政府としては『外交上、脅威だと認識してはいない』が、現地防衛責任者にとっては当然“脅威”に感じるだろうと思う。しっかり任務を遂行してもらいたい」と上級者が“掩護射撃”出来なかったものか?何となく“小役人”が増えているような気がしたのである。
「口頭注意」の理由が、新聞記者との会合だから、基地司令はもっと慎重な発言をすべきだった、というのであれば、今後一切、記者との懇談会は実施すべきではない。誠意のこもらない「懇談会」など、時間の無駄であろう。それが出来ないというのであれば、“前科”がある新聞記者、または新聞社を懇談の場に招待すべきではない。
 私が松島基地司令時代、仙台にある「市民団体」がブルーインパルス訓練再開反対のため來基した事がある。通常は監理部長か広報担当者が応対するのだが、この日は私は暇だったので、応接室に御通しするように命じ、面談した。確か8人来たと思うが、まさか司令自ら面談してくれるとは思っていなかったようで、多少緊張していた。型どおりの“抗議”の後、私は司令として、国策を淡々と遂行すると回答したのだが、2〜3日後の地方紙に、この事が報道された。記事にはご丁寧にも会談中の私の写真までついていたが、「木で鼻をくくる回答?」とか何とか見出しがついていた。そこで直ちに面談者名簿を見直したのだが、その中に当該新聞社の記者は入っていなかった。掲載された写真も、抗議に来たメンバーが、“フィルムカメラ”で撮影したものである。これは“違反行為”ではないか?そこで直ちに広報担当者を通じて新聞社に厳重注意をし、以後二度と貴社の取材には応じないと告げさせた。“市民団体”の一メンバーが書いた文章の信憑性を確認もせず、そのまま掲載するなどメディアとして言語道断、失格であろう。こんな調子だから民主党・永田議員のような御粗末な“ガセネタ事件”が絶えないのである。
最もこのときは、新聞社幹部が早速謝罪に来た。全面謝罪広告を出せ!と言うと、非常に困っていたが、次回、同様な事をした場合には唯では済ませない事を条件に“和解”した。
いたずらに「喧嘩」する必要はないが、絶対に譲れない点は「厳重抗議」してことの真相を明らかにし、国民に納得がいく解決を図るべきである。それをせずに「うやむや」にしてきた“付け”が今、日本中に噴出しているのだと思う。
優秀な後輩である・滝脇那覇基地司令にアドヴァイスする。仁義を無視した当該新聞記者は基地内立ち入り禁止にせよ。そして当該新聞を不買運動で排除せよ。どうせ発行部数15,6万部くらい、冠婚葬祭通知で食っているようなものだろうからてきめんに効果があるはずである。それも沖縄在住の陸・海・空合同で実施せよ.このくらいしないと彼らは反省しない。
たまたま今日は久しぶりに東京財団で「対論:『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』」という講演会を聞いてきたところである。発表者はその道の大ベテラン・歌川令三・元毎日新聞社取締役編集委員と、湯川鶴章時事通信社編集委員、司会は東京財団の吹浦氏であった。記者の質が低下し、傲慢であること。紙面は「幕の内弁当」で何でもあり、地方紙は活況だが、最大の理由は「死亡広告」にあることなど、歌川氏らしく歯に衣着せぬ内容であったが、中でも「戦後の米軍管理下でニューディーラーから『過度の自由主義を与えられすぎ』て、『戦時中の弾圧と戦う』などと考えた?が、しかし当時(戦前戦中)から新聞は実は『第1権力』であり、傲慢、独りよがりになっていた、と私は最近そう思った」と言った。細部は省略するが、氏の著書「新聞がなくなる日(草思社)」をご紹介しておく。

2、ホリエメール・「永田氏、辞意撤回へ」
 この程度の人間が政治家だと思うと背筋が寒くなる。こんな程度で、海千山千相手の外交などやれるはずがない。なんだか、大学を出ても、中身はちっとも詰まっていない政治家が目立つようになった。しかも彼ら彼女らが、まるで「タレント」並にテレビに登場していて、ひどい時には、“ぼんくら”クイズ番組の回答者に納まっている!
そんな代議士の選挙区民を調べてみると、何となく高速道で荒っぽいマナー違反運転をする車の「県(地名?)ナンバー」と符合するから面白い。
とにかく民主党は素人集団であるほか、水と油の混合物体で、情けないが、とても我々の生命を預けられる政治集団には思えない。こんな悪質な“事件”を起こして謝罪で済むのなら、うそつきで無責任な悪いやつほど代議士になりたくなるだろう。(もうなっている、という声が聞こえそうだが…)
他方、ホリエモンの会社も次々に立ち入り検査が入り、株式市場の違法行為がさらけ出されているが、以前堀江氏が立候補したとき、私は代議士になって「インサイダー取引でもする気か?」と書いた。どうやら当たったようだが、とにかく彼は30代前半、仲間も30代が多く、最近逮捕された役員は28歳とか。私に言わせれば、「学園祭の株式ごっこ」を継続しているに過ぎないように思う。そんな彼らを「時代を象徴する英雄」であるかのようにもてはやした政治家やマスコミの責任はきわめて大きい。所詮は「餓鬼」のままごとだったのである。勿論、30代の青年男女全部がそうだという訳ではない。
何故それが彼らに出来たのか?そこが問題なのだが、彼らの親は勿論、指導すべき大学教授たちが、彼らを指導できなかったのである。そして一般人達は彼らの学歴を聞いただけで学歴コンプレックスを抱き、自分の“自信のなさ”も加わって下手に出たから、彼らが「傲慢」になったのである。つまり、あんな出来損ないを育てたのは、大人達の無気力さであり、それゆえ彼らから「馬鹿にされ、舐められた」のである。永田議員も同類である.
国際関係、特に中国・韓国との関係もこれと同様であり、その根底には、戦を忘れた現代日本の「大人たち」の闘争心不足と自信欠如が大きく影響しているように思われる。
その意味で、昨日、私は藤沢周平の武士の魂を扱った映画「蝉しぐれ」に感動して「悔し涙」を流したのである。