軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

北朝鮮は崩壊する。それより足元を固めよ

ミサイル乱射以降、北朝鮮の「将軍様」の動きが不明であるという。穴にもぐっているとか、どこかに隠れているとか、推測が飛び交っているが、私は年内にでもこの体制は崩壊すると思っている。
その最大の理由は「金欠」であり、米国の経済制裁が功を奏しているからである。日本政府がもっと早く、「送金停止」、少なくとも「万景峯号」の入港禁止を決断していれば完全に音を上げていたに違いなかったのだが・・・
「金の切れ目が縁の切れ目」、内心快く思っていないのに、金品をもらえて良い生活ができるのであれば、誰だってその好条件を捨てる気にはならないから「ついていく」だろう。「面従腹背」もあの国にとっては生きる手段である。しかし、米国の徹底した金融禁止措置は、ついに将軍様の権威を地に落とし始めた。もともと「山賊出身の家系」だから、部下をつなぎとめるには「金品」しかないのである。それが止められたのだから、部下たちは離れていくに違いない。中世だって、兵隊たちは「払いの良い」領主様について戦場に行ったものである。そして勝てば法外な「戦利品」が手に入る・・・
多分、あの国には年内には下克上が起きるだろう。それは取り巻きの中からか、軍部の中からかは知らないが、食うに困れば誰でも考えることは「離反」である。そのとき、どこが彼ら「人民」を「救援」して、北朝鮮国を「ものにする」か?米国か?ロシアか?韓国か?中国か??
多分中国だろうが、それは既に「清津」などに工兵隊を送り込んで、橋頭堡を築いているし、国境を自由に?通過して鉄鉱石を搬出しているからである。他国にはちょっと無理かもしれない・・・

拉致被害者を多数抱えている韓国と日本は、その時、どんな実力行使を考えているのだろう。韓国は地続きだが日本は違う。邦人救出計画は「絵に描いた餅」となりかねない。
9月に首相は交代する。いち早く各種の計画を立てておかないと、またまた時機を失して、救い出すチャンスを失いかねない。米国に「お願いします」などといっても聞いてもらえないだろう。中東情勢は米国の「それ」を許さない。沖縄から海兵隊を「追い出した」ツケも回って来る。自分のことは自分でやりなさい、といわれるのが落ち。

それはさておき、気になるのがレバノン情勢である。軍事小国の末路が哀れでならない。だから日本が「軍事大国になれ」というのではないが「金棒を持った鬼」は、「力持ちの桃太郎」にしか止められと相場が決まっている!ことを思い出す必要があろう。
パスカルが言う、民衆を圧政下に置く「正義なき力」の実態と、レバノンやわが国のような「力なき正義?」の無力さをつくづく思い知らされる。
日本のマスコミは、レバノン情勢を報道しているにもかかわらず、気付いているのかいないのか。微弱な軍隊しかないレバノン政府は、国家をヒズボラというテロリストグループにのっとられている状態にある。テロリストを征伐できず、そのテロリストが「勝手に」隣国のイスラエルを攻撃しても制止できず、イスラエルから「逆襲」されても、対処できないばかりか、国連に「泣いて」訴えるしか手が打てないという状況なのである。すでに国民は1000人以上が犠牲になったという。国軍は国民を守れていないのである。勿論その中には、巧妙な戦術でヒズボラに利用されたものもいるだろうし、テロリストも含まれていることだろう。しかし、軍事力の活用という点から見れば、どこかの経済大国に似ていはしないか?「話し合いで解決できる」と思っている方々のご意見が伺いたいものである。
これは「小説」だが、仮にどこかの国の「反政府グループ」が、日本国内に潜伏して、彼らの「政府」にミサイル攻撃をした場合、これを放置すると、その国が「反国家グループ」を制圧するのだ、といって日本国内の「テログループ」に対して軍事攻撃してくるだろう。その時政府はどう対応するのだろうか?
それとも一緒になってテログループを制圧するのか?するとテロリストグループはこういうだろう。「われわれは本国で圧制を受けている人民を解放するための戦いをしているのである。日本政府は自由と民主主義のために戦っているわれわれを弾圧するのか?」と。
得意とする国連に提訴して解決をお願いするのか?それは現状を注意深く見れば分かることだろう。
それとも「軍事攻撃は侵略」とみなしてテロリストとともに彼らの本国に「反撃」するのだろうか?そうすれば、その国はこういうだろう。「われわれはテロとの戦いをしているのである。日本はテロ支援国家なのか?」と。
もっともそんなことはありえない、起こりえない、空想に過ぎない、と冷笑するのが大半だろうが、では責任は取れるのか?
以前、金大中拉致事件という、韓国政府による日本の「主権」を犯した行為があったが、あの時政府ははどう対処したか。
ソ連原子力潜水艦が、沖縄と九州の領海を続けて侵犯したとき、政府は何の手も打たなかったが、さすがに2度犯されたと分かった時、時の官房長官は「結果的に無害航行だったと認められる」とお茶を濁したのではなかったか。
ベレンコ中尉亡命事件のときも、まず空港職員が対応し、ピストルで威嚇されて始めて警察が対処した。自衛隊に出動させよ、となんぞ、誰も言い出さなかった。
不審船事件でも海保が「手を出さぬよう」指導されつつ対処させられ、やがてようやく海上自衛隊が体よく「追っ払った」
竹島北方領土も侵されっぱなしで今も放置されたまま、政治家たちは総裁選挙で気もそぞろ・・・。どこか、無責任なふじみ野市のプール管理責任者の体である・・・
近々尖閣列島に香港からまた侵攻してくるといううわさもある。

レバノン紛争は、取り扱いを間違えると、第5次中東戦争に発展しかねない。
イランはそれを注視しているし、台湾問題を抱えた中国も注目していることだろう。
なんとなくこの紛争は、軍事小国の末路を示して余りあるような気がしているのだが・・・。いずれ台湾海峡で何かが起きる。
傍観していては遅れをとること必至である。政府には「対岸の火事」ではなく、脚下照顧して、やるべきことをやってほしいものである。