軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

テロとマスコミ

英国で、「旅客機10機を爆破する計画」が事前に防がれたというニュースは、世界を驚かせたが、英国の情報機関と、英政府の地道な努力に敬意を表したい。
まもなく9・11、わが国は、靖国問題など、およそ国家の危機存亡とは無縁な、かっての「敵国」からの謀略に振り回されていて、国民の生命財産を預かるはずの「政治家」たちも、自分の立身出世ばかりを気にしている。
国民の生命財産を守ることなんぞ、絶対にやらないことは、30年も放置され続けてきた「拉致事件」一つを見ても十分理解できるであろう。
「魚は頭から腐る」といわれるが、既にこの国の頭は腐りきっているのである。だから、徐々に胸から腹、腹から下半身に「腐敗」が進行しつつあるのだが、上着に隠れているから気がつかないだけの話、全裸になって見れば「あざだらけ」「腫瘍だらけ」の状態なのである。
秋田の実子殺し、警察の予断捜査、大阪の女性監禁、気付かない振りをして放置した関係者たち、プール管理のお粗末・無責任、老人ホームでのおぞましいお年寄り虐待、一流会社研究員のロシアへの情報漏洩、海上自衛官のこれまた国民を裏切る行為などなど、数え上げればきりがないが、これは氷山の一角、身体検査で「胸まであざがある」と診断された「患者」が、実際は下半身まで腫瘍が広がっているのに気付かないだけである。医者の誤診も多いから、間違いなく「全身」に毒素が回りつつある。「平和ボケ」という毒素が・・・。

英国でのテロ未然防止は、詳細は絶対に発表しないだろうが、相当な「人権侵害(日本的発想で言うと)」、強行捜査が行われたに違いない。
日本の関係機関がそんなことをしたら、まずマスコミが一部の政党をたきつけて、政府に猛反対して、テロリストたちを「援護」することだろう。
そんな中、靖国問題について発言した昨日の小泉総理の言葉には感心した。8月15日に参拝するかどうかについて問われた首相は、公約を守ると発言、事実上実行することを公表した。困ったのはマスコミで、就任当初に13日に急に変更し(最もあの時は中国に呼びつけられた盟友の一人の「都合」が悪かったからのようだが、今回は盟友ではないし、むしろ「敵?」である)、時の官房長官が15日にこだわらないと発表したことを根拠に、「整合性」なるものを持ち出したが、「15日に行かなければ問題にし、行けばまた問題にする」とマスコミの「整合性のなさ」を首相から一蹴された。
収まらないのはch6と10で、これでもかとばかりに靖国反対を盛り上げようと躍起になっている。ch10の如きは、広田弘毅元首相の孫の声を利用し、靖国合祀反対を叫ばせた。そしてキャスターは「お孫さんの声だから実に重いですね」と言ったが、では東条元首相のお孫さんの声はどうなのか?「重い」のか「軽い」のか?ch10にとっては、「都合の良いほう」が「重く」て、都合の悪いことは「軽視」するようだが。
「マスコミは、ああいえばこういう」とは小泉首相の名言である。自分の都合の良いように「首相なんて操れる」と今まで(今でも)傲慢に思っていたようだが、今までの首相はそうだったかもしれないが、これからは「全うな」指導者が次々に現れるだろう。
どこかの国のように、自分の都合が悪くならないように、何とか首相の靖国参拝を阻止しようと「躍起」になっているようだが、滑稽でもあり哀れでもある。

テロリストたちが「実に巧妙に」操っているのが、こんなご都合主義のマスコミだ、と私は思っている。その昔、日本赤軍重信房子が、中近東の砂漠に「隠れて」いたころ、単独会見をして写真まで撮って記事にして、彼女から手作りの「お食事」までご相伴にあずかって、得意になったマスコミがあった。世界中が「凶悪犯人」として捜索しているのに、である。
イラク戦争でも、日本人青年男女3人による自衛隊撤収のための「やらせ?」拉致事件があったが、これなんぞはまるで小学校の「学芸会」並みの発想、ばかばかしくて論評する気にもなれないが、しかし思い上がっているのは事実である。
現状のイラク国内の治安状況を報じる画面でも、画面を良く見ると、実にタイミングよく「自動車爆弾」が破裂したり、自爆テロの爆破の瞬間が画面に流れるが、これなどは、事前に通報されて「待ち受け」しない限り取れる映像ではない。もっとも、テロリストグループが撮影したものを配給しているのだというが、それには「莫大な放映料」が支払われているはずである。つまり、そうだとするとマスコミは、テロリストたちを「堂々と支援」していることになる。世界の平和なんぞどうでも良く、単に自社の視聴率向上のために・・・

今回の英国のテロ事前防止事件でも、どちらに転んでも「儲かる」のはマスコミである以上、マスコミの行動を相当制限しない限りこの種の行為は絶滅できまい。しかし、近代民主国家には「言論の自由」という錦の御旗がある。中国のようには行かないから、そこがまた彼らの付け目なのである。「報復合戦、まるでいたちごっこですね」といったキャスターがいたが、いたちごっこはマスコミだって同様だろう。
もっとも、マスコミは、自分たちだけはテロリストたちに「信用?」されていると思っているフシがあるから、テロリストたちから逆襲されなければ気がつかないのかもしれないが。

日本国内では、関係部局がいっせいに「対策」を講じつつあるようだが、マスコミも今後のことを考えて、しっかり協力すべきであろう。自分たちが乗っている機体が爆破されるかもしれないのだから。それともその一部始終を撮影して、特種をものにする気だろうか? 墜落すればみな一緒なのに・・・
どっちつかずの報道をすると、次はマスコミ自身がターゲットになるか「巻き込まれる」だろう。
頭が腐っているのは何も政治家ばかりに限らない。マスコミだってそうである。
テロとの戦いを支持するのか?テロリストの「活劇」を期待するのか?マスコミの責任者は良く考えてほしいものである。
小泉首相ではないが「マスコミにも“もっと進化”してほしい」と思うゆえんである。

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正論の会三輪和雄代表)では、12日(明日)午後2時から、千代田区大手町の東京サンケイビル3階、産経プラザ(地下鉄大手町下車)で第382回「正論を聞く集い」を開く。講師は元空将の佐藤守氏。テーマは「南西日本が危ない」。一般1500円、学生1000円。問い合わせは「正論の会」℡03・3505・6585」==産経新聞から

約一時間、台湾危機と日本について「防衛漫談」をする予定。