軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

気分を変えて!・・・書籍紹介

兵庫県知事の件については、県側の不手際が証明されつつあるようであるから、防衛庁自衛隊は黙々と所定の訓練に励んでもらいたいと思う。
メモ“事件?”についても、そろそろ関係者たちがあせり始めているようで、意外な結末が待っているように思われる。私は「泰山鳴動、ねずみ一匹」と昨日書いたが、その正体は「大ねずみ」かも・・・。政治にかかわる「私怨・怨恨」は、歳をとると正邪の見境いがなくなるもので、そこに外国勢力が付け込むと「国を滅ぼす」悪行に発展するものだ、という証明になるだろう。その「方々」の過去の国家に対する『貢献』がいかにご立派でも、最後が見苦しいとご先祖様に笑われるかも・・・

今日は、憂鬱な事象を忘れて、気分を変える意味で『書籍紹介』を試みたい。
最近、都心に呼び出される機会が多かったので、長時間過ごす電車内で読書する機会に恵まれた。その中で有益だったと思った著書を、独断で紹介してみたい。

(1)「中国軍の本当の実力」安倍純一著・・・ビジネス社(¥952+税)
 著者は、1952年生まれという若手で、国際関係論専門、特に中国の軍事・外交・東アジア安保に詳しいという。いわゆる「新書版」サイズで手軽な上、読みやすい構成になっている。「闇に包まれた中国軍」の実態を知るうえで大変有益だと思う。
 最後に「米軍再編がこのまま進めば、少なくとも海兵隊は7000名のグアム移転で半減する。米軍戦力自体は西太平洋というスケールで測ればむしろ強化の方向にあるといっても、沖縄駐留米軍の規模は確実に縮小する。これは大げさに言えば東シナ海をめぐる軍事バランスが中国有利に変化しつつあると見られないこともない」と著者が書いているが、ここが問題なのである。沖縄の“負担軽減”という国内情勢を優先した配慮が先行して、東アジア全体のミリタリーバランスを全く無視した「再編」が行われていることに私は危機感を持っていたのだが、そこを指摘した書物に始めて出会ったような気がしている。ご一読をお勧めしたい。

(2)「常に諸子の先頭にあり・・・陸軍中将栗林忠道硫黄島戦」留守晴夫著・・・慧文社(¥3000+税)
 著者は1948年生まれの早稲田大学文学学術院教授であり、私の古い友人でもある。7年ほど前から彼は「月曜評論」誌で連載していたが、その集大成である。
栗林陸軍中将については改めて述べるまでもないが、硫黄島の激戦を指揮した、勇猛果敢、かつ人間性豊かな人物で、あれほどの被害をこうむった米軍に深く敬愛されている人物である。悲しいことに肝心の日本人に十分理解されているとは言いがたいが、本書を通じて『軍人の生き様』を知ってほしいと思う。クリントイーストウッドが、硫黄島の激戦を映画化するそうだが、多分目を通してくれていると思われる。ハードカバーで旧仮名遣いの文章、その上聊か値段が張るが、ぜひともご一読をお勧めしたい。

(3)月刊誌「丸」9月号(¥1380)
 紹介するまでもない軍事関係の専門雑誌で、私も「われは“空の子”奮闘記」という現役時代を総括する体験談を連載している。(その意味では『軍事学講座』に関する昨日のコメンテーター氏のご要望に沿っていると考えていて、出来れば単行本にしたいと思っているのだが)
今月号の記事では、多少個人的感慨が優先することをお許し願うとして、終戦秘話が貴重な写真とともに掲載されている。
終戦記念グラビア「緑十字機沖縄へ」と、それを補足説明する当時海軍上飛曹であった駒井林平氏の、『戦史再発掘』「緑十字機『横須賀=伊江島』最終フライト」である。
当時の軍人の誰もが嫌がる『降伏使節全権団』の秘話なのだが、当時海軍中佐でパイロットであった義父・寺井義守が、その使節団の随行員としてかかわっていたから特に私にとっては感慨深いのである。マニラのマッカーサー司令部での交渉を終えて帰国途中、一番機は燃料欠乏で、深夜、天竜川河口付近に不時着した。幸い見事な不時着で使節団は無事だったのだが、当時の生々しい体験談をよく義父から聞いたものである。
駒井氏もその件でお知り合いになった知人のひとりだが、このような実直な軍人たちの勇気ある行動で今の日本は生き残ったのだ、と私は思っている。
読みやすい「読み物」だから、せめて書店での『立ち読み?』ででも先人の苦労の一部を知ってほしいと思う。

(4)「『脳内汚染』ゲームが脳を汚染する」岡田尊司
 実は『日本の息吹』(日本会議発行誌)で、精神科医でこの本の著者である岡田氏へのインタビュー記事を読んだだけなのだが、現在の説明不可能に思われる異常な少年犯罪と、若い親たちの殺人事件の裏に潜むものが理解できる。
『人と交わる健全な刺激がもっとも必要な時期に、家に篭ってゲームという機械相手に過ごした子供たちの脳が異常をきたしているのだ』という結論には慄然とさせられる。
 余談だが、もし米国が『滅びる』と仮定すればその原因は何か?について、沖縄時代に勝手に考えてみたことがある。三沢でもそうであったが、彼らの生活実態から、私は『強力な軍事力』によってではなく、偏った、それも異常なほどの肉食と『ファーストフード』により、体格・精神力が減退して、内部から滅びると結論付けたものである。
勿論その他に『白人よりも有色人種』の、これまた異常な『繁殖と流入』がそれに輪をかけるだろうと推察できるのだが、翻ってわが国の場合は、私の持論である『間接侵略・外部工作』によることとともに、『脳内汚染』によると思っている。
今から『反省して』日本人古来の文化の見直しを進めるべきだと思うのだが、マー、そのころは私は既に地下に埋葬されているだろうから、その時代を生き抜く宿命にある『若き日本人』の自覚次第だと、最近あきらめるようになって来た。この本も、手ごろな本だからご一読をお勧めしたい。

以上、ぎすぎすした世間を忘れて気分一新するため、今日は良書(私好みの)のご紹介まで。