軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

経済同友会の“靖国”自粛発言

経済同友会は、首相の靖国神社参拝について、日中関係改善の為に「再考が求められる」として参拝の自粛を求める提言を採択した、という。首相の靖国参拝は、「首脳レベルの交流を実現する上での大きな障害」だそうだが、「首脳レベルの交流」が今時そんなに必要なのか?
「この問題を『主体的、積極的に解決すべきだ』と指摘」した上でのことだそうだが、どこが「主体的」なのだろうか? 「総理の思いを分かち合うべく、不戦の誓いを行う追悼碑を国として建立する事を要請したい」そうだが、小泉首相は「姑息な商売人達の集まり」なんぞに「思いを分かち合って欲しい」などとは思うまい。参拝という行為は、ひとり心の中で思うものであって、横断歩道を渡る「みんな」の行為とはわけが違うのである。そんな事も分からないで、手練手管の中国と商売するから手ひどい目にあうのである。
これを聞いた小泉首相の反応が実に頼もしい。「一つの提言でしょう。靖国外交カードにはならない。財界の人から商売のことを考えて、『参拝してくれるな』という声もたくさんあったが、『商売と政治は別だ』とはっきりお断りしている」と述べ、不快感を示したそうだが、今までの首相には見られなかった『勇気』が感じられ、立派である。
私のブログでも、中国や韓国問題に関して、熱心なコメントが披瀝されているが、かなりの国民が、戦後処理の隠された部分について疑問と関心を持ち出している。大変いい事だと思う。
先日御紹介したが、雑誌『正論』には、大陸に残された?化学兵器類についての≪スクープ≫が掲載された。また、雑誌『諸君』(6月号)にも、「あの戦争の仕掛け人は誰だったのか!?」という特集が掲載されている。徐々に、隠されていた真実が表に出てきている、と私は感じている。
満州事変についても、満州で一稼ぎしようと進出した“商売人達”の、あこぎな商売や密貿易、その上治安が維持されている満州に、異民族が流れ込んできたため権益争いが発生、そんな中で、その混乱を利用した蒋介石の謀略で反日活動が激化して殺し合いが始まり、邦人が旨く商売できなくなり、守備に任じていた、当時僅か12000人ほどの≪関東軍≫に保護を要請、ついに事変に発展したというのが真相であろう。敢えて独断的に言えば、商売人の都合で戦争が始まった、といえるだろう。経済団体の皆さんには、金に目がくらんで再び国を誤らないようにして欲しい、ということである。
今日発売の雑誌『SAPIO』に、「中国『恫喝』外交に飲まれるな」という特集が出ているが、
その中に、今回の米中首脳会談で『ボーイング80機購入』でも崩せなかったアメリカの『政冷経熱』の壁』と題して古森義久氏が書いている。つまり、胡錦涛主席は、米国製の航空機を80機も買うという『お土産持参』で訪米したのに、ブッシュの態度は『冷たかった』という事なのだろう。これを見ても分かるように、相手にいくら『ごまを擦っても』得るところは期待した通りではない、ということである。政治と経済は『ほどほど』の関係が良いのであって、同時に『熱く』ならないほうが良いのではないか?
少なくとも海洋国日本は大陸国と付き合う時には慎重でなければならない。日本の過去においては大陸に深入りすると大失敗をしている、と私は思っているのだが、経済同友会の皆さんのこの発言は、何となく教訓に学んでいないような気がしてならない。もっとも、当時と違って『自衛隊』は邦人保護には無力だから、『戦争』に発展する事は絶対に!あるまいから、自らの身は自ら守る以外にない。せめて領事館の電信官のような悲劇を招かないようにして欲しいものである。

ところで昨日は、チャンネル『桜』の収録に出かけた。『闘論!倒論!討論!2006…日本よ、今…中国・朝鮮半島外交と核武装』という題で3時間続けて討論したが、出席者は、青木直人(ジャーナリスト)、井尻千男(拓大日本文化研究所長)、黄文雄(作家・評論家)、兵頭二十八軍学者)、平松茂雄(元防衛研究所研究室長)、藤井厳喜(拓大客員教授)、宮脇淳子(東京外大講師)、それに私であった。討論内容は、朝鮮半島問題よりも、中国問題に意見が集中する結果になった。「歯に衣着せぬ自由な討議」が売り物の番組だから、普段聞けない内容が盛りだくさんである。放送予定日は5月13日(土)のPM9時から12時である。
チャンネル桜では、今月からインターネットでも放映しているからご覧戴きたい。