軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

備えなければ斯くのごとし!

14日は、兵法研の定例講座で靖国会館に行った。あいにくの雨模様だったが境内は7・5・3で賑わっていて、何となく嬉しくなった。
靖国通りを神社に向かって歩いていた時、傘をさした女子高生が二人、進路を遮っていたので、追い抜くのに苦労?したが、なんと、参拝を終えて振り向くと二人が傘をたたみながら、後ろに並んでいたから、思わず「参拝するの?」と聞いてしまった。二人は「はい」と笑顔で答えたが、実に美しかった!「偉いね〜」というと少しはにかんだが、それがまたよかった。
きっと若き英霊方も喜ばれたことだろう。


テーマは「危機管理」だったが、自衛隊や警察、海保職員ならば、それが日常なので、ことさら解説する必要もないのだが、聴衆の皆さんには新鮮だったのだろう。真面目に聞き入ってくれた。天候不順なのに来て下さるだけでもありがたいこと。おまけに、試し刷り?で届いた「安保法制と自衛隊」という新刊本20冊が完売したので感謝した!


この日、現地時間の13日(金曜日)午後9時過ぎ、パリの中心部で、130名余が死亡する大規模な同時多発テロが起きた。

≪事件を報じる産経新聞=15日≫

たまたま講義の締めくくりに、「今後の問題点(特に2020年の東京五輪は?)」として、施設は? 人の流れは? 万一事前に災害が襲ったら? テロが起きたら…?
科学技術の驚異的発展は人類に貢献してきたが、それを支えている“基本”が崩れた時、一気に不幸になる!!さて、わが政府、国民はその時どうするか?」
と語りかけて終了したが、質問はなかった。もっとも時間がなかったこともあるが…


阪神淡路大震災や3・11で十分体験したように、わが国の危機管理体制、というよりも国民の意識は世界の水準以下である。私が「極楽とんぼ」という所以だが、今回のパリのテロ事件でも、TVで解説している方々の中には、どこか[対岸の火事]的受け止め方で、中には「テロは絶対に防げない!」と得意になって語る“専門家”もいるので、ただただ驚く以外にない。

憲法9条症候群”とでもいうべきか?
我が国は憲法で「戦争を放棄」しているから安全だ!というあの感覚だ。そこで彼らには是非とも「テロおよび台風、集中豪雨は認めない」という文言を、憲法9条第1項にでも取り込んでほしいものだ。そうすれば絶対に戦争もテロも天災も、わが国を襲わない?!だろうからだ。


昨日の産経抄子はこう書いた。

≪【産経抄】パリ多発テロ…至る所に潜む「狂気」 11月15日

 民族学者の梅棹忠夫が、世界各地の神々の気質を論じている。唯一神であれ多数神であれ「その土地において、とじた体系をつくるものだ。(中略)体系外の神がみがそばにいることをゆるさないのが、本来の性質である」(『文明の生態史観』)と。

 ▼宗教がもたらす紛争も、根が神々の嫉妬にあるのなら、代弁者たる人々が血で血を洗う必要などあろうか。米国を襲った「9・11」や各地で起こる自爆テロなど、自他に死を強制して喜ぶ神がいようか。世界のどこかで血が流れる度に、筆に尽くせぬ悲憤を覚える。

 ▼フランスの政治学者、フランソワ・ユイグ氏は著書『テロリズムの歴史』(創元社)で「新しいタイプのテロリスト」の影を指摘している。普段は温和な市民の顔をし、戦闘経験も専門技術もない者が「突然、復讐(ふくしゅう)の念に駆られて、衝動的に事件を起こす」のだと。

 ▼この犯人グループも「温和な市民」を装っていたのか。パリ中心部の劇場などで起こった同時多発テロにより120人以上の血が流れた。劇場を襲った犯人はアラビア語で「神は偉大なり」と叫んだといい、フランスは過激組織「イスラム国」の犯行と断じている。

 ▼中には自爆した者もいた。パリでは今年1月に風刺週刊紙の本社が襲われている。当局は警戒を強め、今月末には国連気候変動枠組み条約の会議を控えていた。監視の網が一味を見過ごしていたのなら、サミットを来年に控える日本も、他山の石とせねばなるまい。

 ▼「おまえたちが命を愛している以上にわれわれは死を愛している」。4年前に殺害された「9・11」の首謀者、ビンラーディン容疑者の言葉という。パリの犯人がどんな流れをくむ者であれ、同じ精神を宿した狂気は至る所に潜んでいよう。≫


そして今朝の産経抄子はこう書いている。
≪テロを未然に防ぐのは、難しい。とはいえ、成功例はある。その一つが、2006年8月に、英国で発覚した航空機爆破テロ未遂事件だった。米国各地に向かう複数の旅客機を空中爆破する。この計画を事前につかんだロンドン警視庁は、イスラム過激派につながる犯人グループの逮捕にこぎつけた。

 ▼警察や情報機関にとっては、威信のかかった捜査だった。その1年前、ロンドン中心部で起きた同時爆破テロで、52人が死亡している。国内のイスラム社会を厳しい監視下に置き、電話やメールの傍受まで行った成果だった。

 ▼13日、パリで起きた戦後最悪の同時多発テロは、中東の過激組織「イスラム国」の犯行とみられている。パリといえば今年1月、風刺週刊紙が、襲撃を受けて記者ら12人が死亡する事件が起きたばかりだ。その教訓を生かせず、テロ計画を察知できなかったのは、治安当局の大失態ではないか。

 ▼来年にサミット、5年後に五輪を控える日本にとっても、もちろん人ごとではない。昨日の朝、久しぶりにTBSの情報番組「サンデーモーニング」を見た。さすがに、テロ対策について、識者が意見を交わすものと期待していたら、当てが外れた。

 ▼対策より、テロ組織との政治的な対話が大事だという。そもそも過激組織が勢力を伸ばすきっかけになったのは、米国のイラク攻撃、それを支持した日本にも責任の一端があるそうだ。果ては安保法制がやり玉に挙がった。フランスは米国とともに、イスラム国への空爆を続けている。日本が後方支援に踏み切れば、標的になってしまう。

 ▼つまり、「テロとの戦い」から、脱落せよというのだ。相変わらずの「一国平和論」、フランス国民が知ったら、何を思うだろう。≫


シリア難民を受け入れると宣言したドイツの首相は、今どう思っているか知りたいが、≪難民保護=人命保護≫と短絡して考えるのは危険だと忠告したはずだ。
あれほど戦争を引き起こしてきたドイツ人の指導者にしてこれだから、金銭感覚しかない?世界の指導者に期待できそうにない。やはりどこの国でも政治家という人種は選挙と利権を最重要視しているからかもしれない…


戦争で発生する避難民は、もちろん不幸な人々であることに変わりはないが、天災ならいざ知らず、得体のしれない殺人集団との戦いにおいて生じた以上、必ず「敵方」が利用するということを認識していないのが残念だ。つまり、過去に多くの犠牲を払った戦争に学んでいないと思われるからである。


難民の中に戦闘員を潜ませて敵方に送り込むのは、戦場の常識、「トロイの木馬」を持ち出すまでもないだろう。
欧州戦争でも頻繁にあったし、ヴェトナム戦争朝鮮戦争もそうだったから、現地米軍兵士はパニックに陥って、彼らを銃撃した。
そして戦後、民主主義国の米軍は、“敵方”に非人道的だ!と叩かれて、ついにベトナム後遺症を残すありさまだった。
70年余前のわが国とシナとの戦いもそうだった。彼らの常とう手段である「便衣兵」は、戦局が不利になると軍服を脱いで難民に変装してその中に紛れて隠れ、戦況が有利になると突然日本軍守備兵に襲いかかった。
そこで警備するわが軍としては、徹底的に取り締まる必要が出る。
そこには多少の手違いもあっただろうが、それを今や「南京大虐殺」という架空のストーリーにまとめて、過去のことをイジイジといつまでも攻め続けているのだが、戦後いつまでも非難されているその状況が日米ともに酷似しているのが不思議でならない。
ソ連やシナ、共産軍の非人道行為は、メディアが意識的に国際世論から封殺しているのだ。
このようなテロ行為は弱い軍隊がとる卑怯な戦法なのであり、非武装の市民に通用するだけで、正規軍には通用しない。だから鼻から卑怯で弱体なテロリスト集団はこれを利用する。今回の犠牲者も非武装の一般市民であった。

戦争における“宣伝”は、ソ連でもシナであっても、そして今やイスラム国にとっても自分らの正義だと騒げば騒ぐほど、国際的左翼メディアが有利に報じるので、結果として懐具合がよくなり、武器も手に入るから重要である。
イスラム教を隠れ蓑にして残虐行為を繰り返す武装集団は、正規軍の戦いでは太刀打ちできぬから、このような卑怯な戦法をとるのだが、ある意味、今回のテロ攻撃は相当苦労している証拠でもあろうと思う。


おそらく彼らは、彼らにとっては「敵」にあたる欧米先進諸国が、第2次世界大戦時のように「連合軍」として襲い掛かってくることがないことをいいことに、隙間作戦を継続しているのだ。

故に今後とも、米ロの亀裂を有効に活用するであろう。
ことの重大性にかんがみて米ロ双方がシリアを巡る諍いを一時休戦して、双方が提携してイスラムを叩く作戦に出ないように国際世論分断を図っていると思われる。


それはイラク戦争でも、古くはベトナム戦争でもそうだったから、その教訓に学んでいると思われるのだが、いずれにせよ、今年紛争が多発する陰には、オバマという大統領の不決断と戦意喪失を見抜いた結果だから、その意味では「ノーベル平和賞」受賞大統領を有効に活用したのが、イスラム国側だったといえるのかもしれない。

彼は米国を「世界の警察官」と間違えて認識していた。その結果世界が認めていた「世界のリーダー」の地位から滑り落ちたのである。

しかし今となっては遅すぎる。おそらく“彼の出番”はないだろうから、クリントン夫人?に期待するほかあるまい。


そんな状況を推察すれば、国際的大行事が控える我が国は、次のターゲットとして油断できない立場にある。
出入国に関しては“爆買い”とやらで、シナの人民が自由気ままに出入国出来ることを世界に証明しているし、入国管理が甘い?という実績もある。
さらにそのうえ、よほどのことがあっても、この国は“軍事力”をテロ対策に使う意欲もなかろうと思われている。
北朝鮮のテロで拉致された同胞さえも40年間放置して恥じることはない。せいぜい集会を開いて、コンサートで慰めるのが関の山、「その上脅威である“日本軍”は水害と津波が活動の場だから俺たちにとっては日本には怖いものは何一つない」と誤解しているであろう。


自衛隊もそうだが、銃器使用を極端に制限されている警察官も、員数そのものが不足しているのに、何か重大な事件でも起きなければ政府は動かないから、対策は後手に回るだろう。福島原発事故がそうだったように……

しかし災害(テロも)は時も場所も選ばない。その任に当たる関係部署は、情報収集など十分に対策を練っているところだろうが、同時に国民も、B級グルメもラグビーもいいが、危機に臨んではそれが何をもたらすかを≪イメージ≫できる意識を高めてほしいものだ。


今日は、MRJや、女性戦闘機パイロット誕生についていささか意見を書こうかと思ったが、次の機会に譲ることにする。

ただ、シナ海軍が、大型輸送艦を就役させたという情報だけは書いておこう。南シナ海尖閣問題にとって、要監視事項だからである。

≪903A型総合補給艦完成=インターネットから≫

2万トンの903型総合補給艦が完成したとネット上に出た。これは既に2003年7月に進水した「千島湖」艦と2号館の「微山湖」艦という903型と区別されて、903・A型と呼ばれるそうだが、それは23000トンに増強されたからだ。
諸元は全長178・5m、幅24・8m、動力は24000馬力のディーゼルエンジン2基、乗員は130人、2機の直8型ヘリを搭載、これでこの型の補給艦は6隻になった。いずれも習主席の夢であった≪強固強軍≫に沿ったものだという。「セウォル号」のようにならないことを祈りたいが…

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